ヨーロッパではB&Wと市場を二分するスピーカー・メーカー“Focal”の製品は、Jm
labの名称でノアが輸入業務を行っていました。逸品館では、当時のラインナップの中からElectraやChorus Series(左写真は706S)をお薦めして拡販してきました。しかし、ノアに強力なライバル製品Sonus
Faberがラインナップされていたことや、デザインが日本市場にマッチしないことなどから、販売が伸びず2007年10月から輸入代理店がロッキーインターナショナルに変わりました。ちょうどこの時期“Focal”が製品デザインの変更を行ったこともあって、国内での呼称をヨーロッパと同じ“Focal”に統一、さらに本格的な日本市場への導入が始まりました。そして3年。名実共に世界最高を自負する“Focal”のフラッグシップStella Utopia EMの登場で国内での“Focal”のポジションは断固たるものとなりました。そこでこの機会に逸品館がお薦めしている“Focal”の2010年ラインナップをご紹介したいと思います。
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(Stella
Utopia EMはこちら)
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バサルト仕上げ
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シャンパーニュ仕上げ
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Scala
Utopia
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Diablo
Utopia
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Electra
1028Be
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Electra
1028Be
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3,400,000円(ペア)
生産完了モデル
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1,700,000円(ペア)
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1,200,000円(ペア)
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1,200,000円(ペア)
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・Scara Diablo 音質評価 (さらに詳しく)
作られた国は違うが、一世を風靡した小型プリメインアンプ「ミュージカル・フィディリティー(製造はイギリス)」のデビュー作“A1”は、純A級らしいきめ細やかな暖かい音の魅力で爆発的にヒットした小型プリメインアンプだった。たった20Wと言う小さな出力と、セレクターしか持たない簡単な構成で10万円を超えるというのは、当時の常識からすれば驚くべき常識外れだった。国産アンプの多くは出力と重量を競い、10万円出せば200Wを超える出力と20Kg近い重量級のアンプが買えたからだ。にもかかわらず、A1が受け入れられたのは「抗しがたい魅力的な音」がしたからだ。私もA1で海外製品の素晴らしいテイストを初めて知った。スカラは、そのA1と同じテイストに仕上げられている。
ヨーロッパでFocalと雌雄を分けるB&Wは、どちらかと言えばクールで理知的な音質を特徴とするがスカラは暖かく情熱的だ。お気に入りのイタリア製スピーカーZingaliでJazzを聴くと、演奏が灼熱の太陽の下で行われているように鮮やかに感じられる。スカラで同じ演奏を聴くと、昼下がりのフランスのカフェ(行ったことはないが)で行われているライブを聴いている柔らかい雰囲気がでる。フランス料理的な「ややこってりとした脂気」を感じさせる音だが、それは乾きがちなデジタルの音に潤いと味わいを与えこそすれ、音楽の解釈を無闇に肥大させることはないし、まして下卑た音とは無縁だ。あくまでもアーティスティックかつ上品な味わいを保ちつつ、優雅な色彩を音楽に付け加えてくれる。
適度な「脂気」が食材の口当たりと味わいを深めように、音楽を美味しくするためになくてはならない「色気の濃さ」をスカラは持っている。B&Wをイギリス料理、focalをフランス料理に例えると、分かりやすいかも知れない。まさに料理と同じ“味わい”の違いが両者に感じられたからだ。
今回は時間の都合もあり、AIRBOWSA7003/PM7003/Liveという廉価なセットとの組合せでしか聴かなかったが(聴く必要も感じなかったが)、AIRBOWの低価格モデルの限られた能力をスカラは最大に引き出して見せた。
それはスカラが本当に「分解能」が高く「楽器の音を素直に表現できる」スピーカーだからであるし、接続するアンプやプレーヤーの音を素直に引き出す、鳴らしやすいスピーカーだという証だろう。
美しい外観と高級感漂う存在感に秘められた音と音楽性は、技術、ファッション、テイストのすべてに最高を目差すフランスの高いプライドを十二分に聞かせる、素晴らしい仕上がりだった。
・Electra
1028Be 音質評価 (さらに詳しく)
現在ツィーターの振動板に採用される最もポピュラーな材質は、「テキスタイル(布)」と「金属」だが、金属でよく使われるのが「アルミニウム合金」である。金属振動板のツィーターは、芯があるが「繊細さ」ではテキスタイルに敵わない。しかし、Focalが採用するベリリウムは金属振動板の「芯の強さ」を持ちながら、テキスタイルの柔らかさと繊細さを併せ持っている。これはベリリウムが非常に軽いことが大いに関係している。B&Wはダイヤモンドを振動板に採用するが、ダイヤモンドはベリリウムよりも遙かに重く、繊細さではベリリウムに敵わない。それがFocalの「中高域の柔らかさ」の秘密である。
さらにElectra 1028Beは、ベリリウムツィーターの良さを最大に引き出すためにレスポンスと量感に優れる、強力な小型Wウーファーを搭載している。
その努力が実を結び、1028Beの仕上がりはUtopiaに負けず劣らず素晴らしい。ベリリウムが持つ「芯の強さ」が引き出された高域は、金属弦を使った楽器の音を素晴らしくリアルに再現する。同時に金属的で不快な音色が綺麗に消し去られているから、ボーカルや木管楽器は金属振動板とは信じられないほど有機的で暖かく鳴る。強度の高いWウーファーからは、サイズからは信じられない重量感を伴う低音が軽々と繰り出される。
スピーカーの存在を感じさせない自然な音離れの良さ、楽器の再現性の素晴らしさを聴いていると新しい素材と最新の理論の追求が、スピーカーを新しい世代に進化させたことが強く感じられる。それは、1028Beと同時期にモデルチェンジしたB&Wの新製品Diamondシリーズからも感じられる。B&WもDiamondシリーズになって旧モデルの欠点が見事に払拭され、ダイヤモンド振動板ツィーターの魅力が理想的な形で音質に結実しているからだ。ライバル同士が切磋琢磨したことで、FocalとB&Wは大きく進歩した。それぞれが採用したツィーターの材料の違いが価格の差なのか、B&WはFocalよりも少し高い。しかし、両者に音質的な差はほとんど感じられないから。価格とデザインが選択の決め手になるのだろう。
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Chorus
826E
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Chorus
826V
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Chorus
806V
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Chorus
716V
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360,000円(ペア)
生産完了モデル
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300,000円(ペア)
生産完了モデル
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120,000円(ペア)
生産完了モデル
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180,000円(ペア)
生産完了モデル
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・Chorus 826E概要
2011年1月に発売が予定されている826E(826 Japanise Editon)は、2009年70セット限定で発売された826W
30thの色違いモデル。外形寸法は826Vと同じだが、ウーファーとミッドレンジが「上級機と同じコンポジットWサンドイッチ振動板」へグレードアップされ、ネットワークが設計変更されている。826W
30THと差別化のため、ツィーターの上部に「Editon
Special Japan」の刻印が入り、サイドパネルが『レッド』から『ピアノブラック』へと変更される。このより落ち着いたムードの826Eは、限定数50ペアで輸入される。逸品館では発売と同時に1号館へ展示導入し、皆様にいち早くこのスピーカーをお聴きいただきたいと考えている。
・Chorus 826E音質評価
(さらに詳しく)
826E(826W30th)は採用される上級機譲りのユニットの効果で、中低音がしっかりと引き締まり、音の厚みが大きく増している。新設計のネットワークは、各ユニットのつながりをさらにスムーズし、2Way
スピーカーと同じようなシャープな低位が実現する。音調はFocalらしい暖さを持ち、音楽を情熱的に表現する。特にボーカルが「語りかける感じ」は絶品である。
・Chorus 826V音質評価 (さらに詳しく)
低音〜高音の帯域バランス、音色の調和が適正で低音の量感も適度。バランスが良く癖がすくなく特定の音が強調される、マスキングされることがない。音色の再現性に優れ、ハーモニーが深く美しく調和する。ナチュラルな音質がスピーカーの懐の深さを感じさせ、底面に設けられたバスレフポートにより低音の広がりが非常にスムーズ。設置場所の影響を受けにくい。スピーカーの介在を感じさせないさりげなさと音の濃さをしっかり備え持ったお薦めのモデルです。
・Chorus 806V音質評価 (さらに詳しく)
このサイズからは充分!?と感じられる豊かな低音だが、むやみに中〜低音が膨らまない。高域〜超高域にかけてすこし癖(ピーク)を感じるが、それがアクセントとなりFocalらしいメリハリの鮮やかさが演出される。サランネットを外すと、音がより一層ハッキリ前に出る。ピアノの音色が正しく表現される静かで深い音。ゆったりした印象で音楽を楽しめる。低音〜高音のバランスが適正で中高域とのバランスがよい。フランス製らしい独特の暗さの中に感じられるこのスピーカーでしか出せない味わい深さが魅力。明確な個性を持つ。
・Chorus 716V音質評価 (さらに詳しく)
シリーズを通して1番明快な性格で全体のバランスが非常に良い。付帯音が少なく、低音の膨らみや遅れも小さい。各ユニットの音の繋がりがスムーズで癖をほとんど感じさせず、く、音楽を生き生きと楽しく鳴らす。楽器とボーカルの分離に優れ、それぞれが明確に分離し透明度も高い。楽器は背後にボーカルは適度に前に出て、非常に心地よく音楽を聞くことができる。総じて演奏が色鮮やかに再現され、この価格にして驚くほどの仕上がり。