アームの調整
トーンアームにカートリッジを取り付けるときには、次の点に注意して下さい。
トーンアームの高さ
トーンアームの高さは針をレコードに落とした状態で「水平」が理想が基本ですが、カートリッジとアームの相性により「適切な角度」が若干変わります。
アームが後ろ下がりだと「低域より」に、後ろ上がりだと「高域より」のバランスになりますので、聴きながら調整します。ただし、水平からアームの高さが3〜5o以上変えると、カートリッジやレコードを痛めます。
3号館のプレーヤーのアームは、「やや後ろ下がり(2oほど)」の調整になっています。
オーバーハング
カートリッジは、トーンアームをプラッターの中心(レコードの穴の部分)に合わせたとき、針先が穴よりも少し外側になるように取り付けます。
この「穴から外側にずれる距離」を「オーバーハング」といいます。
「オーバーハング」が狂っていると、カートリッジがレコードの「内周〜外周で適切な角度」を維持できなくなり、歪みを発生します。オーバーハングの値(量)は、アームによって決まっていますので、アームやレコードプレーヤーの説明書を参考にして下さい。
値が分からない場合、オーバハングを「12〜15o」程度にしておけばよいでしょう。
オーバーハングは、さほど神経質になる必要はありません。
インサイドフォース・キャンセラー
レコードの内周付近で起きる「針滑り/針飛び」を防止するため、ほとんどのアームには「インサイドフォース・キャンセラー」が付いています。
値は「針圧と同一」にするように説明されていますが、インサイドフォース・キャンセラーの構造によっては「その負荷がアームの抵抗」となって自由な動きを阻害することがあります。
「SME」や「Nottingham」が採用している、「ウエイトで調整するタイプのインサイドフォース・キャンセラー」は音質への影響が少ないので、正規の値に調整してください。
「Thorens」が採用する「ダイヤル式(バネ式)のインサイドフォースキャンセラ−」は、針が滑らない限り値は「針圧の半分」程度にする方が、レコードが開放的に鳴るように思います。「ゼロ」にしても音質が伸びやかに、躍動的になる場合がありますが、針滑りが発生してレコードを傷つけたり、最内周で左右の音量が変わってしまうことがあります。ご注意下さい。
インサイドフォース・キャンセラーの量は、音質に大きな影響を与えます。
正規の値を中心に、軽くする方向で調整を行って下さい。
針圧
針圧は、カートリッジの「適正針圧」に合わせるのが妥当ですが、カートリッジの個体差や針先の摩耗状態、あるいは室温で最適値が変わるので、「適正針圧の範囲内」で聴きながら、良いポイントを探ります。
カートリッジの最適針圧は、ダンパーの硬さによって変化しますから、針圧調整はレコードを片面ほど演奏して、ダンパーの動きが良くなってから行います。
針圧が重すぎると、音質も重々しくなり躍動感や軽快感が殺がれます。
軽すぎると、音質が軽薄になりエネルギー感が希薄になります。
「自然に音楽が体に入ってくるポイント」が適正針圧です。
・レコードの状態をチェックしながら調整できるテスト用レコード