Marantz M-CR502 試聴 TEAC PD-H600 AG-H600 音質 AIRBOW Singing Box2 比較 テスト

Marantz M-CR502 、 TEAC AG-H600 、 PD-H600
AIRBOW Singing Box2
 試聴 比較 音質 テストリポート

AIRBOWからSinging Box2を発売するのを機会に、ほぼ同価格帯のAIRBOW CDプレーヤー/プリメインアンプのセットLittle Cosmos3と価格が約2倍のTeac PD-H600とAG-H600のセットの3機種を聞き比べてみました。

AIRBOW Singing Box2 (後継モデルはこちら
販売価格 ¥95,000(税込)
生産完了しました

付属のリモコン。

チューナー

FM/AM ステレオ

USB入力

フロント1系統

ライン入力

RCA:2系統(リア)
ミニステレオ:1系統(フロント)

ライン出力

RCA:1系統(AUX)

サブウーファー出力

RCA:1系統

ヘッドホン出力

ミニステレオ:1系統

スピーカー出力

A/B2系統(バナナプラグ対応)

定格出力

50W(8Ω)×2
25W(8Ω)×4(バイアンプ時)

消費電力

45W

寸法(mm)

280×111×302(W,H,D)

質量

4.2Kg

Singing box2の特徴 (ベースモデル M−CR502共通)

幅280mmのコンパクトなサイズに、マランツがHiFiで培った技術を詰め込んだNew digital Life Style製品。ヨーロッパで絶賛されたユーロモダンなデザインにCDプレーヤーとAM/FMチューナーを搭載した"プレミアムコンパクト" M-CR502は、お気に入りのスピーカーを追加するだけで音楽再生が楽しめます。サイズの制約をクリアし高音質を実現するために、内部はフルデジタル伝送とし、マランツならではの質感のある音楽再生を実現しました。
◆ ユーロモダン デザイン
背面を含んだ4面4mm厚のアルミニウムのラウンドフォルムが今までとは全く違った質感を醸し出し、リスニングルームをスタイリッシュに演出します。
◆ 4chデジタルパワーアンプ
幅280mmというサイズでパフォーマンスを最大限得るために、内部をデジタル化しました。
25Wデジタルアンプを4ch搭載し、バイアンプによるスピーカー接続※に対応します。
◆ 2(A、B)系統スピーカーターミナル
2系統のスピーカーターミナルにより、2組のスピーカーを別々の部屋で駆動することや、バイアンプ接続※に対応します。
また、Aのスピーカーは固定でBのスピーカーを±6dBの範囲で調整出来ます。
◆ フルデジタル伝送
当社単品CDプレーヤー CD5003と同一のメカニズムを搭載し、CDから読み取ったデジタルオーディオデータをそのままデジタルアンプに伝送するフルデジタル伝送を実現しました。これにより、音の鮮度を保ったままスピーカーを駆動する事が出来ます。
◆ USB入力端子搭載
フロントパネルにUSB端子を搭載しました。MP3、WMAに対応し、デジタル信号のまま本機に伝送出来ます。
◆ FM/AMチューナー内蔵
FM/AMチューナーを内蔵し、FM 30局、AM 20局のプリセットが可能です。
◆ 外部入力端子搭載
フロントパネルに デジタルオーディオプレーヤーの接続に便利な3.5o外部入力(AUX1)端子を搭載しました。
入力信号は本機内部でデジタル変換されてからデジタルアンプに送られますので、高音質な音楽再生が楽しめます。
◆ プリセットサウンドEQ
5種類のサウンドイコライザーをプリセットしました。
スピーカーの置かれる位置に応じたサウンドイコライザーをA、Bスピーカー別々に選択出来ます。
※ バイアンプ接続
バイアンプ接続はHiFiオーディオ的な考え方の接続です。
バイワイヤリング接続可能なスピーカーに高域用、低域用それぞれの端子があり、各々を別々のアンプで駆動する事により、スピーカーで発生する逆起電力が高域用、低域用に干渉することを防ぎ、より純度の高い音楽を再生する事が可能となります。

AIRBOW Little Cosmos 3 この製品のご注文はこちら) 
セット販売価格 ¥110,000(税込)

CDプレーヤー CD5003/LC3 ¥58,000(税込)

再生可能ディスク

音楽CD、CD-R、CD-RW
(MP3、WMAファイル対応)

アナログ出力

RCA:1系統

デジタル出力

RCA:1系統
TOS(光):1系統

ヘッドホン出力

標準ステレオ:1系統

消費電力

14W

寸法(mm)

440×104.5×339.5(W,H,D)

質量

5.1Kg

CD5003/LC3 付属リモコン

プリメインアンプ PM5003/LC3 ¥58,000(税込)

ライン入力

RCA:3系統

フォノ入力

RCA:1系統(MM)

テープ出力

RCA:2系統

ヘッドホン出力

標準ステレオ:1系統

スピーカー出力

A/B2系統(バナナプラグ対応)

定格出力

40W(8Ω)×2
55W(4Ω)×2

トーンコントロール

BASS(100Hz)/TREBLE(10kHz)

消費電力

110W

寸法(mm)

440×104.5×369.5(W,H,D)

質量

6.7Kg

PM5003/LC3 付属リモコン

Little Cosmos3の特徴 (ベースモデル CD5003/PM5003共通)

CD5003

◆ SA8003&SA7003と同様にマランツオリジナルドライブとHDAM(R)SA2テクノロジーを採用したハイクオリティーなオーディオ回路
◆ 新規開発のドライブメカモジュール&内部コンストラクションを採用
CD5003では内部コンストラクションを一新。 センターにメカモジュールを配置しブロック化を図りました。 機器内部は左側に電源回路とコントロール系、右側にデジタル/アナログオーディオ回路とし、合理的なレイアウトに徹しました。 内部の音楽信号系は信号ロスの無い伝送を行うため、できる限りシンプルで線路長を短くするような設計としました。

◆ 高音質再生のためにAudioEXモード
◆ MP3/WMAファイル再生対応

◆ ハイパフォーマンスDAC シーラスロジック社製CS4392を搭載
マランツ製上級プレーヤーで採用され定評の、シーラスロジック社製高性能D/AコンバーターCS4392をCD5003にも搭載しました。

◆ 高速電流バッファーアンプ搭載のヘッドホン出力回路
◆ L/R独立金メッキ出力端子採用
◆ 任意に5〜60秒にセットできるクイックリプレイ(CD-DAのみ)
◆ スピードの調節に便利な±12ステップのピッチコントロール
◆ テキスト情報をFLディスプレイに5×7ドットで表示するCDテキスト表示機能(英数字のみ)
 システムリモートコントロール端子装備
◆ ワイヤレスシステムリモコン付属
◆ 着脱式電源ケーブル

PM5003

◆ プリアンプとパワーアンプに電流帰還型回路を搭載
プリアンプとパワーアンプには高速な電流帰還方式の増幅回路を採用。 入力信号を忠実に増幅し、自然な音場空間を再現します。

◆ 完全ディスクリートアンプ回路とインプットバッファー回路
上位機種と同様、プリアンプ、パワーアンプ、トーンコントロールを独立させた構成です。 パワーアンプはディスクリート構成、トーンコントロールはアクティブフィルター構成です。 SN比やチャンネルセパレーションの向上を図るため、インプットバッファー回路を搭載しました。

◆ グレードの高いスピーカーターミナルを採用
バイワイヤリング接続に対応したスピーカーシステムとの組み合わせが可能です。 バイワイヤリング接続は低音用スピーカーユニットで発生する逆起電力が中高音用スピーカーユニットに及ぼす影響を最小限にします。 また2系統のスピーカーシステムを接続し、選択使用することもできます。 バナナプラグにも対応しています。

◆ MMカートリッジ対応フォノ入力端子搭載
フォノイコライザーの搭載により、手軽にアナログレコードを楽しむことができます。

◆ ソースダイレクトの採用
トーンとバランス回路をワンタッチでバイパスするソースダイレクトを装備。 音楽信号の純度を保った高音質な再生が可能です。

 ラウドネス機能
ラウドネス機能により、低音量再生時の低域と高域の音量感を補正します。

◆ REC OUTバッファー新規搭載
REC OUTバッファーを追加したことで、REC OUT端子に接続された機器の影響を排除します。
◆ システムリモートコントロール端子装備

◆ ワイヤレスシステムリモコン付属

 着脱式電源ケーブル

TEAC PD-H600 、 AG-H600 

PD−H600(CDプレーヤー)

メーカー希望価格 ¥120,000(税別)

AG−H600(レシーバー)

メーカー希望価格 ¥120,000(税別)

CDプレーヤー PD-H600 ¥120,000(税込)
生産完了しました

再生可能ディスク

音楽CD、CD-R、CD-RW

アナログ出力

RCA:1系統

デジタル出力

RCA:1系統

消費電力

8W

寸法(mm)

290×102×308(W,H,D)

質量

5.4Kg

PD−H600 付属リモコン

PD-H600 付属リモコン

CDレシーバー AG-H600 ¥120,000(税込)
2014年6月に100台入荷しました。
\39,800(税込)・iPodドックは付属しません。
ご注文はこちら

チューナー

FM/AM ステレオ

i-pod接続端子

専用ドック付き:1系統

ライン入力

RCA:3系統

フォノ入力

RCA:1系統(MM)

テープ出力

RCA:1系統

ヘッドホン出力

標準ステレオ:1系統

スピーカー出力

A/B2系統(バナナプラグ対応)

定格出力

75W(8Ω)×2
90W(4Ω)×2

消費電力

80W

寸法(mm)

290×102×338(W,H,D)

質量

6.8Kg

AG−H600 付属品

PD−H600、AG−H6003の特徴

PD-H600

 大型トロイダルトランス採用の電源部
アンプにおいて最も重要な電源部には、大型トロイダルトランスと整流ダイオードにリカバリー特性に優れたショットキーバリア・ダイオードを採用し、安定した電流供給を可能にしています。さらにパワー段の安定のためオーディオ用途として電流供給能力と放熱性に優れ、実装面積の削減、EMI(電磁干渉)雑音の低減にも優れたPOWER MOS FET(Direct FETパッケージ)を採用、オーディオ特性THD(全高調波歪率)の向上を図っています。

 高剛性センターレイアウト構造の採用
基本となるレイアウトは、電源を含めたトータルバランスを考慮したセンターレイアウト構造とし、筐体にはアルミ材をふんだんに使用した高剛性構造を採用しました。

 徹底した振動およびノイズ低減対策
前述の高剛性シャーシおよびセンターレイアウトにより不要振動を低減。また、ノイズに関しては、低ノイズ独立マスタークロックジェネレーター回路の採用に加え、DACへの回路が最短となる部品配置など、干渉ノイズの低減対策を行っています。

 安定した動作を支える電源回路
これらを支える電源部には、レシーバー同様大型のトロイダルコア電源トランスの採用に加え、直流電源の安定化を図るためにシャントレギュレーターを採用しています。
 7mm厚アルミ材使用のフロントパネル

 CD-R/RWおよびMP3やWMA(Windows Media Audio)ファイルの再生に対応

 再生ソース、トラックナンバー、再生時間を表示可能なドットマトリックスディスプレイ採用

◆ 専用多機能ワイヤレスシステムリモコン付属
 市販ケーブルも使用可能な3端子電源コネクタ装備

AG-H600

 大型トロイダルトランス採用の電源部
アンプにおいて最も重要な電源部には、大型トロイダルトランスと整流ダイオードにリカバリー特性に優れたショットキーバリア・ダイオードを採用し、安定した電流供給を可能にしています。さらにパワー段の安定のためオーディオ用途として電流供給能力と放熱性に優れ、実装面積の削減、EMI(電磁干渉)雑音の低減にも優れたPOWER MOS FET(Direct FETパッケージ)を採用、オーディオ特性THD(全高調波歪率)の向上を図っています。

 徹底したノイズ低減対策
トーンダイレクト機能をはじめ、干渉ノイズ低減のための動作時FLディスプレイ管消灯機能、ELNAコンデンサーやHi-Fi用抵抗などの低ノイズオーディオ専用部品の使用、パワーアンプ出力段へのOFCフィルターコイルの採用などノイズ低減のための対策を徹底しました。

 75W+75WのClass-D(デジタル)アンプ
パワーアンプ部はパワー効率に優れたデジタルアンプを採用。日本の優れた設計技術とヨーロッパの歴史に裏打ちされたサウンドチューニングにより現代的でありながら奥の深いヨーロピアンサウンドを実現しました。

 iPod用ドッキングステーション標準付属
iPodをダイレクトに接続可能なiPodドックを標準付属。iPod専用ポジションの装備およびリモコンによるiPodのコントロールはもちろん、ドッキングステーションに接続中はiPodの充電も可能です。

 7mm厚アルミ材使用のフロントパネル
 AM/FM各10局のプリセットが可能なチューナー機能
 MMカートリッジ対応フォノイコライザーアンプ搭載
 バナナプラグ対応本格大型スピーカーターミナル採用
 市販ケーブルも使用可能な3端子電源コネクタ装備

音質テスト 

テスト環境

今回は、条件を揃えずにバラバラな環境でテストを行いました。そのため結果はあくまでも「相対的な音質傾向の違い」と捉えて下さるようお願い致します。また、他のテストにも共通しますが、ここで聞いた音とご自宅で聞かれた音は「傾向は同じ」ですが「絶対的な音質」は一致しません。

なぜなら、スピーカーから出る音で直接耳に入るのは、せいぜい3割程度でしかないからです。残りの7割は壁や天井からの反射音です。コンサートホールで楽団の音が変わってしまうのと同じで、オーディオ機器の音は部屋で大きく変わります。しかし、十分な訓練を積んだオーケストラがホールの違いを克服して「いつも同じような音」を出せるのと同じように、オーディオも「セッティング」や「アクセサリーの選び方」で部屋や組み合わせる機器の違いを超えて「同じような音」を出すことは不可能ではありません。事実、私自身がセッティングを行ったシステムは環境や装置が全然違っても「似た傾向の音」になります。

また、今回(他のテストもほぼ同様に)機器のテストを行っている、逸品館3号館の「リビング・リスニング・ルーム」は、とりたてて特別な環境ではありませんし、特別に音が良くする工夫もしていませんので、それほど難しい努力をしなくてもこのテストの結果のような「音」を出していただけると思います。

では、参考までに今回のテスト環境をご紹介しましょう。

TEAC PD-H600+AG-H600は、KRIPTON AB-G2500の上に設置し、電源ケーブルにはAIRBOW KDK-OFCを使いました。

AIRBOW Singing Box2は、KRIPTON AB3000の上に設置し、電源ケーブルにはAIRBOW KDK-OFC/M1.85を使いました。

電源は、生産完了モデルのTEACの電源ディストリビューター(黄色矢印の位置)から取りましたが、このディストリビューターは「ただのコンセント」と同じで、音質改善効果はほとんどありません。

AIRBOW Little Cosmos3のCDプレーヤー(CD5003/LC3)は、下にAIRBOW Metal Sheet 0.6(アース付き)を敷いて設置し、アンプ(PM5003/LC3)をAIRBOW 人工大理石ボード(JDB354506)の上に設置しました。電源ケーブルは付属品を使っています。(ボードの詳細音質テスト結果はこちら

電源は、AIRBOW ABPT-4.30H相当品から給電しています。

スピーカーケーブルには、これもかなり以前から使っているACROTEC 6N-S1090にAudio-Technicaのバナナプラグ(AT6147)をアンプ側に繋いだものを使っています。このケーブルの音質は、現行製品なら AIRBOW HCR-ACF/EZに相当します。

使用したスピーカーとソフト

聞き比べは、次の4種類のスピーカーとソースを組み合わせて行いました。

 

PMC

IB1S

\1,152,000(ペア・税別)

AIRBOW CLT-3

\138,000(ペア・税込)

ANIPA

上松美香

UCCS-1088

アンプのテスト時にTANNOYと交響曲のソフトを組み合わせると、「スピーカーの響きとソフトに収録されている響き」が混じり合ってしまうため「アンプの音(今回はCDプレーヤーも含む)」が判別できなくなります。店頭でも試聴ソースに「交響曲」を持参されるお客様がいらっしゃいますが、指揮者もしくは熟練した演奏家でなければ、交響曲をソースに機器の音質を判断することはほぼ不可能です。結局、いろんな機器を聞き比べたあげくに「どれが良いか分からない」という結論になってしまうか、購入した後で「こんな音だったかな?」ということになりかねません。

それに対し、共鳴部分をほとんど持たないアルパ(小型のハープ)をPMCのモニタースピーカーと組み合わせると「不要な響き」が発生せず、「アンプ本来の持ち味(アンプによって作られる音)」が非常によくわかります。

また、エフェクトによって音が変えられている電気楽器と違って、アルパのような「単純な構造のアコースティック楽器」から音が出る場合には「自然の物理法則」が絶対に曲がりません。そのため、組み合わせるシステムの「電気的な個性(現実にはあり得ない音の変化)」の判別が可能となります。

VIENNA ACOUSTICS

T3G

\638,000(ペア・税別)

DJ KAORI'S JMIX-2

DJ KAORI

UMCK-1272

「天然の音」の代表格「アコースティック楽器」から、「人工の音」の代表格である「電気楽器の音(打ち込み音源)」が主体となる(ボーカルですら加工されている)「POPS」にソースを変え、スピーカーにも「美しい響き」を持つウィーンアコースティックのT3Gをチョイスし「組み合わせるシステムの雰囲気」の違いを聞き比べてみました。

また、逸品館で最も多く売れている家庭用としては最高級と考えられるVienna Acoustics T3Gと、普段最も広く聞かれているであろうJ-POPを組み合わせることで、「今回テストした機器が、大型スピーカーをどこまで鳴らせるのか?」を探る目的も兼ねています。

Sonus Faber

Minima Vintage

\450,000(ペア・税別)

THE COMPOSER PLAYS

ANTONIO CARLOS JOBIM

823 011-2

(輸入盤)

通常このクラスに組み合わそうな「小型スピーカー」の中から、ウィーンアコースティックと同じような「個性ある響き」を持つものとして、Sonus FaberのMinima Vintageを選び、実際の使用状態になぞらえた音質評価を行いました。

同時にシステムの持つ「ムード」も確かめられます。

PMC

LB1i / Signature

\500,000(ペア・税別)

BACH CONCERTOS

HILARY HAHN

LOS ANGELES
CHEMBER ORCHESTRA

JEFFREY KAHANE

474 639-2

通常このクラスに組み合わそうな「小型スピーカー」の中から、最も性能の高い製品としてPMC LB1i Signatureを選び、音源にも最も複雑(情報量が多い)交響曲を組み合わせることで、小型スピーカーを組み合わせた場合の各々の製品の「実力の限界」を探りました。

また、省スペースの「音が良いシステム」はどれくらいの音質まで実現できるか?のテストも兼ねています。

 

Little Cosmos3

繊細感、透明感、ハイビジョン的質感の高さを強く感じる美しい音。

エコーが豊富で濁りがなく、楽音の分離感が明瞭。

AIRBOWらしく、音が自然(自然の法則にピッタリと当てはまり、不自然な動きをしない)。

爪が弦にタッチした感覚は、3機種の中で最も克明に感じられる。

美しいものに見とれている、聞き惚れるような音。コンサートホールで聞くアルパの音。観客席(S席)の音。

Singing Box2

Little Cosmos3で感じられた、繊細感、透明感、ハイビジョン的質感の高さはやや後退する。

エコーも少なくなるが、楽音の分離感はLittle Cosmos3同様に十分高いレベルにある。

音が自然(自然の法則にピッタリと当てはまり不自然な動きをしない)のは、Little Cosmos3と同じ高いレベルにあるが、インバータ電源を搭載するSinging Box2の方がよりアタックが鮮明に再現される。

爪が弦にタッチした瞬間から、弦の動きが止まるまでの一連の流れは、Little Cosmos3よりも精度が高い。Little Cosmos3は、Singing Box2と聞き比べた場合、動きの流れの精度が僅かに落ちるが(聞き比べないと分からない)、その細やかさ精緻さではSinging Box2を上回る。

響きの美しさも含めて「美音」で聞かせるLittle Cosmos3に対し、もっと楽器に近い場所で「しっかりした音」を聞かせてくれるのがSinging Box2の特徴だ。


PD-H600+AG-H600

音が出た瞬間「ほっ」とするような、滑らかで暖かく太い音が出る。好きな音で嫌いではないが、生の音との違いがAIRBOWの2機種よりも大きい。

アタックから音が消えるまでのスケールが僅かにリニアでなく、なおかつ楽器のアタック音が丸いため、弦の材質がより柔らかく聞こえる。

耳当たりが滑らかなので、演奏にレガートが掛かったようなイメージになり、曲の速度もほんの少しゆっくりに感じられるが、それは決して不愉快ではない。

仕様書を見るまでこの製品に「デジタルアンプ」が搭載されているとは思わなかったほど、今まで聞いたデジタルアンプの中では、群を抜いて音が滑らかだし、温かさがある。

音の厚みも十分でデジタルアンプを搭載しているにもかかわらず、真空管アンプのような柔らかさや、色彩の美しささえ感じさせる。

細部の描写や表現力の緻密さでは、AIRBOWの2機種にやや及ばないが、絶対的にはかなり緻密で滑らかなこのサウンドをAIRBOWの2機種よりも高く評価する人は決して少なくないと思う。

生音との比較ではAIRBOWが明らかにそれに近いが、聞き慣れた「オーディオ的な美音」がこのセットからは出る。安心して聞いていられる音。

Little Cosmos3

カミソリですぱっと切られたように鋭い音のエッジ。AIRBOW独特の「切れ味」のあるサウンドに驚かされる。そのため、アタックの穏やかなPD-H600+AG-H600とは明確に異なり、「耳に聞こえる音」が明らかに違う。

ボーカルが主役に聞こえたPD-H600+AG-H600に対し、Little Cosmos3では伴奏の楽器の音がそれよりもかなり明瞭に聞こえる。Little Cosmos3には、音の裏側の音、影に隠れている音がボーカルの後ろに透けて見えるような独特の透明感が感じられる。このクラスとしては考えられないほど音が細かく、小さい音までもれなく、いっぱい聞こえるのも魅力的だ。

あらゆる音の明瞭度が高く、明快なサウンドで歯切れ良くJ-POPを聞かせるが、音量やソフトとの相性によってはPD-H600+AG-H600の「穏やかな高音」がより好ましいこと感じられるもあるかもしれない。

ハイビジョン的なサウンドのLittle Cosmos3は「高域が美味しいサウンド」だ。

Singing Box2

Little Cosmos3に比べて中低音のパワー感が抜群でリズミカルにJ-POPが鳴る。

絶対的な量感ではPD-H600+AG-H600に負けているかも知れないが、ボディーの軽さが信じられないほどスピーカーの駆動量と制動力に優れ、低音がビシッ!と止まる。体感するベースのリズムや低音階の明瞭度では、三台中最も優れてる。インバータ電源が使用されている良さが低音のパワフルさに出てくる。

音の細やかさや美しさでは、やはりアナログ回路を搭載するLittle Cosmos3に及ばないが、帯域バランスや音の自然さ(アタックから音が消えるまでのスケールのリニアリティー)では、Singing Box2がLittle Cosmos3を凌駕するように感じられ、自然体で音楽が体に入ってくる。

Little Cosmos3ほど過剰なまでの細やかさは感じない。PD-H600+AG-H600のように柔らかすぎるもどかしさもない。音楽とリスナーとの距離感が適切で、いつまで聞いていても疲れることがなければ、飽きることもない。「自然さ」とモットーとし、中でも秀でていると感じていたLittle Cosmos3との比較でも、Singing Box2はさらに「自然体」で音楽を再現できる雰囲気を持っている。知らず知らずの間に、ボーカルに合わせて口ずさんでいるような、そんな楽しいサウンドだ。

 完成してからLittle Cosmos3と直接比較したことはなかったし、デジタルアンプを搭載していてチューニングに苦労したことなどから「絶対的な音質はLittle Cosmos3に及ばない」と感じていたのだが、どうやらその印象は間違っていたようだ。


PD-H600+AG-H600

耳当たりが良く、嫌みがなく、明るくて楽しい音。

低音の量感は十分だし、ボーカルの聞き取りもきちんと出来るけれど、音のエッジが丸くやや「ぬるく」感じられる傾向がある。マニアなら、この音を「真空管の様」だとか「A級/FETらしい」と呼びそうな、暖かく柔らかいサウンド。

PD-H600+AG-H600の持ち味である「エッジの緩さ」は、アコースティックな音源とマッチしにくく、電子音とはマッチしやすいのだが、なぜかPD-H600+AG-H600はアコースティックな音が得意で、電子音だと楽器(音)の切れ味がやや物足りない印象がある。

低音もT3Gとの組合せでは、制動力がやや不十分で「無理して鳴っている感じ」が少しある。量はあるが、膨らんでしまう傾向の低音だ。

しかし、それらはすべて「あら探し」的な評価だ。保証するが、PD-H600+AG-H600は良い音だ。誰が聞いても、J-POPを楽しめるレベルの高いサウンドを実現できる。

Little Cosmos3

Singing Box2、PD-H600+AG-H600と比べて音が細やかで空間が広い(音がより大きく広がる)。ストリングスは響きが豊かで、ピアノやフルート、パーカッションの音色が鮮やかだ。

J-POPでも感じたが、一つの楽器にスポットを当てたような鳴り方をせず、全部の楽器に均等にムラなく光を当てているようなイメージで、すべての楽器の音を細やかで明瞭に鳴らし分ける。このクラスでは出にくい、透明感(濁りのなさ)も高い。

低音も充分に出ているのだが、やはり「繊細」に音楽を鳴らしている感覚が強く、高音が勝ち気味に聞こえる。開発段階では、そのような感覚を覚えたことがないので、今回の設置状況に原因があるのかも知れない。

ピアノは説得力を持ってポロポロ鳴る。弦楽器の重なりも団子にならず、ほぐれて爽やかで、各楽器のプレゼンスが非常に美しい。

演奏の気持ち(心情)を訴えてくる力はLittle Cosmos3が3台の中で特に高く、音楽のドラマチックな側面をクローズアップし、演奏者との距離を最も近く感じさせてくれる。

Singing Box2

J-POPでの印象と同様に音が明るくて軽やかだ。

これまで演奏したすべてのソフトで感じたことと共通するが、超高域の透明感や繊細感でLittle Cosmos3が勝る反面、音が出て消えるまでの無駄な響きのなさが特徴的で、それが独特の軽快さを生み出している。

この「余計な味がしない、のど越しスッキリ感覚」のサウンドは、アナログレコードをシュアーなどのMMカートリッジで聞く雰囲気によく似ている。

パーカッションは切れ味鋭く、無駄な余韻がなく清潔。弦楽器もさっぱりした音だ。ピアノも虚飾のないドライな音で鳴り、ピアニストのタッチやピアノの音色の変化は克明で正確だ。ストリングスもやはりさっぱりした音だが、それぞれの音の間(倍音の間)にきちんとした隙間があり、立体的に音が広がるので、聞き疲れることなく音楽を自然体で聞き続けていられる。

難を言うなら、その音は私が鳴らしたいMinima Vintageの音とはちょっと違う。Singing Box2がMinima Vintageから引き出すのは、JBLが「オレンジサウンド」と呼ばれていた頃のなカラッとした明るい音。底抜けに陽気な音で鳴ったALTECのような音。アメリカ西海岸のサウンドを想像させるような、カラッとした明るい音でMinima Vintageが鳴る。いい音なのだが、Minima Vintageはもっとしっとりと鳴らしたいという欲が出る。


PD-H600+AG-H600

Singing Box2と聞き比べると、オーディオ的な音味がほんの少し感じられる。

私の言うオーディオ的な音味とは、シンセサイザー的な?あるいはPAを使ったような、そういう「電気的な色づけ」のことを指すが、先に書いたようにそれは「ほとんどの場合音楽の表現には問題とならない」し、ましてPD-H600+AG-H600のそれは「音楽を劣化させるもの」ではないことは付け加えておきたい。

記憶しているそれぞれの楽器の原音と比較すると、弦やパーカションの響きが増えている。響きが増えることで、「奏者が楽器に長く触れているように=奏者が楽器をタメて弾いている」ように感じられる。

切れ味は後退するが、このPD-H600+AG-H600が作り出す穏やかで厚みのあるサウンドは耳に心地よい。響きが増える分、音の細やかさや色彩の鮮やかさもSinging Box2より多く感じられるようだ。

Singing Box2で聞くボサノバは、ライトで軽いタッチ=明るい昼下がりの音楽に感じられ、PD-H600+AG-H600では夕刻〜夜にかけてのムードのある音で聞ける。Minima Vintageとの組合せでは、PD-H600+AG-H600がよりその持ち味を引き出している。

Little Cosmos3

ソフトを交響曲に換えた途端、Little Cosmos3が俄然本領を発揮する。

ボサノバを聴いていた時のコンポとは考えられないような、全く別物の驚くべき鳴り方をする。LB1i Siginatureが軽々と歌い、音楽が部屋の隅々にまで満ちて行く。

コンサートマスターだけにスポットが当たるのではなく、伴奏の一人一人のきちんとした仕事まで明確に聞き取れ、その力が引き出されるような圧倒的なハーモニー重厚感がこのサイズのスピーカーとこの価格帯の製品で実現するのを目の当たりにするのは、驚きを通り越してあきれるとしか表現できないほどの衝撃だ。

この組合せで聞くヒラリー・ハーンのバイオリンはとてもデリケートで訴求力が強い。伴奏のチェロやベース、バイオリンのハーモニーも透明感が高くとても美しい。濁りなく透き通って、繊細なこんな美しい音で交響曲を聴けるのは、心底驚きだ!

これは「嵌った」。ちょっとないくらい、めちゃめちゃいい音だ。

Singing Box2

Singing Box2の良さは「中低音のパワー感、エネルギー感の大きさ」にある。それはインバーター電源を使っていることと無関係ではなく、軽くても瞬発力の高い電源が搭載されていることで、この小さく軽い筐体から出ているとはにわかに信じがたいほどのエネルギッシュで厚みのある中低音がLB1i Signatureから出ることに驚かされる。

その反面、他の2機種と比べると弦楽器の超高次倍音が、ややマスキングされたようなイメージを覚える。超高域が足りないために音楽の表現が中音〜低音にシフトするが、それがかえって「高音がやや足りない感じの一般的なコンサートの音」に近く、妙な安心感や親近感を覚える。出来の悪いスーパーツィーターを外したような感じ?といえば、上手く伝わるだろうか?解像度はやや下がるが、演奏の雰囲気がフレンドリーになる。

不思議なのは、スピーカーを換えても音の傾向が大きく変わらないことでMinima Vintageから出て来た音とLB1i Signatureから出る音に大きな差が感じられない。

もちろん、高域の細やかさや低音の量感ではモニターの実力を発揮してLB1i SignatureがハッキリとMinima Vintageを凌駕するのだが、LB1i Signatureの持ち味である「凛としたクリアさ」や、Minima Vintageの持ち味である「ふくよかな響き」がSinging Box2で鳴らすと薄れてしまい「それぞれのスピーカーの個性」がよくわからなくなってしまう。

言い換えれば、どんなスピーカーを使ってもSinging Box2なら「ある程度以上の水準」でそれを鳴らしてしまうと言うことになる。

このようなスピーカーのサイズも問わず、銘柄も問わず、常にAIRBOWらしい自然で深みのある音が実現するのは、エントリーモデルとして最も重要なポイントだ。


PD-H600+AG-H600

交響曲の表現に突出したLittle Cosmos3と比べると「普通の音」に聞こえるが、中々どうしてこのクラスの国産製品としては、群を抜くバランスの嫌みない音で音楽を楽しませてくれる。

中低音にしっかりとした厚みがあり、高音は適度にほぐれて空間に上手く広がる。

耳当たりの良いサウンドは、万人に好まれるだろうが、その中にも弦のスピード感、スリリングな感じもきちんと表現されるのが素晴らしい。

低音楽器の圧力(押し出し感)もきちんと再現され、リズムとメロディー、ハーモニーも心地よい。この音なら、LB1i Signatureを充分に鳴らせてると言い切って良いだろう。

PMC LB1i Signatureの能力が非常に高いのは言うまでもないが、それを過不足なく引き出してくる、PD-H600+AG-H600も大したものだ。

総合評価

絶対的な音質では、高音の分解能、超高次倍音の伸びやかさでLittle Cosmos3が明らかにPD-H600+AG-H600とSinging Box2を上回る。特にアコースティックな音源の再現性ではその2機種を圧倒し、断トツに「音が良い」のは疑いがない。しかし、それがすなわち音楽の表現力の差になるか?と言えば、そういいきれないのがオーディオの面白く、また難しいところではないだろうか?

Little Cosmos3の良さは、中高域の圧倒的にデリケートな表現に集約される。まるで高級コンポーネントと聞き違えるほど、繊細でクリアな中高域は、アコースティック楽器やボーカルを至近距離で聞いているように生々しく再現する。

特に交響曲のような複雑な音源の再現は、この価格帯のどんな製品と比べても圧倒的に優れているから、楽器が多く使われる高度な音楽や楽器の音の純度を求めるなら、Little Cosmos3以外の選択はない。

録音の悪いソフトでも楽しく聞かせるのは、AIRBOWすべてに与えられた特徴だが、録音が良いソフトとPMCのように優れたモニタースピーカーとの組合せが、Little Cosmos3の能力をさらに大きく引き出すことが今回のテストで確認できた。

価格の限界でAIRBOWの高級機と比較すると、音の密度がやや足りずに音が薄く感じることがあるかも知れない。そんな時は、電源タップやケーブルやボード、あるいはRCAインターコネクトケーブルで積極的な音作りをすると良いだろう。

インシュレーターを奢ってやるもの良いと思う。CDプレーヤーとアンプが分かれているのは、チューニングの自由度を考えるとありがたい。いろんな工夫ができるからだ。しかし、調子に乗って高価なアクセサリーを多用すると、もう一台Little Cosmos3が買えてしまうから、やり過ぎには注意が必要だ。

Singing Box2の良さは、中低音のしっかりした感じとアタックの再現性の確かさにある。

高級機で設計を欲張り、回路を下手に複雑にすると音は細かくなるが元気がなくなる。これは国産の高級コンポにありがちな問題点でその結果、音楽表現を矮小化しかねない。お金をかけて音が良くなったはずなのに「音楽を楽しめなくなった」という原因は、ほぼこの問題に直面したからに違いない。

Singing Box2は、音の細やかさではそういう高級機に劣るが、逆に「音楽を楽しく表現する」、「音楽を得エネルギッシュに再現する」という部分には太鼓判を押せる。そのエネルギー感と瞬発力は、かなり高額なコンポと比べても全く遜色はない。

疑問があるとすれば、音がやや「安っぽい」ことであるが、それは10万円を切るという価格を考えれば納得せざるを得ない、ほんの僅かな問題点だ。だいたい「音が安っぽい」ということがどれだけ音楽を楽しむためにマイナスになるのだろう?それならラジオでは音楽が楽しめないことになるし、音が良ければすなわち音楽が楽しめるという音にもなる。これは、オーディオに興味を持ち始めた人達が直面する「最大の矛盾」ではないだろうか?少なくともSinging Box2の音質が、多少「安っぽかった」としても、私は音楽を楽しむ上でそれを全く問題としなかった。

しかし、この「音質か?」それとも「音楽性か?」そのどちらを優先するかという問題については「オーディオの永遠のテーマ」であると同時に、リスナーの気分や個人差による好みで非常に大きく左右される。だからオーディオの購入には、絶対に「事前試聴」が欠かせない。その良さや、自分が好むかどうかはそれを「その人自身」が聞かなければ判断できないからだ。そんな時間はないし、これくらいの価格なら買って試した早い、とお考えの方には、癖のない音楽の表現力よりも、「ハッとするような音の美しさ」を求められるなら、Little Cosmos3を選ばれると良いと思う。

AIRBOWの2機種に共通するのは「音が自然」だと言うことだ。私自身が音を決めたからかも知れないが、AIRBOWのサウンドは違和感がなく体にすっと入ってくる。聞き疲れることもなく、聞き飽きることもない。音が違うのに「どちらも自然」というのはおかしいじゃないか?そう感じる方もいらっしゃるだろう。言い換えるなら、出てくる音がSinging Box2の方が「音源の近くで聞く生の音に近い感じ(少なくとも私には)」であり、Little Cosmos3の方が「コンサート会場で聞く音楽に近い感じ」がするのである。感じられる違いは「音源からの距離」であり、どちらも「自然な音」であることに変わりはない。

今回テストした3機種は何れもスピーカーを繋ぐだけで、誰にでも良い音が出せるが、その中でも一体型のSinging Box2は、ワンボディーなので接続は電源ケーブルとスピーカーケーブルを繋ぐだけという簡便さが魅力だ。確かにLittle Cosmos3が持つチューニングの楽しみは小さくなるが、ビギナーがお使いになる、あるいはセカンドシステムとしてお使いいただくには、その簡便さが長所となる。

USBメモリーを直接繋いで音を出せるのも素晴らしいし、音も抜群に良い。FM/AMも聞けるし、i-podなどの携帯プレーヤーをアナログで繋ぐためのミニステレオジャックの外部入力もフロントパネルに備わっている。多機能で、価格は3機種中最も安く10万円を切る。外観は質感高く、価格にふさわしい高級感が感じられる。文句なしにお薦めできる。

今回のテストでは、電源ケーブルにAIRBOW KDK-OFC/M1.85を使用し、テスト終了後に付属品にに変更してクラシックを聴き直したが、レンジがやや狭くなり音が固まってしまった。付属電源ケーブルの音も悪くないが、別売オプションのKDK-OFC/M1.85を聞いてしまうと付属品ではやや物足りない感じを覚えた。音質を少しでも!とお考えなら購入時にKDK-OFC/M1.85を一緒に購入すると良いだろう。

PD-H600+AG-H600の良さは、中音重視のバランスにある。高音を無闇に欲張らず、耳当たりの良い帯域とまろやかで出しゃばり過ぎない豊かな低音から構成される音は、ソフトや音楽の種類を選ばず納得のサウンドを醸し出してくれる。音楽性に富むとはいえない国産コンポ、特にミニコンポの中にあってその音は出色の出来映えだ。

確かに値段は少々高いかもしれない。しかし、肉厚のアルミの筐体は価格にふさわしい高級感を持っているし、スイッチ一つにしてもピュアコンポと同等の高級感が感じられる。さすがにEsotericを傘下に持つTeacならではの仕上がりだ。

黒というカラーも好みが分かれる所だと思うが、大人の質感にふさわしい仕上がりは、自信を持ってお薦めできる水準だ。フォノイコライザーを内蔵しレコードプレーヤーが繋げるのもポイントになるだろう。さらには、i-podを簡単に設置し、充電も出来る「i-podドッキングステーション」も標準で付属する。まさに至れり尽くせりである。

今回のテストでは、電源ケーブルにAIRBOW KDK-OFC/2.0を使用したが、テスト終了後に電源ケーブルを付属品に変えて比較すると、低音も高音も伸びなくなり、音場もかなり混濁してしまった。KDK-OFC/2.0による音質改善が\4,900/1本なら、このクラスのコンポーネントのグレードアップには適切だと思う。

また、同梱されているRCAケーブルも最廉価の「接続テスト用」程度のものでしかない。わざわざ音にこだわってこのクラスのミニコンポをお考えになるなら、少なくともKDK-OFC/2.0とAudio questのALFA-SNAKE以上のRCAケーブルはお薦めしたい。合計1万円強のアクセサリーへの投資で、所有するすべてのディスクが「より良い音」で聞けるとすれば、その投資効果は決して小さくないと考えられる。

2009年 2月 清原 裕介

 

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