CDの「生データー」をPC-USB-RAL-2496UT1-AV8003/Specialの接続で再生するだけで、オーディオイベントに十分使える音質で音楽が再現できました。
次にCDを生データの「44.1kHz/16bit」でPCに取り込んでから、Windows
Media Encoderで「88.2kHz/24bit」にアップサンプリングしたものに切り替えて同じ曲を再生します。
すると、どうでしょう?嘘のように高域の濁りやもやつきが取れて、見晴らしが良くなりストレスなく音が広がるようになります。一音一音の輝きや音色の良さも改善し、まるで違うディスクを聴いているようです。
次に接続をLANに切り替えます。プレーヤーソフトは変えず、PC(HDD)からLANでバッファローの安物の4出力スイッチングハブ、ハブからAV8003/Specialへと接続を買えます。
このハブは音質を少しでも良くしようと内部のコンデンサーを高周波用の高級品に変えてみましたが、音質にはさほど大きな差はありませんでした。またHUBまでのLANケーブルは、市販品の高級ケーブルと高級端子を使ったカテゴリー7を使い、HUBからAV8003/SpecialまではAudioquestのオーディオ用LANケーブル(RJ-45G)を使っています。この接続方法は、ハイエンドショウ2009Springで訴求した「DACに最も近いケーブルが音質を大きく左右する」という経験から、最も音の良いAudioquestをAVアンプ側に使いました。ちなみにRJ-45Gは、カテゴリー5のケーブルですがPC-HUBを繋いでいるカテゴリー7のケーブルより明らかに高音質です。
また話がわき道に逸れますが、LANケーブルでも音が変わることが分かったので市販のLANケーブルを何本か購入テストしましたが、平型ケーブルが全般的に透明度と解像度が高く、丸型ケーブルは広がりがありますがノイズが多いのか?音が曇る傾向が見られ、総合的には平型が優位に感じられました。とにかくLANケーブルで
も音が大きく変わります。デジタル伝送を理屈で考えた場合、それはとても不思議なことです。
PC(HDD)からの接続をUSBからLANに変えると高域の見通しが良くなり、霧が晴れたように音が良くなります。その変化はCDのデーターをアップサンプリングして得られる改善と方向はよく似ていますが、結果はさらに大きなものです。このデモンストレーションからPC(HDD)と外部DACは接続方式によって音質が大きく変わることが確認できました。その理由ですが、LAN接続は通信スピードが速く双方向で「ベリファイ(検証)」を行いながらデーターをやり取りするのに対し、PC-DAC間のUSB接続は規格がきちんと定められておらず、中には一方通行のケー
ス(ベリファイが行われない)すら存在するなど、データーの扱いがLANよりも「不安定」であることが上げられます。またLANでは、データーのやり取りの間に「メモリーバッファ」が入っている(LANケーブルを抜いても、1秒程度音楽が流れ続けることからメモリーバッファの存在が確認できます)ため、常に安定したデーターがDACへ送られる点も音質に有利に働いていると想像できます。
(Brainstorm
DCD-8
ジッターキャンセラーを使ったUSB出力の音質改善方法はこちら)
とにかく現時点でのPCと外部DACの接続は、LANが最も有利でFire
Wire(IE1394)がほぼそれに準じます。USBは、絶対ではありませんがそれらより明らかに劣ることが多いようです。結論として可能であればLAN(もしくはIE1394)を使うことが安心ですが、USB規格も今後の進歩(現在オーディオではまだVer1.1)で音質も改善される可能性があり、どれが絶対とは言えない状況です。このデモンストレーションは、You
Tubeでご観頂けます。
続いて矢野顕子さんの(生)ディスクをAirbow
UD8004/SpecialにセットしSACDを再生、7.1ch Direct(アナログ)でAV8003/Specialに入力してPC(HDD)-デジタル接続の音と聞き比べました。データーがSACDに変わるのでもちろん音はさらに良くなりますが、PC(HDD)では寂しかった「響きの多さ」、「音色の美しさ」、「表現の艶やかさ」などが付け加わることが感じられます。これは、CDプレーヤーにはCDプレーヤー独自の音作りがあり、PC(HDD)ではそれがなくなるため、「音楽の雰囲気」があっさりしてしまう?のではないかと考えています。
会場でも説明しましたが、メディアがレコードからCDに変わったとき「雰囲気が薄くなった」のはレコードプレーヤーに避けられない歪み(例えばクロストークの発生)がCDでキャンセルされてしまったため、レコードプレーヤーが持っていた音楽再現の雰囲気の濃さや前後方向への広がりが失われたのだと考えています。
一般的に販売されているパッケージメディアに収録されている音楽は、マイクが取られたそのままではなく、一般的な再生機器(昔はレコードプレーヤー、今はCDプレーヤー)に合わせてレコーディング(ミキシング)エンジニアが加工(エコー処理やパンニング)などを最適化しているため、彼らが想定した再生機で再生しない場合には、意図した「音(音楽)」として再現されないことがあるからです。
一部のオーディオメーカーや評論家、あるいはオーディオマニアは「原音忠実再生」にこだわります。昔は私もそう考えていましたが、最近はデジタルの進歩によりオーディオは「生音をこえる音楽性を生み出す(生よりも良い音で音楽を聞く)ことが可能」だと考えています。従って、CDのデーターがそのままPC(HDD)に取り込まれているか?やDACにそのままのデーターが送り込まれているか?にこだわるのはナンセンスであると考えています。なぜなら「失われた音」は、「最新のデジタル技術」で「復元」が可能だからです。その結果、「録音された生音よりも再生される音が良くなる」ことは充分に考えられます。
話をデモンストレーションの内容に戻します。PC(HDD)とSACDの比較に続き、UD8004/SpecialでBDを再生し、メディアのフォーマットに関わらずAirbow機器なら充分に音楽を楽しめることをデモンストレーションして「Future
Sound」の主題は終了します。
最後にシステムを持ち込んだ最高の機器に変えDVD(Double
Mellow 付属DVDからStranger)を再生します。
Airbow UX1SE/Limited(With Antelope Audio OCX)、Airbow
Tera CryoLimited、Digital Domain B1a(BTL*2)、Focal
Scala Utopia
その圧倒的な高音質と素晴らしいボーカルに私は言葉を失います。最高のオーディオには音楽のジャンルも、メディア(ディスク)のフォーマットも、時と場所も関係ありません。そこにあるのは「リアルな感動に出会えた喜び」ただそれだけです。それを聞きながら、私自身も音楽とオーディオに巡り会えた喜びに感謝しながら、短く長い30分の「Future Sound」のデモンストレーションは終了しました。
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