UNISON RESEARCH UNICO100 UNICO CDE Bladelius プリメインアンプ tyr チュール CDプレーヤーSyn シュン 音質 評価 比較 試聴 テスト

UNISON RESEARCH UNICO100 ・ UNICO CDE

Bladelius tyr (チュール) ・ Syn (シュン)

AIRBOW SA15S1/Master ・ PM15S1/Master

音質 評価 比較 試聴 テスト

UNICO P / CDPからブレイクしたUNISONRESEARCHのハイブリッド方式プリメイン&CDプレーヤのトップモデルが発売されました。

これを機会に今最もお気に入りのプリメイン&CD/SACDプレーヤー、BULADELIUS SYN、TYRに加え近日発売予定のAIRBOW SA15S1/Master、PM15S1/Masterとお気に入りスピーカー3種類を組み合わせたスクランブル音質テストを行いました。

まず、始めに新製品UNICO 100とUNICO CDEの紹介から始めましょう。

商品説明 (エレクトリのホームページより抜粋)

UNICO 100

音の純度を損なわず、音楽のアーキテクチュアを変形しない。極力シンプルな回路と最良かつ最少のパーツ。そしてなにより多くの時 間を、さまざまな分野の音楽を異なるスピーカーとの組合せで行う試聴に費やすこと。また、音楽へのインターフェースとして、人が 触れる機器のあるべき質感の追求。それがユニゾンリサーチの基本理念です。Unico100 は、プリアンプステージに三極真空管を配したデュアルモノ構造のハイブリッドインテグレーテッドモノ構成アンプでパワーサプライから出力ステージまでの全ステージは、デュアル構造でL/R チャンネルが独立しています。

このアンプには多くの新プロジェクトが採用されています。

Unico100 は、高性能デジタルコントロール ボリュームを使用した、全Unison 製品の中でも最初のモデルとなります。このソリュー ション、ボリュームコントロールは、デジタルコントロール可能なアナログスイッチャ一式を基にした、インテグレーテッド高精度レ ジスタアレーの後継機です。これは、高品質パフォーマンスを有するリファレンス製品に使用されています。ボリュームを設定するマ イクロコントローラをお持ちの場合、刻一刻と、正確な入力信号の減衰を見ることが出来ます。7つのセグメントディスプレイを使 用することで、ボリュームレベルを直接目に見ることができ、また2 桁表示により、ユーザは99 段階のボリューム調整が可能です。

入力セクションは上質な金メッキ製のコネクタを使用、入力選択には、マイクロプロセッサによりコントロールされる小 型の高品質リレーを使用しています。 入力信号は、優秀なCMRR、帯域幅、低ノイズを特徴とする高精度インテグレーテッドア ンプを経由します。バランス、アンバランス信号はそれぞれ、最大入力電圧を上げ、入力インピーダンスをコントロールし、ライン接 続ケーブルにより生じるグランドループの除去のため、本ステージを経由し、処理されます。さらに信号は、各チャンネル毎のボリュームコントロール IC を経由してオーディオステージへと流れます。シグナルパスは、出来るだけ短く、入力コネクタからコントロール 回路へ、さらにわずか数センチの中、最小減衰にて、プリアンプステージへと流れます。

プリアンプステージは、ECC83/12AX7 双三極真空管を使用した、ダブルトライオードステージ(カソードフォロワー回路)です。バルブプリステージが直接ソリッドステートのパワーステージと 結合し、非常に低いフィードバックファクターが適用されています。そこではソリッドステート設計の出力と真空管の温度感や音楽的要素とのコンビネーションを持つアンプから最高の音を得ることが挙げられます。特に留意したのは、非常に低い周波数でもシステム性能に影響ないように出力信号のDC 成分の効果的な排除を保証する特別なトポロジーを持つ回路から 構成することでした。 ドライバステージは、マルチカレントミラー、カスコードストラクチャー、いくつかのハイパワートランジスタの代わりに、パラレル で複数の低パワーハイフォーマンスデバイスをベースとした、Unico Secondo から継承した素晴らしいソリューションを採用してい ます。

出力ステージは、理想的なトポロジー内のデバイスのそばに大容量のコンデンサバンクを配置した3 つのパラレルMOS-FET ペアを各チャンネルに使用しています。このリアルデュアルモノアンプでは、Unico100 は各450VA というパワーに対し設計された、 信頼性と安全性に優れた2 つのトロイダルパワートランスをチャンネル毎に使用しています。

Unico100 には、スタンバイ機能があり、マイクロコントローラにて非常に低い消費電力状態にできます。 フロントパネルの StandBy スイッチを押す、もしくはリモコンにて、システムをオンにすることができます。状態をチェックし、その後ディスプレイ がカウントダウンをはじめ、操作状態にはいります。

前面の2つのノブは、いくつかの高精度エンコーダに接続されます。 それらを 回すことにより、入力ラインを選択し、ボリュームを設定することができます。またそれらを押すことにより、テープループ及びミュー ト機能をアクティブ状態にします。 

重量25kg 以上の 非常に大型かつ頑丈な造りのボディーは、特長ある大型ノブによりかなり重量感ある外観となりましたが、慎重なデザイン及び正しい調和 のため、より小さく、コンパクトに見えます。スチールシャーシは全ての要素、パワートランス、ヒートシンク等をサポートします。アルミ製のトップ/ サイドモジュールは、スト ラクチャーの剛性、外観性を高めています。さらに、大型フロントパネル(3kg up のアルミパネル)は、機械的な機能を有するだけ でなく、外観的にも利点となっています。 Unico100 の新しいプロジェクトでは、我々の確かな経験及び多くの素晴らしいアイディアが注がれています。同様のコンセプトでデ ザインされたUnico CDE CD プレーヤとのペアリングは、ユニゾンリサーチUNICO シリーズの新基軸となります。

UNICO CDE

UnicoCDE は、Unison Research のトップCD プレーヤでUnicoCD の進化形です。 主な特徴は、Unico 100 とペアリングになるデザイン、ブラックヘアライン仕上げのアルミシャーシ、アッセンブリ、フロントパネルは、「Unico スタイル」のサンドブラスト仕上げのアノダイズアルミフロントパネル、木製のロゴ象嵌、ワイドディスプレイ、シンプルかつユーザーフレンドリーな操作性です。

内部コンストラクションはUnico CD と比べ、2 倍の容量で、 4 本の12AX7/ECC83 双三極真空管を配した「アナログエリア」と「デ ジタルエリア」(DA コンバータ)が象徴的に分けられています。 ベッドブラスト(サンドブラストではない)は、微細なセラミックビーズの高圧気流による表面仕上げです。これにより、表面が均一 になり、オパークとなります。また、アノダイズ加工により、アルミパネルは表面の硬度を上げ、保護します。 ユーザインターフェースは、128x64 ドットの解像度からなるワイドディスプレイを持ち、ディスク内の全ステータス情報を表示します。

UnicoCDE では、リモコンでLCD のバックライトをオフにすることができます。これにより、デバイスの存在があまり邪魔にな りません。 主な機能はすべて、フロントパネルの4 つのボタンで操作可能です。 アナログ出力コネクタはXLR 及びRCA を装備しています。リアパネルのゲインスイッチで出力ゲインのLo/Hi が選択できます。 また、デジタルI/O のRCA コネクタはデジタル入出力インターフェース専用です。 リアパネルのソーススイッチでインターナル、 エクスターナルが選択できます。内部レイアウトは明瞭で素晴らしいものです。

アイアンスクリーンは電磁及び機械的ノイズを遮蔽し、 メイン接続、電圧設定、パワートランス、CD ドライブなどほとんどすべての接続ケーブルをノイズから保護します。 パワートランスは、Unison Research 設計によるトロイダルカスタム、低ノイズ及びオーバーサイズ仕様です。(最大100VA 対応、 これは一般的なインテグレーテッドアンプ用トランスフォーマの電圧です) CD ドライブは、オーディオ、PC 用、CD、DVD、CDR など多くのモデルより厳選されました。決め手となったのは、低ノイズ、信頼性、 使いやすさ、将来的なサービスの容易さでした。 UnicoCDE の回路は、モジュラー構造に準じ、開発されました。 PCB は、それぞれのファンクション専用であり、全ファンクション には独自のPCB が採用されています。

このようにして、パワーサプライ、コントロール、オーディオステージ間のマイナークロストー クが完成しました。 パワーサプライのデザインは、先行デバイスにおいて検証済みの利点をすべて兼ね備えており、8 つのセクショ ン別独立定電圧回路が採用されています。 独立ヒートシンクを使用することにより、よりよいパフォーマンス及び高い信頼性を得て います。 マイクロプロセッサでデバイスの全機能をコントロールします。これは弊社ラボで開発されたファームウェアで動作しています。 ドライブからのS/PDIF 信号は、CRYSTAL CS8420 SCR 回路へ送られ、最大96kHz のオーバーサンプリング、ジッターリジェク ション、オーディオデータコントロールを実行します。新しくエンコードされたデジタルデータは、CRYSTAL CS4392 DA コンバー タへ移行され、最大サンプリング周波数192kHz/24bit でデータ処理されます。

UnicoCDE にはまったく新しい出力オーディオステージが搭載されています。ソリッドステートトランジスタClassA バッファ採用、 チューブゲインステージ です。 Unison Research のデザインスタッフは、デバイスのチューブ特性を強調することでよりよいサウ ンドが得られると確信していました。バランス出力のため必要とされる4 種の信号及び非常に低い出力インピーダンスが求められま した。従って、バランス出力で正確なパフォーマンスを保証するため出力ステージは少なくとも8 本の三極管(4 本の双三極管)を 必要とします。綿密なリスニングテストでUnicoCDE はECC82 の代わりに12AX7/ECC83 チューブを使用することにより、トー ンの強化、改善が見られました。チューブ回路はパラレルかソードフォロワーで、電圧ゲインはありません。そのため、レベルブースター が追加されました。

出力DA コンバータの信号レベルを上げるため(チューブ出力ステージには手を加えず、独特のサウンドパフォー マンスを保持)、低ノイズアンプを使用しています。なお、本ゲインステージは、背面のプッシュボタンでバイパスも可能です。 Unison Research は、デザイン及びデバイスの製造に細心の注意を払い、さらに一見見落としがちな要素にも非常に気をつけています。 リモートハンドセットは、アートワークの傑作です。アルミプレートで覆われたその木製のボディ。外観も素晴らしく、機能的です。 UnicoCDE によって、Unison Research は、すべてのミュージックラバーの皆様に、いかなるときも喜びあふれる時を過ごしていた だきたいと思っております。

インテグレーテッド・ アンプ
UNICO 100 ¥ 600,000(税別)
生産完了
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CD/SACDプレーヤー
UNICO CDE ¥ 450,000(税別)
生産完了
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主な仕様

出力
180W x 2(8Ω)・360W x 2(8Ω)
周波数特性

10Hz − 100kHz  (−0.3dB)

入力インピーダンス
47kΩ
出力インピーダンス
2 − 8Ω
入力端子
XLRバランス端子(x1)
RCAアンバランス端子(x3)
出力端子

プリアウト出力(RCAアンバランス端子)

テープループ
録音出力(RCA端子)
モニター入力(RCA端子)
使用真空管
ECC83(12AX7)×2
外形寸法(最大)
435(W)x180(H)x445(D)mm
重量
25kg
D/Aコンバータ
24bit/192kHz (CS4392)

DAI/Fs

96kHz (CS8420)
アナログ出力
RCA (HI/LO切り替え式)
XLR (1系統)
デジタル出力

同軸:RCA

デジタル入力

同軸:RCA

使用真空管
ECC83(12AX7)×4
アナログ出力回路
ダブルトライオード/双三極管接続クラスA
パラレルカソードフォロワー
外形寸法(最大)
435(W)x130(H)x445(D)mm
重量
11.5kg

入出力端子

アンプには、3系統のアンバランス入力と1系統のバランス入力、1系統のアンバランステープ入出力が装備され、プリアウトもアンバランス1系統が搭載されています。スピーカー出力は、2系統ありますが切り替え式ではありません。

CDにはハイ/ロー切り替え式(矢印Aの小さなボタンで切り替える)のRCA出力と1系統のバランス出力が装備されています。電源ケーブルは着脱式で、メイン・スイッチは電源ケーブル接続コネクター上部、CDプレーヤーは側面にあります(フロントパネルのスイッチでは、メインスイッチのON−OFFはできません)。
CDプレーヤーには、1系統のRCA同軸デジタル入出力(矢印B)が装備されています。

付属リモコン

RCワイヤレスリモコンが付属しています。

アンプとCDプレーヤーには、木製の枠が付いた重量感のある豪華なリモコンが付属しています。

このリモコンは、PreludioやSinfoniaと同じです。

北欧神話をイメージさせる白夜の大自然、美しい海岸線と、湖水の森に囲まれたスウェーデンの小都市アリングサスに、「ブラデリウス」が誕生したのは 2003年。それだけを聞けば、まさに新進気鋭のブランドですが、オーディオ通のコニサーであるなら、その人名から、あのスレッショルド社のチーフデザイナーとして数々の名作アンプを設計したマイケル・ブラデリウスをすぐ連想されるでしょう。マイケルが故国スウェーデンに戻り、純粋に自分の理想とする製品づくりに専念するために興したブラデリウス・デザイン・グループ。ここから誕生した数々の意欲作は、すでに高い評価を得ています。

インテグレーテッド・ アンプ  [Tyr / チュール]
¥ 420,000(税別)
生産完了
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CD/SACDプレーヤー [Syn / シュン]
¥ 420,000(税別)
生産完了
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主な仕様

出力
100W x 2(4Ω)
周波数特性

DC − 200kHz 

入力インピーダンス
50kΩ
入力端子
XLRバランス端子(x1)
RCAアンバランス端子(x3)
出力端子

プリアウト出力(RCAアンバランス端子)

テープループ
録音出力(RCA端子)
モニター入力(RCA端子)
外形寸法(最大)
430(W)x107(H)x435(D)mm
重量
17.5kg
アナログ出力
RCA (HI/LO 各1系統)
XLR (1系統)
デジタル出力

同軸:RCA、光:TOS (各1系統)

チャンネル
セパレーション
110dB
S/N比
112dB
外形寸法(最大)
430(W)x107(H)x435(D)mm
重量
7kg


優れたベースモデルをさらにチューンナップすることで、低価格・高音質を実現する逸品館のオリジナル・オーディオ製品。開発は、新品中古品を問わず多くの製品を聞いた豊富な経験を持つ逸品館・3号館で代表の清原が自ら行っている。

音決めも設置されている世界水準の機器との比較や組合せで実施するため、完成した製品は代表的なオーディオメーカーの水準を超えるほどの音質に仕上がっている。


※商品画像はイメージです


※商品画像はイメージです

PM15S1 Master
¥ 230,000(税別)

SA15S1 Master1
 ¥ 250,000(税別)

主な仕様

出力
90W x 2(8Ω) 140W x 2(4Ω)
周波数特性

5Hz − 40kHz 

入力インピーダンス
PHONO/MM 47kΩ
LINE       20kΩ
入力端子
RCAアンバランス端子(x4)
出力端子

プリアウト出力(RCAアンバランス端子)

テープループ
録音出力・モニター入力(RCAx2系統)
外形寸法(最大)
440(W)x123(H)x444(D)mm
重量
18kg
アナログ出力
RCA (1系統)
再生周波数範囲

2 − 20kHz  (CD)
2 − 100kHz (SACD)

デジタル出力

同軸:RCA、光:TOS (各1系統)

ヘッドホン出力

0.5W/32Ω (Vol.MAX)

ダイナミックレンジ

100dB以上 (CD)
111dB  (SACD)
外形寸法(最大)
440(W)x123(H)x419(D)mm
重量
13.5kg

音質テスト

試聴は3種類のスピーカーにそれぞれ優秀録音・最新録音・古い録音の3枚のジャズボーカルを組み合わせて行った。

スピーカー

CDソフト

Zingali 1.12
\2,600,000(ペア/税別)

Vienna Acoustics T3G 
\638,000(ペア/税別)

Sonusfaber Minima Vintage 
\450,000(ペア/税別)

Holly Cole Trio
"Don't smoke in bed"
輸入盤 CDP 0777 7 81198 2 1

Norah Jones
 "Come away with me"
輸入盤 7243 5 32088 2 0

Verve COMPACT JAZZ
 "Bille Holiday LIVE"
 輸入盤(1989 West Germany) 841 434-2

リリースが1993年の懐かしい一枚。丁重な録音で楽器もボーカルも自然ないい音で収録されている。成熟した女性の色気と厚みを感じるホリー・コールの声、ウッドベースの低音の再現性を主にチェック。

リリースは2002年。比較的新しい録音のスタンダードなソフトとして選んでいるが、ボーカルや楽器の音が歪むなどコンプレッサーの使い方に問題があり、決して良い録音とは言えない。その標準的な録音のソフトがどのように再現されるか?システムの音質が録音の善し悪しによってどの程度左右されるか?のチェックに使用。

リリースは今回用いたソフトの中で最も古い1989年。録音されたのは1946〜1956年でモノラル音源も混じっている。こういう歴史的名盤、名演奏が「音楽」としてきちんと再生されなければ、いくら音が良くても高級オーディオとしては失格だと私は考えている。マイク構成も単純なので、システムの癖も聞き取りやすい。

Zingali 1.12 \2,600,000(ペア/税別)

Holly Cole Trio "Don't smoke in bed"

BLADELIUS "Syn"+"Tyr"

前後方向への音の広がりが抜群。ボーカルとバックの楽器の位置関係がとても自然だ。

ウッドベースは低域方向に伸びやかだが、ふわっと広がる感じで強引に前に出てくるような音ではない。塊感、強さなどオーディオ的にはやや控えめに感じられるが、アコースティックベースには本来こういう音の出方がふさわしいと思う。ハーモニカも切れ味があって心地よい。ボーカルは艶やかに歌い、セクシーで厚みがある。

BLADELIUSの特徴は、軽やかに大きく広がる空間と美しい色彩感にあるが、特に私が気に入っているのは、「楽器や声の音色」がカラフルに再現されることだ。"Syn"+"Tyr"を組み合わせるとレコード時代に良質なカートリッジ(初期のSPUやEMTなどは抜群、DENON DL-103などの国産カートリッジはそれほどでもなかった)を使ったときだけに出た、あのカラフルな音色がCDからも得られる。

Zingali 1.12との組合せでは、過去に聞いたどんなCDプレーヤーとアンプよりもホリー・コールが暖かい体を持った「いい女」に聞こえる。高価なオーディオセットでもなかなかこんなに「おいしい音」」は出ない。数え切れないほど多くの機器を聞いてきた私がそう感じるのだから、"Syn"+"Tyr"が凄いのは間違いがない。

音の滑らかさや色彩感には文句の付けようがないが、欠点は音の厚みが少なく「軽い」こと。この価格の製品にそこまで望むのは酷だけれど、これでもう少し「音の濃さや厚み感」が感じられれば申し分がない音になる。音調は美しく、立体感も抜群だが粒子がやや希薄。そんな感じだ。

この組み合わせで私が最も気に入ったのは「ピアノの音」だ。ベーゼンドルファーやスタインウェイなどの高級ピアノは「独特の心地よい音色」を持っている。金属と木の響きが混ざり合った、ピアノ独自の美しい音色だ。学校のピアノでは感じられない、色気のある音色を高級なピアノは持っている。しかし、多くのオーディオセットで聞くピアノには「その音色」が感じられない。「響き」が足りないからだ。

ホリーコールの演奏に使われているのはアップライト型のピアノだと思うのだが、それでも"Syn"+"Tyr"で聞くと、あのピアノ独特の美しい音色がふんだんに感じられる。ピアニストの指が鍵盤の上を踊るように走り、音楽が溢れ出してくる。その楽しさが手に取るようにわかる。

ウッドベースも指使いがよくわかる。フレットのない楽器特有の複雑なニュアンスが生々しく再現される。ベース奏者の「左手(右手ではなく)」が奏でるリズム感もきちんと出る。弦を押さえ、ゆるめ、ビブラートをかけ、リリースする瞬間までの音の変化が良く聞こえる。サックスやハーモニカに使われている「タギング」の再現性も見事だ。楽器から音を作り、それを音楽に昇華させる。その一連の一糸乱れぬ見事な流れが克明に再現される。

楽器の音と奏法が音楽的に正しく再現されるのは高級コンポの資質として何より重要だが、"Syn"+"Tyr"は、この価格でありながらそれを高い次元でクリアする。結果、伴奏とボーカルはすばらしくマッチングし音楽が躍動的に楽しく聞ける。CDを丸々一枚聞き終わった時、"Syn"+"Tyr"!素晴らしい演奏を聴かせてくれてありがとう!素直にそんな気持ちになれた。耳の肥えた私をこんな気持ちにさせてくれるオーディオセットは、余り多くはない。

Unison research "Unico CDE"+"Unico 100"

音が出た瞬間!アッと思う。"Syn"+"Tyr"と比べて格段に音の“質感”が高まったからだ。

体を包み込むような豊かな音の広がりは少し小さくなるけれど、音の粒子は細かくなり、細かいディティールが表現されるようになる。音が明るい。部屋の空気が乾いてゆくようなこの感覚は、まるでスウェーデンで感じた空気とイタリアで感じた空気の違いそのままだ。

ピアノの色彩感はきらびやかさを増すが、音色は少し単調になる。ベースは押し出しが強くなるが、前後の立体感がやや薄くなる。ボーカルはエネルギッシュになるが、やや細くなる。帯域が上下に広がった分、中域がやや薄くなった感じがする。ホリー・コールの声は、ややかすれて聞こえる。あきらかに"Syn"+"Tyr"に聴き劣る。こんなはずではない。この一週間、徹底的にこのセットを聞いていたが、こんな印象ではなかったのだ。

CDの出力を確認する。実は、このCDプレーヤーには出力レベルの切り替えがある。レベルを大きくすると、かなり音が大きくなる(出力電圧が高くなる)ので、一部のアンプでは過大入力となり音が歪んでしまうはずだが、もちろん標準のセットではその高出力で問題なく使えるようにセットされている。これは想像だが、出力に使われている真空管の音をよりのびのびとさせるために、フィードバックを少なくできる高出力レベルを搭載しているのではないだろうか?

やはり!出力が標準のままだった。高出力に切り替えて、試聴を最初からやり直す。

前後方向への立体感と音の広がりが増す。ベースの切れ味は良く、低音が後を引かずにビシッと止まる。この低音の制動力はプリメインアンプのレベルを遥かに超えている。この大きな筐体、大型の電源トランスは伊達ではないのだ。

中域の厚みも増して、ホリー・コールの声が「ああ!こんな感じ」になる。良い意味で"Syn"+"Tyr"よりも癖が少なくまともな音だ。逸脱しない範囲の中で安心して音楽を聴ける。ピアノも厚みを増し、右手と左手のバランスが改善する。打鍵感(アタック)がより明確になる。間接音よりも直接音が多く聞こえるようになるが、これがまっとうなバランスだ。 

"Syn"+"Tyr"との聞き比べで興味深いのは、同じソフトで「これは良い!」と思えるナンバー(曲)が明らかに変わることだ。"Syn"+"Tyr"にはしっとりとした曲が、"Unico CDE"+"Unico 100"にはアップテンポな曲が合う。のびのびと元気よく明るい音。地中海の青い海と真っ赤な太陽の激しいコントラスト。マフィアを生んだシチリアの熱い血潮。情熱のエネルギーを感じさせる仕上がりだ。

AIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"

チューンナップ前のSA15S1+PM15S1の組み合わせは、緻密な音だけれど温和しく、感情に触れる部分がやや薄い感じがある。LUXMANを例外として国産のオーディオ製品の多くは、そういう傾向がある。中には価格が高くなればなるほど、なおさら情が薄くなる製品があるから問題は深刻だ。なぜなら音楽の表現力に不満を覚えて上級機に買い換えても「音楽をより熱く感じたい」という要求は、ますます満たされないからだ。また買い換える。それではまるで、渇きが癒されない水を延々飲まされているようなものではないか。疲れ果て、オーディオに背を向ける方が少なくないことを私は残念に思う。情熱的な音を出すコンポは、探せば見つかるのだから。

そういう感情のない音、音楽を聴いて感動しない音に嫌気がさして、自分の好きな音、情が感じられる音を目指しメーカーの協力を得て生み出したのがAIRBOWのチューンナップモデルだ。それがライバルとするのは、今回テストしたようなたっぷりとした情感を持つヨーロッパ製のオーディオである。当然それらとの比較は、出来映えの最終チェックにふさわしい。自信はあるが、今回は私自身気に入っている好敵手中の好敵手だから、胸を借りるつもりで比較テストを行った。

今回のモデルで私が目指しているのは、音をよりよく聞かせるよりも音楽をより「上手に!」聞かせるための性能だ。だから"Syn"+"Tyr"のように生で聞くよりも生々しく感動的にソフトが再現されても驚きはしない。しかし、実際の仕上がりは?前置きはこれくらいにして、音のチェックをしてみる。

"Syn"+"Tyr"との比較では、柔らかさ、色彩感で"Syn"+"Tyr"に分があるのは否めない。"SA15S1/Master"+
"PM15S1/Master"の音はもっとストレートだ。真っ直ぐに逸脱しない範囲で、音楽を深く静かに再現する。癖のない真水のような音。もちろん音を決めている自分自身がテストをするのだから、癖は感じられなくて当然なのだが、それを考慮してもAIRBOWでこのソフトを聞くと"Syn"+"Tyr"にくらべ「静か」な感じがする。決して動きがなく音楽的な感動がないわけではない。ただ“動きの絶対値”が小さく感じられるのだ。

古い話で恐縮だが、2000年にベルトドライブ型CDプレーヤーを発売したとき、ステレオサウンド氏の評論でその音には、「幽玄の世界」が感じられるという評価を受けたが、"SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"の組合せをヨーロッパ製の2機種と比べると、それとまったく同じ印象を持つ。色気がないわけではないが、その色彩は極彩色ではない。色彩感のコントラストを高めるのではなく、中間色の表現をより細やかにして内面を深く表現している感じだ。花にたとえるなら桜や紫陽花の持つ中間色の美しさ、それが"SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"の持ち味だ。淡さの中の色彩を楽しむ。そんなイメージで清楚なホリー・コールが鳴る。

"SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"の良さは、癖のなさだけではない。伴奏と完全に分離したボーカルがスピーカーの中央にびしっとコンパクトに定位する定位感の良さは、他の2機種では感じられなかったものだ。それはベースモデルPM15S1の「セパレート思想」、左右の音の混ざりを極力抑えたチャンネルセパレーションの追求から生み出されるものだ。

高音は空高く伸びてゆくが、決して過剰なものではない。ツィーターが鳴っている感じではなく、あくまでも楽器の高音の美しさとして再現される。中音には、適度な湿りと厚みが感じられる。低音は凄いと感じたUnico 100を越え、テストした3機種の中で最も締まりがあるのではないだろうか?余計な響きが少く、重厚感や超低音への伸びやかさも十分だ。こんなに小さいプリメインアンプから出る低音とは思えないほどだ。Unico 100同様、プリメインアンプでありながら、まるでセパレートアンプのように1.12の大型ウーファーを完全に駆動する感覚がある。今回はステレオモードでテストしているが、Marantzオリジナルモデルの機能を生かして複数のアンプを同期させ、モノラルやBi-Ampなどにグレードアップすると音はもっと良くなるかもしれない。もしそれが事実なら、低価格のセパレートアンプは出番がなくなるだろう。

楽器やボーカルはとても自然で、スピーカーから音が出ているように聞こえない。「録音の癖」が完全に消し去られ、オーディオが鳴っている感じがしない。あくまでも何の隔たりもなく、目の前で楽器が鳴りボーカルが歌っているように聞こえるだけだ。演奏の現場が目の前に出現する。リスナーと演奏を隔てるものは、もはや何もない。

マスターテープに収録された「音楽」が、作り替えられることなく目の前に再現される。言葉では上手く表現できないが、あるべきものがあるべき場所に存在する安心感を覚えながら、音楽を深く静かに、そして十分感動的に楽しむことができた。

Vienna Acoustics T3G 
\638,000(ペア/税別)

Norah Jones
 "Come away with me"

BLADELIUS "Syn"+"Tyr"

Zingali 1.12+Holly Cole Trioの組合せとは、音の出方がガラリと変わる。

前後方向への音の広がりが浅くなり、ボーカルと楽器が横一列になる。色気や色彩感も薄くなる。音像も散漫になり中央の定位が不明瞭でノラ・ジョーンズの口はかなり大きく、あまりおもしろくない音だ。

全体の雰囲気や質感は決して悪くないのだが、なんだか不自然で楽しくない。組み合わせるスピーカーでこんなにも音が変わるのだろうか?それともソフトを変えたせいだろうか?

細かいディティールは、きちんと表現されているが音が散漫で音楽に集中できない。そんな感じになった。直前に聞いたZingali 1.12+Holly Cole Trioの組合せが、あまりにも素晴らしすぎたのか?音質を饒舌に語ることができなくなってしまった。

Unison research "Unico CDE"+"Unico 100"

"Syn"+"Tyr"で感じた音像の散漫さは、"Unico CDE"+"Unico 100"でも変わらない。どうやらシステムやスピーカーのせいではなく、どうもソフトの録音状況の問題らしい。今までは余り気にしていなかったが、Zingali 1.12 + Holly Cole Trioの立体感溢れる音を聞いてしまったために、それが余計に耳についたのだろう。

それでもスピーカーを変えたことで"Syn"+"Tyr"と"Unico CDE"+"Unico 100"の音質(音のクォリティー)に、はっきりとした差がついた。どうやら"Syn"+"Tyr"とZingali 1.12の相性は抜群に良かったらしい。多分、"Syn"+"Tyr"の甘さをZingali 1.12のホーンの切れ味が上手く補えていたのだろう。Vienna Acoustic T3Gとの組合せでは、その甘さが裏目に出て音がややボケてしまったようだ。

この組合せでの"Syn"+"Tyr"との大きな違いは、定位感にある。音の輪郭や楽器のアタックが明確になり、個々の分離や音色の違いがはっきりする。ボーカルの中央定位も改善され、口も小さくなる。

"Syn"+"Tyr"では、音が散漫になってしまい楽しめなかったこのソフトを"Unico CDE"+"Unico 100"で聞くと、最新機材を使って集力されたHiFiの良さが出る。一つ一つのパーツとして磨かれた音の品位が音楽の表現力を高めている。ボトルネック奏法らしきスティールギターの滑らかで連続的な音、パーカッションの鋭い音、オーバーダビングのハーモニーの重なり、それぞれの良い音が音楽を聞く楽しさを引き立てる。

演奏の全体像をスペクタクルに展開することで音楽の良さを引き出した"Syn"+"Tyr"に対し、各々の音をしっかりと描き出すことで音楽の良さを引き出した"Unico CDE"+"Unico 100"。古典的な音と現代的な音。それぞれを絵に描いたような好対照な結果となった。

AIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"

相変わらず口は少々大きいが"Unico CDE"+"Unico 100"よりも定位感は向上し、音像の散漫さはほとんど気にならなくなる。やはりベースモデルの「精度の高さ(チャンネルセパレーションの高さ)」が効いているようだ。

"Unico CDE"+"Unico 100"の勢いの良い演奏に対し、AIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"は演奏を知的に組み立てて聞かせるイメージだ。どこかClassicに通じるような落ち着きと繊細さが感じられ、楽しむと言うよりは鑑賞するという言葉がふさわしいような鳴り方をする。"Unico CDE"+"Unico 100"のような底抜けの明るさやコントラストの強さは感じられない代わりに、中間調の細やかな表現がそれを補う。聴き方、聞かせ方は明確に異なるが、音楽を聞く楽しさは甲乙付けがたい。

今回試聴したソフトはSACDに対応していない"Unico CDE"に合わせてCDを選んだが、SA15S1(Master)はSACDにも対応するから、試しにSACDの同じタイトルのソフトを聞いてみる。高音の色彩感の鮮やかさが少し向上する。高音の伸びやかさも良くなり、天井が高くなる。しかし、反比例して低音の量感がやや薄くなった。SACDでも音調はCDと同じで、マスターテープを聴いているような癖のない印象は変わらない。この程度の違いなら別にCDでもかまわない。決定的と言えるほどの大きな差ではないと感じた。

Sonusfaber Minima Vintage 
\450,000(ペア/税別)

Verve COMPACT JAZZ
 "Bille Holiday LIVE"

BLADELIUS "Syn"+"Tyr"

ビリー・ホリデイの初期の録音を出して聞く。音源はヴァーブ。プリントは、WEST GERMANY。今は手に入らないけれど、音質は確かな一枚だ。

今回組み合わせるMinima Vintageと"Syn"+"Tyr"は、私がベストマッチングと絶賛するお薦めセットだ。だから、やはりといってしまえばそれまでだが、テープヒス、スクラッチノイズ、ボーカル、拍手、そのどれもが素晴らしく暖かく、本当にレコードを聴いているように心地よく、当時のままが現代に蘇るように完璧に再現される。

ビリーホリデイの声や台詞(MC)も実に生々しい。全体のバランスが素晴らしく自然で、音楽としてのまとまりがすごいから、オーディオとしての評価ができなくなってしまう。ただただ、ソフトに聞き惚れる。

暖かい肉体感に満ちあふれた音。最高級のレコードを聴いているようだ。心地よいこのすばらしい音楽の世界にただこの身を委ねていたい。

この音を聞き、この世界に触れてしまうと最近の音楽が聴けなくなる。大人の世界、完成されたお洒落な世界、これ以上の素晴らしい世界がこの世にあるのだろうか?3号館に設置しているStress Less Chair Ekornesに抱かれながら、何一つ文句なく聞き惚れてしまった。素晴らしい桃源郷に誘われるこの音を、私はこれから先オーディオを続けても決して忘れることはないだろう。

Unison research "Unico CDE"+"Unico 100"

音が出た瞬間、良い意味で裏切られた。あれほど素晴らしいと感じた"Syn"+"Tyr"に比類する音が出るとは考えていなかったからだ。"Syn"+"Tyr"で聞くこのCDはしっとりとして、あたかも小さなナイトクラブのお洒落なプライベート・ライブを聞いているようだ。ビリー・ホリデイが私だけに歌いかけてくる。ビリー・ホリデイの独り占めが実現する。それに対し同じソフトが、"Unico CDE"+"Unico 100"ではもう少し大きなホールのステージを見ているような印象になる。

細かい音はこちらの方が多く聞こえるが、少しHiFi調にも感じる。よけいな音まで聞こえる?と言えばいいのだろうか?"Syn"+"Tyr"で感じた、良い意味でのソフトフォーカス感や、セピアなイメージが消えて、最新の整ったライブを聴いているようなイメージに変化する。音は間違いなく"Unico CDE"+"Unico 100"の方がよいのだが、"Syn"+
"Tyr"が醸し出す、あの得も言われぬ独特の雰囲気を知った後では、なんだか少し物足りない。

Minima Vintageと"Syn"+"Tyr"の組合せは本当に魅力的で麻薬的な音が出る。"Unico CDE"+"Unico 100"の音調は、すでに他の組合せで書いたのと変わらない。明るくドライで、明快な音だ。イタリア的、燦々と降り注ぐ太陽の輝きのような、躍動的でコントラストの強い音。両者の音はハッキリと異なるが、どちらの組合せも「演奏の場が思い浮かぶ」。だから、オーディオとしては最高級に分類して良いと思う。

AIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"

音質は素直で美しい。ボーカルはコンパクトに浮かび、伴奏との位置関係や距離感も正確に出る。音楽的にも端正にまとまっているが、なぜか場の「空気感」が感じられない。目の前で演奏が行われている感覚は強いのだが、聴衆と同じ場所でライブを聴いている感覚が薄い。一緒になって聴くと言うよりは、観察する、鑑賞するというイメージがある。"Syn"+"Tyr"のように古い演奏が鮮やかに蘇らない。やはり古い演奏が古く聞こえるのだ。

理由は分かっている。ノラ・ジョーンズでは効果のあった「セパレート思想」がこういうシンプルなマイク構成で収録された古いディスク、特にモノラルでは逆効果になるからだ。つまり、左右の音が完全に分離してしまうために、左右のスピーカーの音がまとまらないのだ。こんな時にはレコードになぞらえて「チャンネルセパレーション」を落とすのが効果的だ。つまり、右のチャンネルの音を左に、左のチェンネルの音を右に、少しリーク(漏らして)やればよいのだ。そうすることで、あたかもセンタースピーカーを使ったように中央定位と奥行き、演奏の実在感を向上できるのだ。

AIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"には、それを実現できる良い方法がある。PM6001/LIVEやPM8001/Studioにも搭載されている“「TONE」回路を迂回するスイッチをOFFにして”トーン・コントロール回路に信号を流すのだ。こうすると、左右の音が少し混じる(チャンネルセパレーションが低下する)のだ。この方法はMarantz製品だけではなく、トーン・コントロール回路を迂回するスイッチ(DIRECT、PUREなどのスイッチ)が装備されている多くのアンプで同様に使える。「雰囲気が足りない」、「場の気配がもっと欲しい」と思われたなら、「あえて音の純度を下げる方法」をお試しになって損はないと思う。

実は冒頭に書いた「国産アンプは雰囲気が薄い」というのは、こういう「音を良くすることだけしか考えていない開発や音決め」に問題があるのだ。日本のオーディオメーカーの技術者(ばかりではないが)には、音だけではなく「音楽」の聞き方、再現方法をもっと積極的に学んで欲しいと思う。数字やデータばかりにとらわれると「音楽」が分からなくなる。「音楽性」という言葉は、まやかしではない。それを感じとれる「見識」が身につけば自ずと理解ができる。文字が読めればすなわち小説が理解できるのではないのと同じように、音楽も音が聞こえるからといって音楽性が理解できるわけではない。それを理解するには、人間としての豊富な「経験」や「知識」が必要とされるのだから。すでに他界された「五味康祐氏」を例にあげるなら、彼は補聴器を使わなければならないほどの難聴でありながら、メーカーの技術者が聞き分けられなかった些細な音の違いをハッキリと聞き分けていた。音は耳で聞くのではない。心で聞くものなのだ。

話を戻そう。スイッチを切り替え、信号をトーン・コントロール回路に流してCDを最初から聞き直す。効果は覿面に現れる。中央部分の定位が柔らかくなり、前後方向への奥行きがグンと深くなる。ビリー・ホリデイの声にも艶やかさと厚みが出て、肉声を聴いているような雰囲気が出てくる。静かすぎてストイックに聞こえ、やや緊張感を感じた演奏がリラックスして聴ける方向へと大きく変化する。ステージ上と聴衆との一体感も出て、スタジオのセッションが生き生きしたライブに変わる。それと引き替えに明瞭感や切れ味はやや後退するが、それは仕方のないトレードだ。

トーン・コントロール回路に信号を流し意図的な信号の劣化を引き起こすことで、雰囲気の濃さは大いに改善した。しかし、それでも"Syn"+"Tyr"のような、濃い魅力は出ない。少し残念に感じながら、再びスイッチを切り替えトーン・コントロール回路を切り離す。するとどうだろう?音の質がグンと向上するのは想像通りだが、なぜか雰囲気の濃さも十分に再現されるではないか!

音が元に戻っただけなのに、最初に聞いたときと印象がかなり違う。直前にどんな音を聞いていたか?で音の印象が変わる(耳は聞こえてくる音に合わせてチューニングされるため)事は知っているが、これほどまでに大きく変わるのは始めてだった。この音なら、悪くないどころか傾向は違っても"Syn"+"Tyr"と充分に互するだろう。

総合評価

今回テストした3機種の印象を簡単にまとめよう。

"Syn"+"Tyr"は、ソフトをあたかも生演奏のように聞かせる「音楽性」に長けている。スピーカーとの相性が良ければ、オーディオが鳴っているという感じが完全に消え心地よく音楽に浸れるだろう。職業として常に音を聞き分け、時には音楽を分析的に聴かなければならない私にとって、この"Syn"+"Tyr"の性格は、すごく魅力的だ。良い意味で仕事を忘れて音楽に没頭できるからだ。

こんな風に古典的な音を出すオーディオ機器は、最近非常に少なくなっている。中身はコンピューターのような最新の電子回路が満載されているにもかかわらず、ビンテッジと呼んで差し支えないほどの素晴らしい音楽表現能力が与えられている"Syn"+"Tyr"には、設計者の天才を感じる。

ビンテッジ品に互するといっても"Syn"+"Tyr"は、最新製品らしく音の決めも細やかでレンジも広く、価格もそこそこで仕上げも良い。そして程度の良い中古を探し回らなくても、いつでも手に入る。これほどすべてが兼ねそろったセットは、早々お目にかかれるものではないと思う。聞けば聞くほど味わい深いし、比べれば比べるほどその魅力の大きさに気付かされる。良いセットだ!

"Unico CDE"+"Unico 100"は、"Syn"+"Tyr"よりも格段に“いい音”を聞かせるのが最大の魅力だ。その音は、録音時のマイクの位置や収録されたスタジオの状況まで感じさせるほど素晴らしいが、同時にソフトの粗も出す。

"Syn"+"Tyr"では、ソフトを聞き終わった後「あのソフトは良かったな〜」と思うのだが、"Unico CDE"+"Unico 100"では、「いい音を聞いた」という印象が残る。それが、それぞれの製品の音作りの違いを端的に現している。

質実剛健一本槍で、やや無味乾燥的なアンプが多い中、"Unico CDE"+"Unico 100"は真空管の持つほのかな甘さをトランジスターの特性の良さに上手くマッチングさせ、程よいバランスにまとめられている。そして、その音からはUnison Researchのオーディオメーカーとしての実力の高さと、明確な作りわけの意志が感じとれる。

"Syn"+"Tyr"を模さなくとも、彼らにはそれを越える真空管アンプSinfoniaがある。"Syn"+"Tyr"を越える甘美な世界をSinfoniaは実現する。だから、そのコピーをハイブリッドで作る必要はないのだ。P40やP70もそうであるように、Unison Researchが作る製品には、異なる個性が与えられている。そして、それぞれはまったく矛盾することなく、見事に作り分けられている。この素晴らしい技を成し遂げるオーディオ設計の達人が、Unison Researchには存在するはずだ。

"Unico CDE"+"Unico 100"は、単調な音のトランジスターアンプに飽きてはいるが、真空管はメンテナンスが面倒だから億劫で使いたくない。あるいは、曲調が変わって聞こえるほどの大きな脚色は好まないが、真空管独特のふわっとしたステージ感や弦楽器の艶やかさを、アンプでスピーカーの持ち味を変えることなく引き出したい。などと考えるオーディオファンに最適のアンプだ。トランジスターアンプと同等の安定性と使いやすさに加え、適度の真空管らしい暖かさがその願いを叶えてくれるからだ。また、すでにUnico CDP / Unico P、あるいはUnico Secondの音をご存じなら、"Unico CDE"+"Unico 100"はその延長線上(正常グレードアップモデル)にあると考えれば、間違いがない。

AIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"は、あえていうなら「水」だと思う。"Syn"+"Tyr"のような主張はないし、濃い味付けもない。かといって"Unico CDE"+"Unico 100"ほど、ストレートな現代的サウンドでもない。では無個性なのか?というとそれは違う。何も足さず、なにも引かない。酒や料理の「味」を引き出す脇役の「水」の役目をするようなコンポ。それがAIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"なのだ。

どういう事か説明しよう。水割りの「水」、お茶の「水」、料理の「水」はそれ自体に「癖」があっては困る。しかし、それらの味わいを引き出すためには、「美味しい水」でなければならない。そういう「音楽を支える黒子に徹する」サウンドに仕上がっているのがAIRBOW "SA15S1/Master"+"PM15S1/Master"なのだ。だから、どんなソフトを鳴らしても、どんなスピーカーと組み合わせても、一定の範囲の中で見事に音楽を鳴らす。

私はマイクで収録された音は、ある意味では死んでいると考えている。音の輪郭を強調し、聞こえないほどの小さな音まで拡大して聞かせてしまうマイクの個性が音を変え、音楽性を奪うからだ。だから「ゲイン・オブ・ワイヤー」と呼ばれるような、歪みを排除した音(いわゆる多くのデジタルアンプ)では、そこに再び命を与えることはできないと思う。良い再生機器とは、マイクやマスタリングの癖を消さなければならない。加えられた改変のみを排除し、生音を再現する。決して「ストレート一本槍」のつまらない音ではない。もちろん、誤った意味での原音忠実再生とも違っている。「収録された音楽を脚色しない音」を実現できたこのモデルを「Master」と名付けた。

毎日聞き続けても決して飽きることなく、どんなコンディションの時に聞いても、安心して音楽と付き合える音。国産製品らしく、海外製品に比べると価格も安いし、手堅い作りのMarantz製品をベースに安定性や寿命を延ばす方向での改良が加えられているから、故障もほとんど起きない。もし、万一壊れたときの修理も早い。コンポを何度も買い換えたくない、一つのセットと長く付き合いたいとお考えなら、この製品をお薦めする。

今回は、それぞれのメーカーの個性を明確にするためCDプレーヤーとアンプはセットで評価した。しかし、それぞれにはやはり優劣がある。アンプとして優秀だと思うのは、Unico 100だ。物量を投入し真空管を使った良さが音に出る。セパレートアンプのようにスピーカーの影響を受けず、かなり大型のスピーカーや低インピーダンスのスピーカーも楽々鳴らす。それは、Sinfoniaのような真空管アンプには望めないものだ。

PM15S1/Masterもなかなかの実力派だ。スピーカーを駆動する能力は、Unico 100に迫るものを持っている。ベースにしたMarantz PM15S1の持ち味を損ねることなく、そこに柔らかさや立体感、情熱というエッセンスが加えられた音楽性はTyrのように個性的ではないが、音楽の息吹を充分に感じさせてくれるだろう。

Tyrは、組み合わせるスピーカーを選ぶ。その性格はトランジスターでありながら、まるで真空管のようだ。相性が良ければ、信じられないほどの音を聞かせてくれる。

対してCDプレーヤーとして優秀だと感じるのは、SynとSA15S1/Masterだ。音の細やかさという点で優れるこの2機種は、CDからでもSACDに匹敵するほどの細やかでワイドレンジな音を出す。また空気感、立体感、色彩感も非常に良く再現される。Synの音はTyr同様に個性的で、まるで良質なアナログレコードのような音がCDから得られるのには驚いた。プレーヤーだから、Tyrのように組合せで音が変わらないのも大きな美点だ。

SA15S1/Masterの音はSynよりも細やかだ。AIRBOWの生産完了モデルにVRDS-15/Specialがある。その音もきりりと明瞭で、まるで透明なガラス越しに演奏を見ているかのように美しく細やかだった。SA15S1/Masterの音の細やかさはそれに匹敵する。その上、デジタルという言葉の領域を遥かに越える、滑らかで生々しい音が出る。もはやリスナーと演奏者を隔てるものは何もない。そこには、脚色されない演奏だけが存在する。

Unico CDEは、この2機種と比べると音域がやや狭く立体感にも乏しい感じがする。真空管を4本使った凝ったアナログ回路が裏目に出たのだろうか?下位機種のUnico CDP や Unico CDのほうがより開放的で柔らかな音が聞こえ、ハイブリッドプレーヤーの良さがより強く感じられるように思う。もちろん、音の細やかさや明瞭度はUnico CDEが優れているし、出力レベルをHiにすれば、その問題は解決するのだが、それが使えるアンプはそう多くないだろう。やはりUnison Researchが得意なのは、プレーヤーよりもアンプだということなのかも知れないが、Unico 100と組み合わせて使う方が無難なようだ。

2008年8月 清原 裕介

その他の UNISON RESEARCH 音質テスト

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