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ELAC EA-101EQ-G 小型DAC内蔵プリメインアンプ AIRBOW AI301DA Special TEAC 音質 比較 評価 レビュー 試聴サンシャイン 電源ケーブル SAC Reference1.8、iFi 8口電源タップ Power Station 音質テスト サンシャイン 電源ケーブル SAC Reference1.8 iFi Power Station 音質テスト 製品の概要 各製品の概要は、オーディオ雑誌のWEBサイトやメーカーサイトに詳しく記載されていますから、ここでは簡単にまとめた概要を掲載するに留めます。また、だいたいにおいてオーディオアクセサリーの「効能書き」は、健康食品や美容化粧品のそれと変わらず、まともな科学的根拠に乏しいものばかりなので、信じ込まないように注意が必要です。さらに、様々な評価には「最高・ベスト」という言葉が何度も出てきますが、定量的な根拠がありませんから、こちらもあまり信じ込まないようにして下さい。 オーディオアクセサリーは、レストランのテーブルの上に乗っている「調味料」のようなものです。適度に使えば、味わいが引き立ちますが、使いすぎると逆に機器本来の味わいを損ねかねませんから、使いすぎないように、染まりきらないように、注意が必要です。 サンシャイン 電源ケーブル SAC Reference1.8 メーカー希望小売価格 16,800円(税別) サンシャイン社は、高すぎる(社長はぼったくりと考えているようです)オーディオアクセサリー市場に一石を投じるべく、ハイコストパフォーマンスな製品を送り出しています。2019年に新発売された電源ケーブルは、他メーカーとは異なる製法(ディップ・フォーミング)で生成され、HSE処理が施されます。 ディップ・フォーミングをWEBで調べると、真空中で清浄な表面状態の銅母線の周囲に溶銅を付着凝固させ、より大きな断面積を持つ荒引銅線を製造するシステムと説明されています。この方式では、導体生成の全工程が窒素雰囲気ガス及び真空中で行われることにより、導体が酸化する心配がありません。特に導体の純度が高まると、酸素と結合しやすくなるので、高品位な導体を作るためには欠かせない精製法だと考えられます。生成された導体は、水素脆化が起こりにくく、靭性、展延性、柔軟性があり、加工性に優れている。銅線表面がなめらかであるため、銅粉の発生が少ないなどの特徴を持っています。この特性は、サンシャイン社が主張するように、オーディオ用導体として理想的な素材と言えます。 HSE処理とは、いわゆる「エージング(馴らし処理)」のことです。完成したケーブルにあらかじめ電流を流すことで、金属結晶が整然と再配列されるため、ケーブル購入直後から最適な音質が得られます。 低価格を実現するため、モールドプラグ(ケーブル一体型プラグ)とシールドの廃止(ノンシールド)で仕上げられていますが、モールドプラグの採用は、ケーブルとプラグが一体化されることで酸化しやすい6N銅を酸化から保護する働きがあり、接続部の抵抗も小さくなるメリットがあります。高級ケーブルには、強固なシールドが施されることが多いのですが、経験上シールドを強固にすると音の密度が向上する反面、音場が広がりにくくなるという問題を感じる事があります。ノンシールドケーブルは、S/Nで若干不利ですが、開放的で生き生きした音質が実現します。ちなみに、逸品館オリジナルのAIRBOW 電源ケーブルも同様にノンシールドを採用しています。
iFi Power Station メーカー希望小売価格 69,000円(税別) 「朱雀」や「青龍」などの超高級カートリッジのメーカーでもあり、様々なひと味違う輸入品を扱う「TOP WING」から、オーディオに有害なノイズだけをアクティブ方式でキャンセルする独自技術「Active Noise Cancellation II(ANC2/アクティブ・ノイズ・キャンセレーション2)」を搭載する8口電源タップ「Power Station」が発売されました。 iFiによると、ANC2はフランスの戦闘機(ダッソー・ラファール)の技術「タレス・スペクトラ・レーダー・キャンセレーション・システム」を応用し、ノイズ信号と同一の信号を逆位相で発生させることで、オーディオに有害な幅広い帯域のノイズを能動的にキャンセルする技術で、全帯域で-40dBのノイズ減衰効果があると説明されています。 電源タップの筐体はアルミニウムが使われ、独立配線により相互干渉を抑えた8つのコンセントが搭載されています。内部配線やバスバー部品にはOFHC連続鋳造による純度99.9999%の銅線(Solid PurCopper)を採用、アウトレット部にはHigh Performance PurCopperが用いられるなど、この価格でよくぞここまでという技術や材料が使われています。 さらに、グラウンド/アースが存在していない場合、極性が間違っている場合を検出する診断機構や、グラウンド/アースを確保するグラウンド・ループ防護回路も搭載され、iPurifier ACとの併用でさらなるノイズ低減が実現するとされています。 生産は中国で行われ、質感は価格相応か、あるいは少し我慢が必要な程度で、それほど高くありません。
試聴テスト 電源アクセサリーの影響がより大きく反映されると考えて、比較試聴にはオールインワン・コンポーネント「AIRBOW AI301 V2」を選びました。スピーカーには、普段から使っているBeethoven Concert Grand(T3G)を使いましたが、このモデルも生産完了となって久しいため、そろそろ代替わりを考えなければいけません。 試聴はまず、AI301 V2にAIRBOW電源ケーブル「KDK-OFC」を組み合わせた状態で行い、そこにifi Power Stationを追加しました。壁コンセントとAI301 V2の間にPower Stationが入る形になりますが、Power Stationと壁コンセントを繋ぐための電源ケーブルは、あえて付属品を使わず(見た目それほど音は良くない感じだったので)AIRBOW KDK-OFCを使いました。こうすることで、電源ケーブルの品質は変わらないまま、電源タップの音質改善効果だけをチェックできるはずです。 さらに、AI301 V2の電源ケーブルをサンシャイン(Sunshine) SAC Reference 1.8に交換した場合と、AI301 V2の電源ケーブルはそのままで、壁コンセントからPower Stationまでの電源ケーブルをKDK-OFCからサンシャイン(Sunshine)SAC Reference1.8に交換した場合の音質を比較しました。 AI301 V2の音出しには、AIRBOW ミュージックPCのエントリーモデル「MBN-i7」をUSB接続で使いました。 試聴に使った機器 AIRBOW MBN-i7 販売価格 240,000円(税別)〜(現金で購入)・(カードで購入) AIRBOW AI-301 V2 販売価格 73,500円(税別) (現金で購入)・(カードで購入) Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand(T3G) 生産完了モデル(中古で探す) 比較試聴動画 nsine 電源ケーブル SAC Reference 1.8、iFi Audio 電源タップ iFi Power Staition 音質テスト 試聴ソフト (CDからリッピングしたWAVファイルを使用) 音質評価
低域は量感がたっぷりとしていて、壁を揺らすくらいの迫力がある。
低音はやはりよく出る。弦楽器はわずかにスモーキーで、金管楽器も少し輝きが鈍い。 反射音が消えるのが少し早く、空間に若干の濁りもあるが、ピアノとバイオリンのコンビネーションは素晴らしい。
ギターの音は甘く、響きが美しい。ボーカルも艶っぽく、ニュアンスが豊かで説得力がある。
聴感上の低域が少し増え、切れ味も向上した。 劇的な変化ではないが、あらゆる部分の音質が平均的に数割程度改善しているように感じられる。 ピアノの音に芯が出て、響きのにじみが消えて透明感が増した。低音の量感や密度感も向上している。
ギターの透明感が向上し、空間の濁りも減少した。弱音部がより長く、より美しい。
低音の量感が一段と向上し、ボーカルやコーラスの厚みが増すのもはっきりと聞き取れる。 低音の力感が向上し、低音が前へ前へと出てくる。 スタジオ録音だが、ライブ感が強くなる。
ピアノのタッチが上質になった。バイオリンの音はさらに滑らかになるが、弦と弓が引っかかる感じもはっきりと伝わってくる。
ギターの音が、明瞭になり、響きが美しい。低弦の厚みも増している。
アンプに近い電源ケーブルをKDK-OFCに変えると、変化量はほんの少し減るが、サンシャインよりもKDK-OFCの音色、KDK-OFCの支配力がより強く反映される。音質は、サンシャインを直接繋いでいるときの方が良かったかもしれないが、音のバランスはこちらの方が優れているし、音像の奥行きが拡大して、全体的にはこの方が良いと感じられる。 音質がとても自然で、良い意味でコンポーネントの存在感が薄くなる。 イントロのピアノの入り方が良い。バイオリンとの関係性も清潔だ。
ギターを「人間が弾いている感じ」が強くなった。音ではなく、奏者の存在感が際立ってくる。 試聴後感想 電源関係のオーディオアクセサリーの効果には「謎(迷信)」が多い。 経験上、これは「違う」と思うのは、抵抗が低いほど、電気的な特性が優れているほど「音が良い」という迷信。 電子のレベルで見れば、電子は電線の中を「光に近い速度」では決して移動していない。では、電流はどのようにして流れているのかと言えば「玉突き」に近い状態で電子の「振動(運動)」エネルギーが伝わっているようなイメージだ。 だから、発電所から長々と電気が流れてきて、壁から僅かの距離、全体から見れば無視できるほどの長さの電源ケーブルを変えただけで音質は大きく変わる。私は、電流は管の中を流れる空気のようにその「出口」を改善するだけで、全体の流れが良くなると考えている。だから、アンプに最も近い部分の電源ケーブルの「支配力(音色)」が最も大きく反映されるのだろう。 電源タップの音質改善効果は、電源ケーブルと同じ考え方も出来るが、さらに「振動」の影響をより強く受けると考えている。 電源ケーブルもスピーカーケーブルも「交流」が流れることで磁界が発生し、ケーブルそのものが音楽信号にマッチングした「振動」を発生する。そして振動した結果、ケーブルは磁界の変化を発生し、まるでエコーチャンバーのように「響き」を発生する。 この僅かな響きにより、人間に聞こえる音質は大きく変化する。測定できないような変化でも、人間はそれを敏感に感じ取る。 だから、「材料」に対応する「音」が聞こえる。金を使えば、金の音。銀を使えば、銀の音。銅には、銅の音がある。 貴金属が使われるとケーブルは高価になり音が良くなるが、それは貴金属が人間にとって美しい響きを奏でるからだろう。 けれど美しい響きを奏でるのは、貴金属だけではない。安価な鉄も、真鍮も、楽器に使われている金属はどれもが美しい響きを持つ。すでに入手が出来なくなったが「イソダ」というケーブルには、鉄や真鍮が使われていたことがある。比較的価格は安く、音は良かった。 サンシャイン(Sunshine)の電源ケーブル、SAC Reference1.8は、優れた電源ケーブルである。元気が良く開放的なサウンドは、音楽を生き生きと鳴らしてくれる。杞憂かも知れないが、シールドが施されていないため、信号ケーブルに近づけすぎるとシステムのS/Nが悪化する危険があるかも知れない。レコードプレーヤーの出力など、微小信号が流れる信号ケーブルには、あまり近づけない方が良いと思われる。 メーカーが主張する10万円以上!といううたい文句は、何を基準にするのかが明確ではないが、有名国産品で広告にお金ばかりかけている音質が芳しくないメーカーの10万円クラスの電源ケーブルよりは、間違いなく音質は優れているだろう。しかし、1.5倍くらいの価格で購入できるAETの電源ケーブルと比べると、クォリティーはほぼ同じで音色の違いだけかなと感じられる。SAC Reference1.8とAETを比較すると、音楽をより躍動させるのがSAC Referenceで音楽をより緻密に聞かせるのがAETだと思える。さらに2〜3倍の価格まで範囲を広げて比較すると、AET電源ケーブル「TSD-HSやHP」との比較では、音質でやや分が悪いと思う。このクラスのAETの電源ケーブルはやはり素晴らしいからだ。しかし、現時点ではこの価格帯で最もおすすめなのは、SAT Reference1.8で間違いない。 iFiの電源タップ Power Stationは、8口という使い勝手の良さ、しっかりした作り、有効なノイズフィルターが付いて6.9万円というのは、ハッキリお買い得だと思う。変な癖もないし、アップグレードも可能だし、外観の仕上げ感が国産品と比べて僅かに低いことさえ我慢できるなら、この価格帯ではこれもベストな選択だと思われる。 2019年8月 逸品館代表 清原裕介 |
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