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ROTEL プリメインアンプ ・セパレートアンプ ・CDプレーヤー 音質テスト
ROTELは、日本のオーディオメーカーです。あまり聞き慣れない名前かも知れませんが、ROTELはAIRBOWが多用する超高音質電解コンデンサー「ブラックゲート(生産完了)」を量産メーカーとして唯一製品に取り入れるなど、他のオーディオメーカーとは少し毛色の違ったメーカーです。海外で評価の高いROTEL社は現在、世界的なスピーカーメーカーとして知られるB&Wの傘下に入り、各国で優秀なセールスを上げています。
このようにROTELは世界的にかなりの規模のオーディオメーカーなのですが、販売の基盤を海外に置くため国内での宣伝広告活動がほとんど行っていません。そのため国内での知名度が低いのです。またこの事実から、日本国内のオーディオ市場(オーディオ・ブランド)は、広告によって作り上げられてきたものだということがわかります。
逸品館は同じ「ブラックゲートを使うメーカー」として、ROTEL製品には以前から興味を持っていました。約10年ほど前には、ROTELのdtsコンバーターを取り寄せて改造機を作ったほどです。しかし、その後は少し疎遠になっていました。ところが今年になって、ROTEL国内販売拡大の一環として逸品館にROTEL国内営業部から製品取扱に関する案内を受けました。
そこで逸品館の通例として、販売をスタートする前にとりあえず現行モデルを全部聞くことにしました。この私の申し入れを快諾し、ROTELは早速取扱全製品の試聴機を逸品館に届けてくれました。しかし、生憎ハイエンドショウの準備などに追われ時間が取れず、このレポートを書くまでに1ヶ月を要しました。しかし、それが幸いして私は、全てのモデルをじっくり聞くことができました。
例えばスイッチを入れたときは「低音が少し弱い」と感じるモデルが多かったのですが、数日聞き続けることでどの製品も見違えるように豊かな低音が出ました。もしかすると、届けられた個体は「ほとんど新品」に近いものか「あまり使っていなかった」ものなのかも知れません。外観にも一切傷がなく、綺麗だったことからもそれが伺えます。それでは、それぞれの製品をご紹介したいと思います。
(ROTEL製品へのお問い合わせ・ご注文はこちらからどうぞ)
試聴ソフトとスピーカー
NORA JONES / Come Away With Me / (SACD Hybrid) : Blue Note Records
Hilary Hahn Bach Concertos / Los Angels Chamber Orchestra / Jeffrey Kahana (SACD Hybrid) : Grammophon
Beethoven Concert Grand
\900,000(ペア・税別)Focal 1028Be
\1,350,000(ペア・税別)
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RCD-06 ¥85,000(税別) 生産完了 RA-05 |
RCD-1520 ¥128,000(税別) 生産完了 RA-1070 |
RC-1580 ¥168,000(税別) 生産完了 RA-1070 |
RC-1580 ¥168,000(税別) 生産完了 RB-1582 |
RC-1580 ¥168,000(税別) 生産完了 RB-1592 |
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※今回は、電源ケーブルをAIRBOW KDK-OFC/2.0に統一して音質テストを行いました。
試聴後感想
冒頭にも書きましたが、2012ハイエンドショウ春が迫っている関係で、、ROTELが手元に届いてからひと月近くじっくりと聞くことができました。ただし、ハイエンドショウで使用する機器のテストを兼ねていましたので、ソースはROTELのCDプレーヤーではなくAIRBOW D07X Ultimate(+PC)を使っていました。AIRBOW D07X Ultimate(+PC)をソースとして毎日聞いていたROTELアンプの印象は、ROTELプレーヤーをソースにつかった今回の試聴テストとほぼ同じです。
しかし、セパレートアンプの印象は著しく違いました。そこで私なりに、その理由を考えてみました。ROTELの音作りはプリメインアンプのRA-05を除いて不要な響きが少なく、高域の鮮度と透明感が高いのが特徴です。いわゆる「トランジスターアンプ」的で真っ正直なHiFiサウンドに仕立てられています。それに対しAIRBOW D07X Ultimate(+PC)は、PC特有の硬さやぱさつき感を抑えるため、あるいは高域が強くなりすぎて音楽の表情が出にくいPCソース(特にハイレゾリューションソース)を音楽的に再現するために、できるだけ輪郭を滑らかにして中低域に厚みを待たせて響きも少し多い「真空管」的な音質に仕上げています。このちょっと輪郭が甘めのD07X Ultimate(+PC)と、ちょっと輪郭が強めのROTELアンプのマッチングは絶妙で、試聴している間中ずっとROTELアンプに対してとても良い印象を持てたのだと思います。
しかし、ROTELのCDプレーヤーは、PCをソースにしているときのように高域が硬く、柔らかさが足りないように感じられます。音が硬い、輪郭が強すぎるというのは、製品のエイジングやウォーミングアップが少ないときに良く感じることですが、今回はそれを懸念して少なくとも48時間以上CDプレーヤーをウォーミングアップしてから音質テストを行いましたので、このCDプレーヤーに対する印象がそれほど間違っていることは思えません。このように試聴したROTELのCDプレーヤーは2機種共に解像度感と明瞭度感は非常に高く、音は抜群に良いのですが、輪郭までスッキリと再現するROTELのアンプと組み合わせるとPCでハイレゾ音源を聞いているときのように「潤い」や「厚み」が足りなく感じられました。輪郭が強調されるその音は、ややぼけた音の真空管アンプや純A級アンプと組み合わせれば上手くマッチするのだと思いますが同じ傾向を持つROTELのアンプと組み合わせると、なぜか音楽の躍動感が伝わりにくいように思いました。このようにどうやらROTELのアンプは、組み合わせるプレーヤーで印象が大きく変わることがあるようです。
セパレートアンプの音質テストでは、このプレーヤーとのマッチ、アンマッチが非常に顕著に出ました。AIRBOW 07X Ultimate(+PC)を組み合わせたときには、パワーアンプRB-1582とRB-1592の差はほとんど感じられませんでしたが、AIRBOW SA15S2Masterをソースにするとその結果ががらりと変わり、RB-1592の「音色の良さ、雰囲気の濃さ」が一気に引き出されたからです。絶対的な音質でD07X Ultimate(+PC)がSA15S2Masterにもそれほど聞き劣るわけではありません。AIRBOWのアンプを使ったテストでは、ソースによってはSA15S2Master上回っていたと感じることもありました。だからこそこの結果は想像できず、意外でした。
ROTEL製品は全般的に色づけが少なく質感の高い自然な音ですが、組み合わせるCDプレーヤーやスピーカーによっては「無機的な印象」が強くなりすぎることがあるようです。逆にSA15S2Master/RC-1580/RB-1592/1028Beのようにマッチングが決まれば、価格の数倍以上の音質を軽く発揮してくれます。ROTEL製品は価格がリーズナブルで仕上げが美しく故障も非常に少ないので、「コストパフォーマンスの高い製品(お買い得なオーディオ製品)」として積極的に検討されて良いと思います。
2012年5月 逸品館代表 清原裕介
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