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PMCがコンシューマ(家庭用)スピーカー
Twenty シリーズをモデルチェンジし、Twenty5
シリーズとして新発売しました。
今回はその中から最上級モデル 3WayのTwenty5-26(1,380,000円ペア・税別)を除いたTwenty5-21/22/23/24の音質をテストしました。ブックシェルフ型のTwenty5-21/22専用スタンドとして、STD-twenty5-2122(70,000円ペア・税別)も発売されています。
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Twenty5-21 | Twenty5-22 | Twenty5-23 | Twenty5-24 |
380,000円(ペア・税別) |
480,000円(ペア・税別) |
580,000円(ペア・税別) |
850,000円(ペア・税別) |
仕上げは従来通り「4色」がラインナップされています。
PMC モニター スピーカー ご購入お問い合わせは、経験豊富な逸品館におまかせください。 |
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twenty5 シリーズの特徴
PMC(Professional Monitor Company)製品の最大の特徴は、彼らがATL(Advanced Trancemission Line)と名付けた、小容積のキャビネット(エンクロージャー)から低い周波数を歪みなく再現するための「エンクロージャー技術」です。この技術によりPCMのスピーカーは、他メーカー製品よりも「小型軽量」でありながら、低い周波数まで再生することが可能となっています。
さらに「ユニットのタイムアライメント(時間の整合性/位相の整合性)」を減少させ、スピーカーの歪みを極限まで低減する方法として、PMCはユニットの数を減らし、24dB/octの急峻なフィルター特性をネットワークに与えることで、均一な周波数レスポンスと明確な解像度、低歪みを実現しています。
今回のtwenty5 シリーズでは、ATLの開口部の気流をレーシングカーの「F1」が使っている「空力(気流)分析装置」を導入して最適化を行い、その低域再生能力に磨きをかけています。
Laminair(ラミンエアー)
低い周波数を発生するための開口部(ポート)部では、ユニットのレスポンスに応じた「激しい空気の動き」が生じています。このときポートの形状が適切でないと、気流が乱れそれが抵抗なって低域のレスポンスに悪い影響を与えます。クリーンな低域の再生にとって、開口部(ポート部)の空気の流れは非常に重要なため、最新型のスピーカでは各社がこの部分に新しい技術を導入しています。
TADでは、CE1とME1に「Bi-DirectionalADSポート」と名付けた、エンクロージャーの両サイドパネルにスリット状のポートを配置し、ポートからの不要音やエンクロージャー内の内部定在波の影響を排除する独自の方法を開発しています。
こんかいtwenty5の開発でPMCは、ポート部分での気流の乱れをなくすために、レーシングカー「F1」で使われている空気の流れを解析するためのシステムを導入しました。
高度な解析により設計された「整流板」をポート部にいくつか付け加えることで、ポート部の空気の流れが最適化され、低域のレスポンスの向上と歪みの低減が実現しています。
フロア型の、23/24/26では、ポート開口部が一つから二つに変更されました。
新開発Woofer g-weave base drivers
ウーファーユニットには、新形状の鋳造合金シャーシとグラスファーバー織りコーンを採用。
反転されたガラス繊維ダストキャップは、円錐の形状に沿って非常に滑らかなストロークを実現しています。
新開発Tweeterとネットワーク
SONOLEX社製27mm fabric domeによる滑らかな軸外特性が高音の広帯域特性を実現下ユニットには、高域の最適な拡散のために、コンピュータ解析によりデザインされたツィーターグリルが装着されます。磁気回路は磁性流体冷却方式の採用により放熱性が高められ、大音量の連続再生時にもリニアな再現性を維持します。
ネットワークには、1.8kHz、24dBオクターブのクロスオーバーネットワークを採用し、ドライバーのタイムアライメントを高次元で接合し、低歪率を達成しています。
スピーカー入力端子は、純銅を削り出したものに、堅牢なマットロジウムメッキが施されたPMCオリジナル品が使われます。
スパイクには、高強度のステンレス鋼から削り出された、高品位なオリジナル品が使われます。
twenty5-22の外観写真
グリルの装着された新型ツイーター、ダストキャップ(センターキャップ)が逆ドーム(凹型)に変更された新型ウーファ、ATL開口部にもうけられた、Laminair(ラミンエアー)がよくわかります。
Twenty5 シリーズの概要と音質テストの説明をYouTubeで見る。
試聴環境
今回のPMCの試聴は、3号館の手前側の部屋で行いました。新旧比較をかねて、3号館に常設している「Twenty24」も聞いてみました。
Twenty24は、人造大理石ボードの上にAIRBOW Metal-Base Lを使って設置していますが、ブックシェルフ型のTwenty5-21/22は、備え付けのスピーカースタンド「Acoustic Design AD-35a」の上に直接のせて試聴し、フロア型のTwenty5-23/24は、カーペットの上に直接置いて試聴しました。
Twenty5 23/24に普段使うAIRBOW ウェルフロートボードHD「WFB-4449/H HD」を使わなかったのは、スタンドをカーペットに直接置いているため、Twenty5のブックシェルフ型とフロア型で環境をあまり変えないようにするためです。
CDからリッピングしたデーターをAIRBOW MSS-i5 MsHDに標準搭載している「HQ Player」で、88.2kHz/24bitにアップサンプリングして、AIRBOW N05 UltimateにUSB入力して、AIRBOW PM11S3 Ultimateで各スピーカーを鳴らしました。
Acoustic
Design AD-35a メーカー希望価格 85,000円(ペア・税別)(現金で購入)・(カードで購入)
AIRBOW N05
Ultimate 販売価格 650,000円(税込み)(現金で購入)・(カードで購入)
AIRBOW
PM11S3 Ultimate (現金で購入)・(カードで購入)・(中古で探す) 生産完了
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試聴したソフトは、試聴用に短く編集した5曲です。EDMやROCK、ライトなJAZZなどを交え、このクラスに見合った楽曲を聴きました。
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ルディメンタル |
QUEEN |
サスキア・ブルーイン |
バレリー・ゲルギエフ |
エリック・カンゼル |
Twenty24の音質テストをYouTubeで見る。
Spoons
音の立ち上がり、収束が共に早くレスポンシブルな鳴り方をします。これは、PMCがこだわる24dB/octのネットワークがユニットに余計な響き(周波数)を加えないからでしょう。
低音はPMCらしく非常に低いとこから出て、エンクロージャー・サイズの限界を感じさず、このソフトでは低音に全く不満を感じさせません。
打ち込みで作られる伴奏は非常にきめ細かく、濁りも少ないので電子音らしい透明感と切れ味が心地よく再現されます。
ボーカルはクールでやや分析的です、
全体的にも透明度が高く、明瞭度や分離感にも優れているのですが、色彩感はそれほど濃くなく音調もクールです。しかし、やや大きめの音量で聴いていると、気持ちは不思議と高ぶってきます。例えるなら、Twenty24の音は感動の渦に飲み込まれるイメージではなく、激しく動きながらも芯は冷めている感じ、あるいは激しいスポーツをしながらも頭で計算している感じです。それは、レース中のドライバーの感覚にも似ています。
We
Will Rock You
ATLが正しく動作し引き締まった質感と量感が両立している、重量感を出しながら膨らまない「足踏み音」が素晴らしく、少し前に同じ組み合わせで聞いたELAC U5 LINEの低音の質とは全然違うことに気づきます。
また、ユニットのタイムアライメントやレスポンスがきれいにそろっているのでしょう。足踏みの音と拍手の音のタイミングがびしっとあって、良い意味でとても端正な(乱れがない)印象を強く感じます。
バックコーラスとボーカル、足踏みの分離も抜群に優れていて、空間に余計な響きがなく、透明感がとても高いのも特徴的です。
この曲がお酒を飲んでの馬鹿騒ぎではなく、高度に計算された知的な音楽のイメージで再現されます。それが、アメリカではなくイギリスらしいロックの表現のように聞こえます。
LOOK
Of LOVE
このソフトはウッドベースの一部の音、測定すると50Hz付近がかなり膨らんでいます。Twenty24その低い周波数帯域まできちんと再現するためか、あるいはATLの癖なのか、このソフトではその部分の膨らみがやや気になることがありました。
ボーカルは伴奏からきれいに分離して定位しますが、温度感がやや低めで女性らしい色気や艶はあまり感じられません。
ノリの良いJAZZではなく、上品で抑えめな演奏に聞こえます。このソフトとの相性はあまり良くありません。
シェーラザード(第2楽章)
イントロ部分のバイオリンの透明感の高さ、切れ味の鋭さに引きつけられる。けれど鋭く非常に鮮やかなバイオリンの音が、線が細くならないところは、さらに素晴らしいと思います。
木管楽器と弦楽器の分離も秀逸で、透明な空気が凜と張り詰めたホールで、精緻に演奏が繰り広げられてゆくその景色感と、構成の素晴らしさに舌を巻かされます。このソフトの持ち味である「透明感の高さ」、「3D的な立体感」が存分に引き出されました。
色彩の鮮やかさを「餌」に心を動かすのではなく、構造の美しさで心を深い集中に誘う。この精緻な美的感覚こそ、他メーカーの製品にはないPMCの最大の特徴だと思います。
Star
Trek Main Theme
イントロでは、高音が上から降りてきて、低音地面を振るわすように体に響きます。このイントロ部分の「上下方向」の表現力が素晴らしい!
全部の音が全くよどみなく、正確無比な音で再現されます。これは、このサイズだからこそ成し遂げられる「キャビネットの無駄な響きの少なさ」と、このサイズではあり得ない「低音の量感」が両立しているからでしょう。これこそが「ATL(トランスミッションライン)」の最大の魅力です。
このソフトでも「色彩変化の鮮やかさ」ではなく、「音そのものの運動の大きさ」に心が引きつけられ、体が動き始めます。
無駄のない筋肉質な音。クールビューティーを極めた音。その中にある、熱い感動。久しぶりに、Twenty24をしっかり聞きましたが、やはりこのスピーカーはただ者ではありませんでした。Twenty24は、今海外で流行っている「ZEN(禅)」につながる、日本人好みの知的な美的感覚を感じさせてくれました。
Twenty5 21の音質テストをYouTubeで見る。
Spoons
Twenty24と比べると、低域が出た後の空気がふわりと揺れる部分が消えてしまったことで、スピーカーのサイズが小さくなったことを感じますが、それでも低音に不満を覚えるほどではありません。
また、先日テストしたELAC
U5 LINEとの比較でも、Twenty5-21はTwenty24同様に低音の収束が早く、音がすっきりと消える所が魅力です。
低音とボーカルの繋がりは、Twenty24とほとんど差を感じません。これは、どちらも2wayでまた、ATLの効果でエンクロージャーが大きくなっても低音が遅れないからでしょう。全体の音調や表現力もTwenty24と、ほとんど差を感じません。
PMCらしい音でこのソフトが鳴りますが、高音の切れ味はTwenty24の方が刺激的で魅力的でした。
Twenty25-21の高音は、Twenty24よりも少し滑らかで、優しくなっているようです。
We
Will Rock You
足踏みの音と拍手の輪郭は、Twenty24よりもややまろやかになっています。しかし、スピーカーケーブルのグレードはほとんど同じですが、バイワイヤリング対応のTwenty24には「AETのテフロン絶縁体ジャンパー線」を奢っているので、その違いはあるでしょう。また、鳴らし込んでいるTwenty24とまだそれほど鳴らされていないTwenty5-21では、スピーカーそのもののエイジングの違いもあると思います。
また、輪郭の明瞭度がやや甘いTwenty5-21では、バックコーラスとボーカルの分離感も、Twenty24にはやや劣りますが、aminair(ラミンエアー)が採用されたポートの効果で、低域の速度感と収束の自然さが改善され、音の細やかさ、広がり感などは、モデルチェンジによる向上がはっきりと感じられます。
音質は多少マイルドになりましたが、それでもこのクラスでは群を抜いて「高性能なモニター」という印象を強く感じました。
LOOK
Of LOVE
Twenty24に比べて明らかに、ボーカルの「太さ」が向上し、サスキア・ブルーインが肉付きの良い女性に変わりました。
ボーカルの息づかい、唇のぬれた感じもTwenty24よりも強く感じられます。
伴奏とボーカルの分離感は、Twenty24よりもやや後退していますが、それと引き替えに温度感が確実に向上しています。
Twenty24とは相性の悪かったこのソフトが、十分に楽しめる音で鳴ります。これが、PMCがTwenty5で目指した「家庭用モデルへの進化」なのだと実感しました。
シェーラザード(第2楽章)
バイオリンの鮮やかさ、静かで深い感じはTwenty24の方がやはり魅力的でした。また、伴奏とバイオリンの分離感もTwenty24の方が優れていましたが、これはセッティングと鳴らし込み(エイジング)の違いによるところもあると思います。
音そのものの「質」は、きめ細やかさはそのままに、音のエッジがTwenty24よりも確実に柔らかくなり、一般的なスピーカーの「それ」に近づいています。けれど、だからといってPMCの特色である透明感や分離感の良さは、ほとんど変わっていません。
さすがにこのソフトでは、ブックシェルフ型のTwenty5-21とフロア型のTwenty24を比べると、スピーカーのサイズの違いが表現力の差となって出てしまうのですが、目を開けてそこにある「ちっぽけなスピーカー」を見てしまうと、逆にこの音の豊かさが信じられなくなってしまいます。
ウーファーとツィーターのつながりは抜群で、音の細やかさも秀逸です。癖のない高性能。モニターとしての性能は、家庭用に作られていてもやはり一級品だと感じさせられます。
Star
Trek Main Theme
このソフトでは、イントロの上下運動がTwenty24と比べてややおっとりとした印象です。音の立ち上がりと立ち下がりの「変化の早さ」にTwenty24との差が感じられました。しかし、色づけのない音、透明感の高さはこのクラスではやはり群を抜いているところはTwenty24と同じです。
不思議なことに、Twenty24とTwenty5-21では、後者の方がスピーカーの正面と脇で聞くときの高音の差が大きく、指向性がやや狭くなったように感じられましたが、もしかするとツィーターに新たに設けられた保護グリルと周囲のプレートの影響かもしれません。もし、単純に鳴らし込みの差なら、もう少し鳴らし込むことで、細やかさと明瞭度、広がり感が向上し、評価も変わるでしょう。
Twenty5 22の音質テストをYouTubeで見る。
Spoons
低音は量感がたっぷりして、Twenty5-21と22の違いはかなり大きく感じられます。感覚的にTwenty5-22の低音は、Twenty24とほとんど変わらないくらい出ているのですが、Twenty24と比較して低音の立ち上がりがやや穏やかで、収束もわずかに遅く感じられます。違いはたぶん、ポート形状の違いによるのでしょう。
高音は、Twenty24の方が切れ味が鋭かったように思いますが、これはTwenty5-21の評価にも書いたように、Twenty24にAET
SINグレードのジャンパーを奢っていた影響もあるでしょう。
人間の声は味があり、女声コーラスのバックとの分離感、男女の声色の違いも明確に再現され、声色の再現性は、Twenty5-22がTwenty24を確実に凌駕しています。
透明感や静けさはやや後退しているかも知れませんが、それと引き替えに空間のボリューム感や音の濃さは向上しています。
また、Twenty5-22は、Twenty24に比べて開放的な音になっています。
We
Will Rock You
足踏みの最も低い部分が出ていないせいか、拍手の音がTwenty24よりも少し大きく感じられます。
ボーカルと足踏みの音、コーラスの分離も、Twenty24の方が明瞭に感じられました。この点は、Twenty24とTwenty5-21の評価と同じです。
けれど、人の声の温もりや、湿り気は確実に向上し、拍手の音も「肌の柔らかさ」が伝わるようになっています。
整然とした統一感、精緻なイメージではTwenty24が勝りますが、響きの豊かなイメージ、人の声の柔らかさや、演奏の温度感はTwenty5-22が高く、全体的に暖かさや明るさが増しているように感じられました。
LOOK
Of LOVE
女性ボーカルの色気、湿り気は格段に向上しています。冷たく無感情な女性が、暖かく情感豊かな女に変わって聞こえたほどです。
ピアノも色彩感がぐんと濃くなり、響きの豊かさが醸し出され、ピアノらしいゴージャスな感じが出てきます。
違うソフトを聞いているような錯覚を覚えるほど充実した音で、Twenty24が苦手としたソフトを、Twenty5-22は見事に鳴らしました。
シェーラザード(第2楽章)
冒頭部分のバイオリンの音は変わらないが、その質感がずいぶん変わります。木管楽器(クラリネットやファゴット)も同じで「弦楽器」「木管楽器」らしい、木の響き感が強くなりました。引き替えに空間の透明感や精緻さが弱まりますが、それはTwenty24が「行き過ぎ」ていたからで、今聞いているTwenty25-22の方が「生演奏」のバランスには確実に近づいています。
低域は量感が豊かですが、変に膨らむことはありません。全体的にPMCらしいフラットな音で、周波数や音色の偏りを一切感じさせないのもさすがです。もう少し色気があれば完璧ですが、それは今後の「鳴らし込み」が解決してくれるでしょう。
ただ、Twenty24が持っていた「偏り」も、それはそれで魅力的だったと懐かしく感じるのも事実です
Star
Trek Main Theme
Twenty5-21とTwenty5-22では、このソフトの再現性は比べものになりません。Twenty5-22で聞くと遥かにスケールが大きく、様々な音が大きく躍動して楽しさを感じます。重低音の量感や押し出しも不足は感じられません。
生の金管楽器、弦楽器、とシンセサイザーで電気的に合成された音の「質感の差」がTwenty24よりも大きく、それぞれが違う楽器の音であることが良く聞き取れます。Twenty24にはなかった色彩感と、響きの豊かさをTwenty5-22は持っているので、シンセサイザーで電気的に作られた音にさえも、色彩が出てきました。
こういう、録音に優れたレンジの広いソフトをPMCで聞くのは本当に楽しいのですが、このソフトでは、Twentyシリーズに比べてTwenty5シリーズでは「色彩感(音色の良さ)」、「響きの豊かさ」が確実に向上していることが伝わりました。
Twenty5 23の音質テストをYouTubeで見る。
Spoons
冒頭部分の低音がパワフルになって、部屋の壁を共振させ驚かされました。キャビネットのサイズは小さいですが、確実にTwenty24よりも低音が出ています。
ボーカルと伴奏の分離、男性ボーカルと女声コーラスとの分離は、やはりTwenty24ほど明確ではありませんが、それはTwenty2-23の分離が悪いのではなく、きちんと分離しながらも、分離している音と音の間に「響き」が残っているために、透明感や分離感が甘くなっているように感じられるのでしょう。言い換えるならTwenty24では、音と音の隙間に細やかな響きが少なかったため、それぞれがより明瞭に分離しているように聞こえたのでしょう。
このように「細かい音が消えてしまった結果、S/Nが向上して感じられる」ことは、国産の高級コンポでありがちなことですが、実際は音が良いように聞こえても、音楽の細やかな情感を醸し出すために必要な「小さな音(響き)」が消えてしまっているので、結果としては「音は良いけど音楽の情感が薄くなる」つまり、クールで分析的な音になってしまうのです。
Twenty5-23ではそれが改善され、Twenty24の性能を維持したまま、Twenty24が再現出来なかった細かい音や響きの余韻までが再現されるようになっているのです。
ブックシェルフ型のTwenty5-21/22とフロア型のTwenty24の比較では、そこまで聞き取れなかったのですが、低音もしっかり出るフロア型のTwenty5-23を聞いて、その大きな進歩がよくわかりました。
新型Twenty5シリーズの音は、方向性を同じくするTADのスピーカーととてもとよく似ています。けれど、低音の量感ではわずかにPMCがそれを一歩凌いでいるように思います。ポートにLaminairを導入した、新型ATLの効果がよくわかる一曲でした。
We
Will Rock You
Twenty24では「統一されて」聞こえた足踏みの音や拍手の音に「タイミングの揺らぎ」が出てきました。つまり、音源が一つ(一点)ではなく複数あることが伝わるようになったのです。
コーラスやボーカルは、Twenty24よりも力強く、一歩前に出て定位します。
アーというため息のような声も良く聞こえるようになりました。
Twenty24のような美しい統一感は醸し出されませんが、より人間的で暖かい音が魅力的です。
癖がなく自然な音で、スピーカーの存在を感じさせないのは、Twenty24と同じです。それに暖かさが加わり、後はどのように「自分の好み」に味をつけるかが、Twenty5-23からより一層の魅力を出すポイントになるでしょう。
LOOK
Of LOVE
ブックシェルフ型のTwenty5-21/22では気にならなかった、このソフトの50Hz付近の膨らみが、Twenty5-23では少し気になりますが、けれどそれはTwenty24よりもずっと少ないものです。
女性の声は、Twenty5-21よりも太く、Twenty5-22ほどは太くありません。
ボーカルの艶や油の乗り方は、Twenty5-22がTwenty5-23を上回ります。また、ピアノの色彩感もTwenty5-22の方が良かったように感じます。
Twenty5-23では、伴奏の弦楽器の音が良く、ボーカルと伴奏の分離も優れています。
この素晴らしい低音の量感は、3号館に設置しているWhafedale Diamond250に並ぶほどですが、それよりもTwenty5-23のサイズは遙かに小さく、重量も軽く仕上がっています。もちろん質感もそれを凌駕します。小型軽量で良質な低音を実現するのは、さすがPMCです。
シェーラザード(第2楽章)
バイオリンは、今まで聞いたTwenty5シリーズの中で、最もTwenty24に近いイメージです。切れ味が良く、透明感が高く、コンサートマスターまでの距離が近く感じられます。
空間のを満たす響きは十分に多いですが、それらが混ざらずに高い透明感が維持されます。
ファゴットの音は、もう少し木質的に響くのが好みです、クラリネットの音にも、もう少し木質的な響きが欲しいところですが、ピッチカットで奏でられる弦楽器の切れ味は素晴らしいの一言。コントラバスのリズムや低減のうなりの再現も抜群です。
やはりPMCは本格的な交響曲でその魅力が最大に発揮されることをひしひしと感じます。
このサイズで交響曲をここまで本格的に鳴らせるのは、PMC以外にはないと思わせるレンジの広さと、精緻な音の細やかさが素晴らしいと感じました。
Star
Trek Main Theme
ティンパニーの音がすごい! 目の前でティンパニーが鳴っているような、太く低い音まで出てくるではありませんか。
このソフトでもTwenty5-23の低音が、Twenty24を圧倒しているのがよくわかります。
高域は、ツィーターとウーファがつながる周波数帯域の音が少しだけ太くなった分、Twenty24の方が透明感と切れ味に優れていたようにも感じるが、Twenty5-23には24になかった暖かさと厚みがあります。
今聞けている引き締まった癖のない低音は、先月試聴会を開催した「YG Acoustic Hailey」の低音に近いほどですが、ATLを使うPMC Twenty5-23のサイズは遙かに小さく、重量はわずかに1/4しかありません。そして、価格はうんと安いのです。
もちろん、全帯域の質感はHaileyのほうがずっと良質ですが、それと比べたいほど立派な低音が出て驚かされました。
この低音の量感と再現性は、このサイズでは絶対に他に並ぶものはななく、バスレフ的な遅れや膨らみを感じさせない低音の質感は、密閉型スピーカーに近いものを感じさせます。
Twenty5 24の音質テストをYouTubeで見る。
Spoons
このソフトを聞くTwenty5-24の低音の出方は、Twenty5-23とほとんど変わりません。それは、きっとソフトに収録されている周波数の下限まで、すでにTwenty5-23で再現されていたからでしょう。
ボーカルの太さや艶やかさ、人間らしい温かさが、Twenty5-23よりも向上して感じられるのは、Twenty5-22がそうであったように、Twenty5-21/23が搭載する140mm口径のウーファーと、Twenty-522/24が搭載する170mm口径のウーファーの違いに寄るのでしょう。
Twenty24の魅力だった透明感と切れ味の良さは、Twenty-5-21/23に受け継がれ、Twenty24の弱点であった、色彩感の淡さや音の濃さは、Twenty-5-22/24で改善されています。
Twenty-5-24は、この楽曲にゆとりと余裕、さらなる情感の深さをで醸し出しました。
We
Will Rock You
Twenty5-23と24の低音の違いは耳では聞き取れません。やはりこの曲でもTwenty5-23でソフトに録音された最低音まで低音が十分に伸びていたからでしょう。それでも、肌で感じる低音の質感や空気感の濃さ、実在感がTwenty-5-24では確実に向上しています。すべての音が、より生々しく、3D的に大きく広がる音場も素晴らしく、空気感や実在感が確実に濃くなりました。
Twenty5-24が醸し出す体感的な音質は、PMCのフラッグシップモニター初代BB5が持っていたそれに近いイメージです。
正確無比なだけではなく、そこに人間が存在しているような、高い実在感が醸し出されました。
LOOK
Of LOVE
低域が過剰なのは、やはりこのソフトの録音に問題がありました。膨らんだベースの音が、もう一段低い周波数帯域ではきちんと収束しているから、その部分の膨らみがスピーカーや部屋ではなく、ソフトそのものの問題だとわからせてくれたのです。それがわかったのは、Twenty5-24では、過剰に膨らんでいる低域のさらに下の音まで再現されるからです。
女性ボーカルの声は、まさしく録音されたままのように鳴ります。
過剰な色づけは感じられませんが、かといって何かが足りない部分もありません。
伴奏のピアノの音、弦楽器の音も魅力的で、ゆったりと、たおやかな響きで、このソフトが鳴りました。
シェーラザード(第2楽章)
冒頭のバイオリンの音が出る前に、一瞬バイオリニストの「ブレス(演奏前に息を吸い込む音)」が聞こえたような気がしましたた。そういうわずかな空気の動きさえも感じさせるほど、Twenty5-24の低域は最低域までしっかりと出ています。
ファゴットの響きが空間に広がる様や、弦楽器が奏でる響きの重厚感と押し出し感。あるいは、クラリネットとファゴットの「音色」の違いの明確差、それらのすべてが、文字通り「正確無比に再現」されます。
Tannoyのように演奏の最高域を過剰に盛り上げるのではなく、虚飾はなしに最低域をどこまでも深く掘り下げてゆくような鳴り方。この知的な精緻さを極めた鳴り方こそ、PMCの真骨頂です。
これほどリニアな再現性がこのサイズの、しかも2wayスピーカーでもたらされるとは、それがENO前で鳴っている事を聞いてさえも信じがたいことです。
Twenty5-24の音は、同じイギリス生まれのモニタースピーカー「B&W」に似ていますが、それよりも癖が少なく、より精密無比なYG
Acousticに近いイメージです。
有機的でもなく、無機的でもない。まさしくニュートラルな音に、PMCの美しさが極められています。
Star
Trek Main Theme
Twenty24で感じられた、あの低域のすごいエネルギー感がさらに1.5倍くらい大きくなっています。そして、Twenty24ではやや薄かった色彩感に、濃さがもたらされました。
Twenty5シリーズでは、21に低域を足すと23の音になり、22に低域を足すと24の音になります。この整合性のとれた音作りは、まさしくPMC(Professional
Monitor Company)の名にふさわしいものです。
試聴後感想
TADやYG Acousticsと方向性は全く同一ですが、PMCはそれらよりも安く、そして小さく、圧倒的に「軽い」ことが魅力です。
世界で唯一PMCだけが実現した、「特別な低域」をTwenty5シリーズは見事に受け継ぎ、F1の空気力学を応用した新型ポートによってその魅力をさらに高めたことは疑いようがありません。
虚飾を排し、その中に見いだせる美。クールさを極めた中に感じられる暖かさ。
送り込まれた信号を、淡々と正確に色づけなく変換するためのスピーカーをお求めなら、やはりそれはPMCしかありません。
2016年12月 逸品館代表 清原裕介
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