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SA8005/PM8005、audioquest cableの音質テスト、JBL Studio2 Seriesの音質テストに続き、FocalのNewモデル Chorus 7002 Series の音質チェックを行いました。使用するアンプとCDプレーヤーは、引き続きSA8005/PM8005、接続ケーブルはaudioquest Red Reverです。
Marantz SA8005 | Marantz PM8005 | |
129,500円(税別) | 129,500円(税別) | 0.5m:13,600円(税別)・1.0m:14,900円(税別) 1.5m:16,100円(税別)・2.0m:17,400円(税別) |
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フランスFocal社 Aria 900 Series に次いで、New Chorus 700 Seriesが発売されました。
New Chorus 700 Seriesの特長
実質主義
多くのスピーカーメーカーは、自社製品に使用するスピーカー・ユニットをScan
Speakなどのユニット専門メーカーから供給を受けています。あるいはユニットメーカーと共同でOEMユニットの開発を行いそれを使います。Focal社は自社製品に使用するユニットの設計・製造を自ら行える、数少ないスピーカーメーカーの一つです。New
Chorus 700 Seriesにも、Focalが設計・製造する”Maid in France”のFocal自製ユニットが採用されます。さらにキャビネットの設計、外観デザイン、アッセンブリーを含めすべてがフランスで生産される、New
Chorus 700 Seriesは「100% Maid in France」の製品です。
“France”と聞けば、フランス料理やパリコレなど、ファッションや料理を思い浮かべ、優れた工業製品を輸出しているイメージはありません。しかし、今を去る約130年前の1887年に”エッフェル塔”を建設し、世界で唯一の超高速旅客機”コンコルド”をとばし、超特急鉄道”TGV”を走らせるなど、欧州でもその技術力はトップレベルにあります。車に目を向けると、ドイツやイギリスがベンツ、BMW、ロールスロイスなど高級ブランド車を生産するのに対し、フランスはプジョー、ルノー、シトロエンなどの大衆車を得意とするなど、生み出す製品の性格が異なります。Focalのスピーカーも「実質主義」を引き継ぎ、イギリス B&Wよりも安くて良い製品を市場に送り出しています。「実質主義」を標榜するFocal社と「安くて旨い!それが大阪」をモットーとする逸品館には、どこか共通点が感じらます。そういう「大阪の実質主義眼」でFocalを見れば、実に巧みな設計とデザインが行われている事に気付きます。
ツィーター
Focal社のスピーカーは、最上級モデルは振動板に「ベリリウム」が、Aria/Chorusには「アルミ・マグネシウム合金」が振動板に使われる、自社製の逆ドーム型ツィーターが使われます。New Chorus 700 Seriesには、彼らが"TNV2"と名付けた、最上級モデルで培われたノウハウにより設計された特殊なサスペンションを持つアルミ・マグネシウム合金製逆ドーム振動板を採用する25mm口径ツィーターがすべてのモデルに使われています。この優れた-ツィーターの採用により、New Chorus 700 Seriesの全モデルは、このクラスのスピーカーの水準を超える細やかで色彩感のある艶やかな高域を再現します。
ウーファー
Chorus 700 Seriesのウーファーの材質は、Ariaに採用された0.04mmのグラスフィバーで0.4mmの植物繊維系素材をサンドイッチした"F
Sandwich Cone"でなく、従来と同じグラスファイバーと高分子樹脂素材が組み合わされたコーン紙が使われます。ウーファーの口径は130mm/165mmの2種類、さらに口径165mmのミッドレンジユニットが準備され、モデルによりそれらが単独で、あるいは組み合わされて使われます。軽く強度が高く適度なダンピングを持つ、New
Chorusのウーファーはレスポンスに優れ、音楽を楽しく弾ませます。
キャビネット
ピアノブラック仕上げの天板、背面、フロントバッフルには人工皮革が張られます。
Chorusには25mm厚のMDFキャビネットが使われています。フロントバッフルはそれよりも強固に対策され、不要な定在波を発声しない非並行型キャビネットが採用されています。後ろに向かってスピーカーン幅が狭くなる非並行サイドパネルをFocalは、すでに30年以上前から採用しています。キャビネット内部には、共鳴と共振の抑制、キャビネット強度の向上を目的とした「リブ(内部補強材)」が使われています。優秀なキャビネットを与えられたChorusは、このクラスのスピーカーの水準を超える量感と密度感を兼ね備えた、良好な低域を再現します。
入力端子・付属品
New Chorus 700 Seriesの入力端子は、バナナプラグ対応シングルワイヤーです。トールボーイ型の714/716/726には高さ調整が可能なスパイク(先端保護キャップ付き)とスパイクを使いたくない時に、スパイク用ねじ穴に取り付けて使える小さなゴム脚が付属します。
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音質テスト
Hilary Hearn “Bach Concerto” (CDレイヤー)
上級モデルのAria926と比べると、Chorus726はよりメリハリが強く音質がクッキリしています。また音色がAriaよりも明るく、全体的に快活な印象を受けます。音場も大きく広がり、立体感に富んでいます。低域も膨らみません。
弦楽器の高音はAriaよりややきつく、金属的に感じられますが決して不愉快な音ではありません。メリハリが効く高音は、一小節、一小節の区切りを明解で元気よく奏でバッハをリズミカルに鳴らします。バイオリン、チェロ、コントラバスの分離も非常に明解でわかりやすく、音楽に合わせ身体が動き出すような音で第一楽章が聞けました。
続けて聞く第2楽章は第1楽章の快活さとは逆に、静かで情緒的な沈み込みが求められます。コントラバスのパートは重厚で深く鳴りますが、暗くなりません。バイオリンソロのパートの音色は繊細で女性的ですが、強い憂いを秘めるような音ではありません。十分に情緒的ですが、その中に女性的な優しさと明るさを感じさせる音で第2楽章をさらりと鳴らしました。
Chorus 726は明るく快活で人気の高いB&Wと同じ方向性のHiFi基調の明瞭なサウンドが特長ですが、フランス製品らしくB&Wより明るく、独特な艶を持つ音色で音楽を情緒的なテイストを込めて鳴らしました。
Madonna “The Immaculate Collectiono” から Like a Virgin
この曲では新しく採用された"INV2"ツィーターの良さが光ります。
高域の切れ味が抜群で、一皮むけたような明解で楽しい音。ボーカルは抜けが良く、発音がはっきりと聞き取れ、その内容に説得力があります。ベースラインも膨らまずリズミカルにベースが鳴り、打ち込みの音もクッキリと鮮やかに彩りを添えます。
高音、中音、低音の各パートが明解に分離され、正しくハーモニーを奏でるので音楽が実に楽しく躍動します。細かい説明など不要な、聞けばすぐにわかる楽しい音でマドンナが鳴りました。
orange pekoe ”10th Anniversary Best Album SUN&MOON “ から やわらかな午後
マドンナでリズムラインが歯切れ良く鳴ったように、この曲でもシンバルやドラムが綺麗に鳴ります。
Chorus726の高音は、Vienna Acousticsのようなテキスタイルドーム型ツィーターを採用するモデルと比べると、確実に芯が強く明瞭で明解です。確かにクラシックギターの音がやや「金属弦」を使っているように硬く、響きもやや硬質に聞こえることがありますが、一般的な金属ツィーターよりも音は流暢で艶があります。また、同じメタルドーム型ツィーターを搭載するB&Wと比べると、その高音には艶がありエッジも必要以上に立たずボーカルの子音が不要に荒れません。
3曲を続けて聴きましたが、その明解で明瞭、明るくて快活な性質はジャンルを問わず変わりませんでした。実に音楽を楽しく聞かせてくれるスピーカーだと思います。スペックこそ控え目ですが、低音も驚くほど良く出ますし、HiFi〜シアターと用途を問わず、またジャンルも問わないその性格は家庭用としてベストに近いと思います。
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音質テスト
今回届けられたChorus 700 Seriesの試聴機は、 726は「突き板仕上げ」、716は「ピアノブラック(ブラックハイグロス)塗装+レザー仕上げ」と外観が違います。通常スピーカーの音色は、表面に薄く張られる突き板の材質だけではそれほど大きく変化しません。しかし、ユニットの音をダイレクトに反射するバッフルが硬質な突き板から、軟質なレザーに変わると音が変わるはずです。Chorus 716はその影響か、726に比べ高音が僅かに柔らかく柔軟に感じられます。弦楽器の高音も726よりも少し柔らかく、より有機的色合いを濃く感じますが、それは耳をそばだてて注意深く聞き比べて始めてわかるほどの小さな違いですから、仕上げと音質の違いにそれほど神経質になる必要はなさそうです。
しかし、見た目の印象は突き板仕上げとピアノブラック&レザー仕上げで高級感にかなり大きな差を感じます。2色用意される突き板仕上げは木目も美しく上質ですが、表面に使われているウレタン系?のクリア塗装の影響か、表面がビニールコートされているようにも見えます。コートが厚い分耐候性には優れるのでしょうが、オイルフィニッシュのような自然な木の質感がやや薄くなっています。見た目の印象を大切になさるなら、ピアノブラック&レザー仕上げのブラックハイグロスモデルの高級感がより高くお薦めです。
肝心の音質ですが、926と比べて最低域の量感が僅かに減じられているものの、音楽を聞いている限りスピーカーが一回り小さくユニットが一つ少なくなった影響はほとんど感じられません。音調や分離感、立体感にもほとんど差がなく、ヒラリー・ハーンを聞く限り916/926は、「どちらでも良い」というのが正直な感想です。
Madonna “The Immaculate Collectiono” から Like a Virgin
ヒラリー・ハーンではそれほど違いを感じなかった926/916の違いが、この曲でははっきりします。バッフルに貼り付けられた人工皮革の効果でしょうか?マドンナに声が一段と柔らかく、女性らしい肉付きの良さを感じさせる音に変わります。より肉声に近くなるイメージです。打ち込みのシンバルの高音も立ち上がりのアタックは少し優しくなりましたが、余韻が滑らに後を引きリズムが流麗になりました。
ウーファーが一つ減り、キャビネットが小さくなったにもかかわらず低音(ベース音)の量感や音階の明瞭度は、926とほとんど変わりません。逆に926よりも聞こえない領域に近い重低音の量感が少なくなった分、マンションなどの音漏れが気になる場面では使いやすくなっているとさえ思えます。
726の突き板仕上げのメーカー希望小売価格\128,000(税別・1本)と716のピアノブラック&レザー仕上げのメーカー希望小売価格\117,00(税別・1本)とその差は僅かです。音の差も非常に小さく、仕上げの好みもありますが、私は迷わずウーファーが1つ少なく、より使いやすいであろうChorus 716を選びます。
orange pekoe ”10th Anniversary Best Album SUN&MOON “ から やわらかな午後
この曲でも716と726の低音の違いは、ほとんど意識されません。逆に余計な低音が無くなった分だけ、中高域の透明感と分離感がさらに上昇しているようにさえ感じます。
926で少し気になったギターの金属的な感じが緩和されていますが、このあたりにバッフルの材質差が出ているのかも知れません。パーカッションは若干湿っぽくなりますが、ボーカルはより柔らかく人間が歌っている肉声に近く感じます。
仕上げにより音が多少違うことを考慮して、ボーカル系のソースならピアノブラック&レザー仕上げ、器楽曲系のソフトがメインなら突き板仕上げ、とお聞きになる音楽のジャンルで仕上げを選ばれるもの良さそうです。
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音質テスト
Chorus 700 Seriesが見事だと思うのは、使用するユニットの口径とキャビネットの容量が変わっても、スピーカーの基本的な性能や音色がほとんど変化しないことです。 前Chorus Seriesがそうであったように、口径が異なるサイズのウーファーやスコーカーを同一のツィーターと組み合わせたときには、再生される楽器の質感や音色が変わり、モデル毎に特長が出ます。それが大きいと善し悪しに変わるのですが、前作では感じられたその善し悪しが新型のChorus 700 Seriesではトールボーイ3機種を聞き比べる限り、感じ取れません。
しかし、716の165mmから714で130mmとサイズダウンされたスコーカーとウーファーの影響が音に顕著に現れます。バイオリンの音が少し細くなり、コントラバスの音がチェロに近くなりました。コンサート-ホール、楽団、楽器のサイズが少し小さくミニチュア的に感じられます。ユニットとキャビネットのサイズダウンと正確に比例して、楽団が縮小されました。
しかし、その縮小スケールは非常に正確なので、しばらく聞いているとサイズダウンが気にならなくなります。8畳以下のお部屋でスピーカーを選ばれるなら、またどちらかと言えば小音量で音楽をお聞きになられることが多いなら、ユニットが小さくキャビネット容量も少ない714をお選びになることで、上級モデルよりも「精緻」に音楽をお楽しみいただけると思います。
714はトールボーイと言うよりは、ブックシェルフに近く、濁りがより少なく癖もないニュートラルなサウンドでヒラリー・ハーンを鳴らしました。
Madonna “The Immaculate Collectiono” から Like a Virgin
低域はしっかりと弾みますが、ボリューム感は減少しました。ボーカルも一回りスケールダウンして、可愛くキュートな声になりました。中低域の力感とボリューム感が若干低下しますが、帯域内でのバランスは向上しています。
926/916はボリューム豊かなライブサウンドでマドンナを鳴らしました。914はそれよりも引き締まった、Studioの緊張感を伴う音でマドンナを鳴らします。
Focalらしい艶と上々に溢れる926/916に対し、B&Wの持ち味である理知的な感覚を少し強くしたモデルが914です。
orange pekoe ”10th Anniversary Best Album SUN&MOON “ から やわらかな午後
この曲でも914は、926/916が持っていた「空気が動くようなリアルなライブ感」が薄くなっています。
926/916は身体を包み込むようなリッチな音場を実現し、ライブを聴いているイメージでこの曲を鳴らしました。それらと比べると914は、間接音よりも直接音のエネルギーが強く「場の雰囲気」よりも「楽器の存在感」がより強くなります。その結果、イメージがライブからスタジオへと変化します。
トールボーイの3モデルを聞き比べて、926が最もライブ感と雰囲気感が濃く、916はそれに続きます。914はこの2機種とは少し違って、スタジオで音楽(演奏家)と対峙しているような、モニター色が強くなります。
私は、ライブ感とスタジオ感の両方を「中庸」ではなく「両立」させている916がトールボーイで最もお薦めだと思いますが、リスニングルームの大きさ、音楽をお聞きになる音量、現在お使いの装置との相性、お好みの音楽のジャンルなどに合わせて、マッチするモデルをお選び頂ければと思います。
音質テスト
ブックシェルフモデルの試聴は純正スタンドではなく、Tiglon MGT-70Sを使って行いました。
2Wayスピーカーのウーファー口径が100mmを超えるとツィーターのつなぎ目に異質な感じが覚えることが多くなるのですが、165mmという大口径のウーファーを搭載するにもかかわらず、706のツィーターとウーファーの繋がりの良さには驚かされます。
New Chorus 700 Seriesのスペック表を見ると、モデルにかかわらずツィーターは3000Hz、ウーファーは300Hzでオーバラップされていますが、通常同じ口径のユニットを使った場合でも、モデル毎にオーバラップする周波数(クロスオーバー周波数)は変えられているのが普通です。Focalでも上級モデルのAriaではモデルに応じてクロスオーバー周波数が変えられています。Chorusでそれを変えていないのは、「面倒だった」からではなく、「変える必要がなかった」からと考えます。
706を聞いてみると、搭載する165mm口径のウーファーが上限の3000Hzまでしっかり高域を再生していることがわかります。多くの場合、ウーファの口径が100〜130mmを超えると高域の音色が鈍くなり、ツィーターの鋭い音と質感(周波数特性ではなく)が繋がらなくなることが多いのですが、New Chorus 700 Seriesがウーファーに採用するグラスファイバー樹脂ハイブリッドユニットは、通常のウーファーが再生できない高域まで歪みなく再生することが可能で見事にツィーターと繋がります。さらに新型"INV2"ツィーターは、クロスオーバーが設定される下限の3000Hzよりもさらに低い周波数でも歪みなく再生する能力を持っているはずです。”3000Hz一定”というネットワークの数値は、Chorusが採用したウーファ-/スコーカーがその周波数よりも余裕のある下限/上限を再生可能な非常に優秀なユニットである証だと思います。
706は大口径ウーファを採用する2Wayとは思えない自然な音の繋がりが魅力です。低域はトールボーイの714とそれほど変わらなく感じたので、スペック表で確認すると714/43Hz・706/47Hzと僅差でしたが、再生される低域もほぼその数字に比例し、706でもコントラバスのパートがきちんと再現されます。
精緻さや立体(定位)感の正確さで、キャビネットが大きいはトールボーイはブックシェルフに一歩譲ります。また、714からユニットの数が3つから2つに減り、ネットワークによる帯域分割数が1つ減ったことで、706は714よりもさらに自然で深みのある音を出しました。
706は外観こそブックシェルフですが、その枠を超える帯域再現能力と、音楽表現能力を持つ良いスピーカーです。
Madonna “The Immaculate Collectiono” から Like a Virgin
165mmの大口径ウーファーを搭載する威力で、低域がしっかりリズミカルに弾みます。十分な量感のある低域が再現され、ブックシェルフ型スピーカーを聞いているとは思えません。また、714ではやや細身に感じたマドンナの声が706で再び太さを取り戻しました。また「キャビネット(エンクロージャー)の紙のような低級な響き」はまったく感じられず、価格以上の質感の高さを実感できます。
これまでの経験では、2Wayスピーカーに使われるウーファーの口径は130mmが最も良好で、それ以上大きくなると音が鈍くなりました。しかし、新しいChorus Seriesは良い意味で例外です。706は搭載する165mmウーファーとツィーターの繋がりが良好で、その段差をまったく感じさせません。もしかすると130mm口径ウーファーを搭載する705よりも繋がりがよいのかも知れません。それはこの後で試聴する705を聞けばわかるでしょう。
706は価格と外観から受け取れるイメージを超えて、とても良くできたブックシェルフスピーカーでした。
orange
pekoe ”10th Anniversary Best Album SUN&MOON
“ から やわらかな午後
イントロ部のベースの低音の量感と密度の高さに驚かされます。Tiglonのスタンドとの相性にも優れるのかも知れませんが、このクラスのブックシェルフとは思えないほど豊かな低域が出ます。
バスレフによる低域に膨らみや遅れも感じられず、キャビネットもしっかり作られているのでしょう、不要に膨らんだ響きも感じられません。
2Wayの良さで伴奏との分離に優れ、実に自然な声でオレンジ・ペコが歌います。伴奏とボーカルのタイミングもピタリと合い、リアルで楽しいサウンドでオレンジ・ペコが鳴りました。
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音質テスト
714で感じたように、ウーファーの口径が130mmだと弦の音が少し細くなります。しかし、低音は意外にしっかり出てきて、コントラバスのパートもきちんと再現されます。
706よりも一回り小さい705ですが、それでも小型スピーカーと聞いて我慢しなければならない部分はほとんどありません。高音も澄み切って美しく、弦楽器の倍音が鮮やかに再現されます。
全帯域での音速感が統一され、見事な低音、中音、高音のタイミング感の一致に小型口径のウーファーを使うメリットを感じます。しかし、706は165mm口径の大型ウーファーを搭載するにもかかわらず音速を見事に統一していましたから、705では706よりも中音が痩せ(厚み感の低下)ることが気になりました。
一般的な他社製品と比べると水準以上の出来でとてもよい音なのですが、706の165mmウーファのゆとりある音を聞いてしまった後では、設置場所さえ許すのであれば706を使いたいと思いました。
Madonna “The Immaculate Collectiono” から Like a Virgin
705と比べ明らかに低域が不足し、打ち込みのベースの音量が小さくなりました。
歯切れ良く、はっきりした音ですが、エネルギー感や躍動感は706からかなりダウンします。
705のピアノブラック&レザー仕上げモデルは、外観も美しくデザインにも優れています。しかし、706との価格差を考えると706がお買い得に思えます。また、706ではサイズが大きすぎると感じられる場合には、705よりも小さいサイズで音の良いPMC
DB1や、割り切った低域に魅力を感じるAIRBOW IMAGE11/KAI2などをお薦めします。
orange pekoe ”10th Anniversary Best Album SUN&MOON “ から やわらかな午後
イントロ部の低音は、思ったよりもシッカリ出ます。ボーカルはやはり少し線が細く、さらに悪いことに力強さが失われました。
綺麗な音ですが、706/716/726が持っていた力強さ、躍動感の強さが感じられず、しょぼしょぼ鳴っているイメージです。Chorus 700 Seriesのお薦めは、165mm口径ウーファーを搭載する706/716/726の3モデルで決定です。
また、716/726をフロントに使うサラウンドをお考えの場合、リアスピーカーには同じ165mm口径のユニットを搭載する706/714/726が音色が統一されるのでお薦めです。
試聴後感想
各モデルの試聴リポートに感想を交えましたので、改めて試聴後感想をお読みいただく必要はありませんが、Focal Chorus 700 Seriesのお薦めは165mm口径ユニットを搭載する706/716/726の3モデルです。
この3モデルの音は明るく力強く、音楽を楽しく躍動させます。組み合わせるコンポーネントやジャンルを選ばず、わかりやすい「良い音」が出せますが、フランス製品らしい「情緒の深さ」も合わせ持ちドライになりすぎません。この点がイギリス製品のB&Wとの違いです。
外観は好みがあると思いますが、ピアノブラック&レザー仕上げの質感が一段と上質に感じました。音楽を身近に楽しませてくれるオーディオ機器として、Focal 700 Seriesは高く評価できるお薦めスピーカーです。
2014年3月 逸品館代表 清原 裕介
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