Integrated Amplifire
MUSICAL FIDELITY NEW A3.2 (イギリス製・CDプレーヤー)
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<特長> ●テキスト機能搭載 ●24bit-96kHzアップサンプリング/真のアップサンプリングの採用で可聴帯域ではどんなエラーも排除 ●カスタムメイドのアルミダイキャスト前面パネルと精密に研磨された真鍮パーツ ●優れたコストパフォーマンス 定価:\199,800【税別】→販売完了 |
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その他の音質テストはこちらからご覧頂けます。 ・ A3.2CD 、A3.2プリメイン ・ A5 Series ・ A5.5プリメイン ・ A1 Pro ・ V-CAN Series |
A3.2(プリメインアンプ)のテストに引き続いて、A3.2のCDプレーヤーをテストしました。 接続機器は、A3.2のテストと同じで、CDプレーヤーだけをAIRBOW CH7700Super2からA3.2に変更し、ソフトも同じ「カーペンターズ」を試聴に使用。 CDを交換して一聴した瞬間に「やられた!」と笑みがこぼれてきた。なぜなら、AIRBOWの最廉価モデルのCH7700Super2を凌駕するCDプレーヤーは非常に少なく、ほとんどの製品は最初の比較で惨敗し、レポートを書く意欲をなくさせるからだ。 CH7700Super2との比較で説明すると、まず「低音の量感」が増し、音楽空間の実在感が向上する。中高域の透明度や繊細さも「一枚上手」だし音の輪郭もよりクリアに出る。音楽の表現も「はきはき」と非常にわかりやすい。もちろん、わかりやすい=軽薄では決してなく、音楽の持つ深さや複雑さもきちんと表現する。 AIRBOWの上級機種CD−1と比較するとさすがに敵わないが、それでもこの「繊細さ」は非常にレベルが高い。音楽の表現にしても、DACの形式が違うから(CD−1はマルチビット、A3.2はワンビット)直接的な比較は出来ないが、従来のワンビットCDプレーヤーにありがちだった「低音不足」・「低音の膨らみ」は全くないし、「中域の希薄さ」など微塵も感じられない。あえてCD−1との差を見いだすとすれば、やはり「音楽表現の深さ」・「陰影の彫りの深さ」・「音色の色彩の濃さ」に埋められない差が感じられるが、それはよほど耳が肥えているか、直接比較で聞き比べなければ普通の人にはわからないだろう。 A3.2がCD−1を越えられないのは、マルチビットとワンビットの違いやインバーター電源・ベルトドライブメカニズムなど、コストや方式に圧倒的な物量差があるためだから仕方がないが、20万円クラスのCDプレーヤーとしては非常に「音」がよく「音の完成度」が高いことは紛れもない事実だし、再三再四CD−1と比較してしまったのが、A3.2を「ライバル」と認めている確かな証拠だ。 良くできている。とても良くできたCDプレーヤーだ。後一歩「彫りの深さ」が加われば鬼に金棒だが、この価格ではそこまでは望めなくてもしようがない。とにかく、AIRBOW CH7700Super2を上回ったと言うことだけでも、相当な実力があると言うことだ。 問題点は、「筐体の工作精度」。CD引き出しトレーとフロントパネルが水平に付いていなかったり、隙間が少し違っていたりする。これは貸出試聴機だけなのかもしれないが、REGAのほうが筐体の作り込みは一枚以上上手だ。音はよいけど外観はチープという、悪しき英国製品の伝統を良い意味でも、悪い意味でも引き継いでしまっているのが残念だ。 う〜ん。やはりミュージカル・フィディリティーは侮れない。もし機会があれば、ミュージカル・フィディリティー主宰者のアントニー・マイケルソンに、私の手がけたAIRBOWのCDプレーヤーを評価して欲しいものだ。まるで、気にも留めないか、あるいは「はっ!」とするのか。彼がいったいどんな顔をするのか見てみたい気がする。少なくとも私が聴く限り、知る限りでは「常識的な価格の範囲内」で「唯一のAIRBOW製品のライバル」たり得る、資格を持っていると感じる。それとも、私も彼のように自信過剰になってきたのだろうか・・・。 とにかく、20万円程度の価格帯でCDプレーヤーをお探しなら、この製品を候補に挙げておいて絶対に損はないし、もしこのレポートを読んだだけで他機種を検討せずに[A3.2]を購入されたとしても、それも決して損な買い物ではないことだけは紛れもない事実だ。珍しく「本物の音楽」を聴かせてくれる製品に出会って、それが好きだったMUSICAL−FIDELITY社の製品だったと言うことをとても嬉しく感じることが出来たひとときだった。 2004年 5月30日 清原 裕介 |