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infranoise gps-777 ccg-525 Antelope Audio OCX GPS クロック ジェネレーター 音質 比較 テスト

Infranoise GPS-777 / CCG-525

Antelope Audio Isocrone OCX / AIRBOW GPS-10MH(試作品)

音質比較テスト

昨秋にプロトタイプを発表し、その後遅々として生産化に手間取っていたAIRBOWのGPS 10MHzクロック発信器の発売にようやくめどが立ち始めたこの秋に突如InfranoiseからGPSを使ったクロック・ジェネレーターが発売されました。クロック・ジェネレーターにGPSを使うメリットは、安価で安定した高精度なクロックが得られることです。デメリットはアンテナの設置が必要なことと、アンテナを設置できなければ高精度のクロックが得られないことです。しかし、アンテナを設置できない特殊な環境はそれほど多くなく、またルビジウムのように寿命が尽きる(発信のためルビジウムにレーザー光を当てるため、ルビジウムが蒸発しやがて尽きてしまいます。寿命は5-10年程度といわれています。寿命が尽きるとルビジウムを交換しなければなりませんが、交換費用は数十万円近いといわれています)ことがなく、長期間安心して使えます。

今回は、Infranoiseから発売されたGPSクロック・ジェネレーターのGPS-777と5年前から発売されている水晶発信子を使ったクロック・ジェネレーターCCG-525、逸品館がお薦めしている水晶をオーブンで温めて使う恒熱式クロック・ジェネレーターAntelope
Audio Isocrone OCX、そしてGPSを使って0.1ppb以下の精度で10MHzのクロックを発信するAIRBOW GPS-10MH(試作機)をEsoteric K-01で聞き比べてみました。


GPSアンテナ付属 ケーブル長10m

INFRANOISE  GPS-777 ・ 専用電源ケーブル付属

クロック出力 44.1/48/88.2/96/176.4/192(KHz) BNC各1系統
アウトプット切り替え Musical Fidelity / High Fidelity
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 7W
外形寸法 W190×H56×D220mm
質量 1.200g
メーカー標準価格 ¥230,000(税別) この製品のご注文はこちら

超高性能なマスタークロックを発信する、GPSクロック・ジェネレーター。 (動作の動画

超高精度のクロック・ジェネレーターを搭載する(距離誤差を限りなくゼロに抑えるためには、誤差が限りなくゼロに近い基準クロックが必要)GPS衛星の電波を受信して、ルビジウムやセシウムを使った超高性能クロック・ジェネレーターを超える精度のマスタークロックを発信する、GPSクロック・ジェネレーター。

INFRANOISE CCG-525
クロック出力 2系統(BNC)・44.1KHz/48KHz
倍率×1/2/4(最大192KHz)
クロック入力 1系統(BNC)
電源 AC100V、50/60Hz
消費電力 4W
外形寸法 W190×H56×D220mm
質量 810g
メーカー
標準価格
¥85,000(税別)
この製品のご注文はこちら

高精度のマスタークロックを発信する、低価格の水晶クロック・ジェネレーター。

ベースクロック発信器に定評ある三田電波株式会社の温度補償型高精度水晶発振器、MX−0510 TCX0、±1.0ppm(0−50°)を採用したCCG−525は、INFRANOISE独自の高音質PLL及び分周回路により44.1KH〜192KHzまでの各周波数に変換された高精度なクロック出力を造り出します。外部クロック入力端子には、オーディオ機器として製造されたのではない測定用の高精度発信器や軍用の発信器(ルビジュウム、セシュウム、GPS利用)から得られる高精度な10MHzの基準出力を入力することで、さらに高精度なマスタークロックを発信することが可能となります。


Antelope Audio OCX 主な仕様

発信周波数

32kHz〜192kHz

クロック出力 BNC:8系統 、 S/PDIF:2系統 、 AES/EBU:2系統

クロック入力

別売りアトミッククロック入力(スルー端子付き):1系統

外形寸法

485 mm(W)×45 mm(H)×185 mm(D) ※突起部含む

重量

2.5 kg

メーカー標準価格

生産完了

高音質のマスタークロックを発信する、恒温型水晶クロック・ジェネレーター。

SOCHRONE OCXは、クォーツ・クリスタルを完全に隔離し温度管理されたオーブン内に設置し、クリスタル・オシレーターの“温度一定管理”、さらに独自の“ジッター・マネジメント・モジュール”を搭載し、前例の無い高音質のクロックを発信する、クロック・ジェネレーターです。

 

通信衛星等で採用されている”オーブン・コントロール・ディスクリート・クリスタル・オシレーター“は、最高レベルのクリスタル・オシレーターです。またディスクリート回路は、ICベースのものより、ノイズレベルが低いことはよく知られています。OCXはクォーツ・クリスタルを完全に隔離し、温度管理されたオーブンに設置すると共に、ディスクリート低ノイズ・トランジスターを採用しており、その結果、他社の競合製品と比較して、4−10倍の低ジッター、及び、100倍以上の超安定性を実現しています。アイソクロンOCXは、デジタルオーディオからデジタル臭さを取り去り、混じりけのない“ピュア・オーディオ音質”を具現化します。このOCX独自の驚くべきサウンドは、“ジッターコントロール・モジュール”に採用されているAFC(Acoustically Focused Clocking)テクノロジーをベースとしたDDS(Direct Digital Synthesis)により実現しています。

音質テスト

試聴は3号館「デジタルコンサートルーム」にて、Esoteric K-01と組み合わせて行いました。アンプとスピーカーには直前のイベントで使ったTAD C2000/M2500/E1を使っています。

K-01+CCG-525(176.4KHz)

整った音で音質も細かく、明瞭度も高いが、前後方向の奥行きに乏しく立体感にやや欠ける。

ハーモニーの分離やボーカルの明瞭度は非常に高く、一つ一つの音が明確に聞こえるが、 やや機械的(デジタル的)な感じで、あまり胸を打たない。テープヒスノイズの音が硬く、耳障りだが、それはK-01そのものの音色の延長線上とも言える。

音色:冷たい〜ニュートラル

高音:硬い、情報量は10点

中音:やや硬い、情報量は10点

低音:しまっている、情報量は10点

K-01+OCX(176.4KHz)

滑らかな音で音質が細かく、明瞭度も高い。楽器の響きが美しく透明で前後方向の奥行きが深く立体感に富む。

ハーモニーの分離やボーカルの明瞭度は自然で生々しい。一つ一つの音が明確に聞こえるが、ハーモニーは美しく混ざっている。非常に柔らかく(アナログ的)な感じで、胸にグッと来る。(ハートに響く)OCXがK-01の音色を支配したような鳴り方をする。

音色:暖かく透明感が高い

高音:柔らかく澄んでいる、情報量は13点

中音:滑らかで厚みがある、情報量は13点

低音:やや膨らむが量感がある、情報量は13点

K-01+GPS-777(176.4KHz)

整った音で音質も細かく、明瞭度も高いが、前後方向の奥行きに乏しく立体感にやや欠けるのはCCG-525と同じ。

ハーモニーの分離やボーカルの明瞭度は非常に高く、一つ一つの音が明確に聞こえるが、 やや機械的(デジタル的)な感じで、あまり胸を打たない。テープヒスノイズの音が硬く、耳障りなのもCCG-525と同じだが、音は圧倒的に細かい。CCG-525と同じようにK-01の音色を変えずに、そのまま性能を上げたような感覚がある。

音色:冷たい〜ニュートラル

高音:硬い、情報量は15点

中音:やや硬い、情報量は15点

低音:しまっている、情報量は15点

K-01+GPS-10MH(10MHz)

滑らかな音で音質が細かく、明瞭度も高い。楽器の響きの濁りと硬さが消え、余韻が美しく透明で減衰時間が長くなる。前後方向の奥行きも深く、立体感に富むがOCXほどK-01の音色を大きく変えてしまうことはない。

ハーモニーの分離やボーカルの明瞭度は自然で深い。S/Nが著しく向上し無音部分のノイズ感が非常に小さくなった結果として、弱音部の表現力が飛躍的に向上する。音の立ち上がりが早くなり、一つ一つの音が明確に聞こえる。無理なく、癖なく、音質が改善する感じ。

音色:ニュートラルでS/N感が高い

高音:透明に澄み切っている、情報量は15点

中音:滑らかでニュアンスが細かい、情報量は15点

低音:引き締まっている、情報量は15点

試聴後感想

この試聴テストは、逸品館のU streamチャンネル録画を残しています。詳しくはそちらをご覧いただければ、豊富な情報が得られると思います。今までの経験から、クロック・ジェネレーターの音質について次のような感想を持っています。

クロック・ジェネレーターの音質は、精度(スペック)や価格とあまり関連がない。

クロック・ジェネレーターには、固有の色づけを持つ。

クロック・ジェネレーターは、オーディオケーブルと同じように、好き嫌いで選ぶもの。

今回のテストでもその感想を裏付ける結果が得られたように思います。音質はOCXが最も柔らかくアナログ的で、メーカーの説明その通りの音でした。自然で心地よく聴き疲れしません。Infranoiseの2機種はどちらも全く同じ音質で(もしかするとGPS-777はCCG-525を10MHzのGPS信号で高精度化しているのかも知れないと思えるほどに)K-01との組み合わせでは、音は細かいのですがエッジが硬く前後方向への奥行きも小さく、あらゆる音が細かく鋭くなる印象で聴き疲れしてしまいました。この傾向は搭載されるアウトプット・セレクターのポジションを変えても大きくは変わりませんでした。しかし、これはK-01の持つ音色がそのまま強調されたからかも知れません。AIRBOW GPS-10MHは音質改善効果の感覚はGPS-777ほど派手ではありません。S/Nが高まって個々の音が寄り研ぎ澄まされて細かくなるような印象で、OCXほどではありませんが滑らかで立体感も改善されました。効果の出方としては最も自然で無理がない(色づけが皆無)感じがしましたが、それは供給するクロックの周波数が飛び抜けて高い(10MHz)からかもしれません。また、AIRBOW GPS-10MHをOCXに繋いでからK-01にWord Clockを入力すると、OCXの音色のままで性能が格段に向上したことからも、AIRBOW GPS-10MHの色づけが少ないことが伺えました。

最後に開発中のAIRBOW GPSクロック・ジェネレーターについて少し触れたいと思います。この製品はInfranoiseのGPS-777と同じようにGPSを使って高精度なクロックを発信するところは同じですが、発信する周波数がGPS-777:Word Clock(44.1-192KHz)に対しAIRBOW GPS-10MH:Atomic Clock(10MHz)と周波数が全く異なります。伝送的には周波数の高い10MHzの方が音質的には有利だと思われますが、組み合わせる機器との相性で結果が変わるかも知れません。搭載する水晶発信子は、Antelope Audioと同じように恒温度型で温度が安定するまでに約1時間ほどかかります。さらにGPS衛星を捉えて動作が安定するまでには、そこから数時間以上かかるなど、電源を投入してから精度が最高に達するまでに12-24時間と長い時間が必要です。GPS-777の説明書には安定化までの時間が15分と記されていますから、内容は随分違うと思われます。インフォメーション(表示機能)は、ランプだけのGPS-777に対し、GPS-10MHには動作状況と出力するクロックの「ジッター」を表示する機能を搭載しています。発表から発売までに長い時間がかかっているのは、このような細かい部分の開発と各種のオーディオ機器と実際に繋ぎ動作確認をしていたからです。アンテナはGPS-777ほど高級ではありませんが、アンテナやアンテナケーブルは音質にさほど大きな影響を与えなかったので、使い勝手の向上と発売価格を下げる目的であえて小さいアンテナと細いケーブル(窓から引き込みやすい)を採用しました。発売時期は2012年春を予定しています。発売価格は15-18万円を目指していますのでGPS-777よりはわずかに安くなると思います。

 (表示パネルの動作状況の動画はこちらからご覧いただけます)

2011年11月 逸品館代表 清原 裕介

ABS9999,ABS7777、CRV555の音質はこちら

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