今回のテストでもその感想を裏付ける結果が得られたように思います。音質はOCXが最も柔らかくアナログ的で、メーカーの説明その通りの音でした。自然で心地よく聴き疲れしません。Infranoiseの2機種はどちらも全く同じ音質で(もしかするとGPS-777はCCG-525を10MHzのGPS信号で高精度化しているのかも知れないと思えるほどに)K-01との組み合わせでは、音は細かいのですがエッジが硬く前後方向への奥行きも小さく、あらゆる音が細かく鋭くなる印象で聴き疲れしてしまいました。この傾向は搭載されるアウトプット・セレクターのポジションを変えても大きくは変わりませんでした。しかし、これはK-01の持つ音色がそのまま強調されたからかも知れません。AIRBOW
GPS-10MHは音質改善効果の感覚はGPS-777ほど派手ではありません。S/Nが高まって個々の音が寄り研ぎ澄まされて細かくなるような印象で、OCXほどではありませんが滑らかで立体感も改善されました。効果の出方としては最も自然で無理がない(色づけが皆無)感じがしましたが、それは供給するクロックの周波数が飛び抜けて高い(10MHz)からかもしれません。また、AIRBOW
GPS-10MHをOCXに繋いでからK-01にWord
Clockを入力すると、OCXの音色のままで性能が格段に向上したことからも、AIRBOW
GPS-10MHの色づけが少ないことが伺えました。
最後に開発中のAIRBOW
GPSクロック・ジェネレーターについて少し触れたいと思います。この製品はInfranoiseのGPS-777と同じようにGPSを使って高精度なクロックを発信するところは同じですが、発信する周波数がGPS-777:Word
Clock(44.1-192KHz)に対しAIRBOW GPS-10MH:Atomic Clock(10MHz)と周波数が全く異なります。伝送的には周波数の高い10MHzの方が音質的には有利だと思われますが、組み合わせる機器との相性で結果が変わるかも知れません。搭載する水晶発信子は、Antelope
Audioと同じように恒温度型で温度が安定するまでに約1時間ほどかかります。さらにGPS衛星を捉えて動作が安定するまでには、そこから数時間以上かかるなど、電源を投入してから精度が最高に達するまでに12-24時間と長い時間が必要です。GPS-777の説明書には安定化までの時間が15分と記されていますから、内容は随分違うと思われます。インフォメーション(表示機能)は、ランプだけのGPS-777に対し、GPS-10MHには動作状況と出力するクロックの「ジッター」を表示する機能を搭載しています。発表から発売までに長い時間がかかっているのは、このような細かい部分の開発と各種のオーディオ機器と実際に繋ぎ動作確認をしていたからです。アンテナはGPS-777ほど高級ではありませんが、アンテナやアンテナケーブルは音質にさほど大きな影響を与えなかったので、使い勝手の向上と発売価格を下げる目的であえて小さいアンテナと細いケーブル(窓から引き込みやすい)を採用しました。発売時期は2012年春を予定しています。発売価格は15-18万円を目指していますのでGPS-777よりはわずかに安くなると思います。
(表示パネルの動作状況の動画はこちらからご覧いただけます)
2011年11月 逸品館代表 清原 裕介
ABS9999,ABS7777、CRV555の音質はこちら