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TAD D1000 Mark2 、 M2500 Mark2 音質 比較 試聴テスト
2015年秋、Focalの新型スピーカー Sopra NO.2を試聴しました。このモデルは、従来のUtopia Seriesの後継モデルに相当します。これから、Sopraシリーズには、ブックシェルフ型の「No.1」やより大型の「No.3」が順次登場します。 Sopra No.2の特長 ・ミッドレンジユニット 新設計された、Sopraのミッドレンジ・ユニットは、Ariaから採用される「サンドイッチコーン」振動板と、彼らがSopraのために開発した「スピーカーの動的解析ソフト」によって生み出された、動的に安定したマグネット構造「NIC(Neutral Inductance Circuit)」が採用され、エッジにもとやはり動的に安定した構造の「TMD(Tuned Mass Damper)」が使われます。 ※TMDは、ユニットのエッジ部分(ゴム)に最適なマスダンパー(重り)を取り付けることでエッジ部の暴れを低減し(下右図)、ユニット動作時の歪みを低減するFocalの特許技術です。 この努力が実を結び、SopraのミッドレンジユニットはUtopiaよりもレスポンスと歪みが改善、中高域の透明感と明瞭度、滑らかさが向上しています。 ・ツィーターユニット 振動板の材質は「ベリリウム」、マグネットは「ネオジウム」でUtopiaから変更はありませんが、彼らが「IHL」と名付けた、ツィーター背後のチェンバー(音を消すための空間)の採用で、ツィーター振動板背後からの反射波と空気反発力が低減され、ツィーターユニットの歪みは、Utopiaよりも30%低減されています。 ※IHLは、ツィーターユニット背後の蓋を取り除き、消音チェンバー(消音室)の容量を飛躍的に拡大することにより、ツィーターユニットの動きを妨げないようにする(上図 )ことで、高音の歪みを軽減するFocalの特許技術です。 この新型ツィーターの搭載で、Sopraはより開放的で透明感の高い高域を実現しています。 ・ウーファーユニット ウーファーユニットの動きと、それにより発生する定在波は、彼らが新たに開発した動的解析ソフトにより動的特性が最適化されたキャビネット構造により、従来モデルよりも低音の膨らみが抑えられ、低音の抜け感が向上しています。
D1000 Mark2、M2500 Mark2の特長 D1000には、TADが世界に先駆けてD600から搭載を始めた、大型の水晶発信子(C/N比に優れた大型水晶発信子)が搭載されています。Mark2では、この水晶発信子の製造メーカーとの協力を得て、本来ならオーディオメーカーには手の届かない「四角い金属ケースに収められた(下写真)水晶発振子」内部の発信回路の高音質化が行われています。 D1000 Mark2には、従来モデルよりも強化された電源が搭載され、さらにパーツ類の最適化・高音質化・締め付けトルクの管理などにより、製造まで含めた徹底的な高音質化が行われています。 D1000 Mark2(M2500 Mark2)には、ピンポイント支持に変更された、高音質インシュレーターが採用されています。 M2500 Mark2には、M2500に比べて2倍近く強化された電源が搭載されています。また、D級アンプの音質の決め手となる、高周波フィルターも最適化・高音質化が行われています。
Focal Sopra NO.2 総合評価 今回はFocalのSopraとTAD D1000 Mark2、C2000、M2500 Mark2を組み合わせて聞きました。 しかし、日本での知名度は広告活動がそれほど大きく行われなかったため、B&WやTannoy、あるいはJBLなどよりもまだ知名度の低い「Focal」ですが、カーオーディオや業務用も含めたスピーカーをユニットから生産している「Focal」は、それらを凌ぐ世界最大級のスピーカーメーカーです。 また、「フランス」で設計から製造までが行われ、量産される「Focal」製品の音質と仕上げの良さは、同じ価格帯で販売されているB&Wに決して引けを取りません。特に今年B&Wは大幅な値上げが行われたため、彼らが「B&W 802D3」に匹敵するモデルとして考えている、新製品「 Sopraのバリュー」は、十分にそれを凌ぐレベルに達しています。 最新の高性能スピーカーとして、互いをライバルと意識しながらしのぎを削る関係にある「Focal」と「B&W」ですが、その音質はすべてのモデルでは明確な違いが感じられます。英語圏で生まれたB&Wは高音のメリハリが強く、子音がクッキリした明快なサウンドに仕上げられていますが、日本語と同じく母音を主体とするフランス語圏で生まれたFocalは、B&Wよりも中低音に厚みがあり、響きも豊かです。 今回試聴したSopra No.2を従来モデルUtopiaと比較すると、彼らが絶対の自信を持っている「新開発3D解析ソフト」の効果で、「Focal臭さ」が大きく改善していることがわかります。Sopraの開発には「細井(逸品館のお客様でもあった)」というPioneerからFocalに移籍した日本人がリーダーの一人として、参入しています。Focalの社長からも実大な信頼を得ている、彼の仕事の成果もあって、Sopraは「従来モデルよりもより日本人が聞きやすい音質(世界により幅広く愛される音質)」に生まれ変わっています。UtopiaとSopraを「フランス料理」に例えるなら、バター&クリームが強すぎたUtopiaが、日本シェフの手腕により、その味わいを一切損ねることなく、万人向けに少しあっさりとアレンジされたようなイメージです。 Sopraは、Focalらしい「色彩感の濃さ」と「情緒の濃さ」はそのままに、Utopiaでは少し膨らみ気味だった低域がスッキリと改善され、ややアクセントが強すぎた高域も、滑らかで優しく生まれ変わっています。国内で逸品館がもっとも早くから、その音質を高く評価しお薦めしてきた、Focalのフラッグシップモデルが、よく知る日本人(細井氏)の手腕により、さらにその価値を高めて登場したのは、私にとってもたいへん喜ばしいことです。 Focal「Sopra」は、この価格帯スピーカーの注目すべき製品になるでしょう。 2015年11月 逸品館代表 清原裕介 |
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