V-CANは本物の最先端のヘッドホンアンプです。多くの高品質ヘッドホンの入力インピーダンスは、約30オームです。しかし、多くのヘッドホンアンプの出力インピーダンスは、50〜100オームに過ぎません。出力インピーダンスが高いアンプでは、入力インピーダンス30オームのヘッドホンを適切にドライブできません。ヘッドホンアンプのインピーダンスが低くないと、再生される音が歪みと非線形の周波数特性で着色されてしまいます。
これに対し、V-CANの出力インピーダンスは5オームの超低インピーダンスです。V-CANならどんなに低いインピーダンスを持つヘッドホンでも完全にドライブ出来ます。V-CANを使えば、低歪み、フラットな周波数特性、完全なリニアリティが実現します。
【V-CAN ヘッドフォンアンプ標準仕様】
■パワー:0.25W/チャンネル
■出力端子:2(標準、ミニステレオフォンジャック/各1)
■アウトプットインピーダンス:5Ω
■トータルハーモニックディストーション:<0.005%
20Hz-20kHz
■S/N比:>108dB
■インプットインピーダンス:25kΩ
■周波数帯域:+0,-1dB
20Hz-80kHz
■電源条件:12VDC 500mA
■接続:ラインレベルインプット:1ペアRCAソケット
/ラインレベルアウトプット:1ペアRCAソケット
/ヘッドフォンアウトプット:3.5mm/6.35mm
ステレオジャックソケット/ パワーインプット: 1.3mm
DCパワーソケット
■サイズ:170mm
x 95mm x 40mm■重量:350g
■付属品:DCパワーサプライ 12V
500mV(日本仕様本格派トランス式ACアダプターが付属いたします。)
◆入力
入力は1系統です。パススルー(通過)用の端子が一つ付いています。
◆出力
出力は、標準ステレオフォンジャック、ミニステレオフォンジャック、各1系統が装備されます。
◆回路
入力段(電圧増幅回路)は、オペアンプで構成されますが、出力段(電流増幅回路)には、専用のトランジスターが奢られています。出力に大型のトランジスターを使うことで、5オームという低い出力インピーダンスが実現しています。
◆音質
CDプレーヤー
AIRBOW CD5003/LC3
ヘッドホン
SENNHEISER HD25-1
2
AIRBOW
CD5003/LC3
V-CANの音を聞く前に、まずAIRBOW
CD5003/LC3本体に装備されるヘッドホン出力の音を聞いたが、AIRBOWらしく良い音だ。中高音が細やかで滑らかで低域にも力がある。クラスのCDプレーヤーでありがちな、"固くて平面的で表情に乏しい音"とは、まったく異なる。中音に厚みや艶があり、広がり感じられる。不自然さや圧迫感がないから、長時間聞いていても疲れないし、楽しさが持続する。パーソナルにヘッドホンで音楽を楽しみたいとお考えなら、AIRBOW
CD5003/LC3だけで十分だと思える音質でHD25-1 2が鳴った。
AIRBOW CD5003/LC3+V-CAN
本体のヘッドホン出力の音質があまりにも素晴らしかったので、正直V-CANで音がそれ以上良くなるとはあまり期待していなかった。CD5003/LC3のヘッドホン出力の音質は、明らかに数万円価格帯のヘッドホンアンプよりも優れていると感じられたからだ。
接続にAIRBOW
MSU-095WEを使い、期待と不安を感じながら、V-CANを繋いで音を聞く。
出て来た音を聞いた瞬間、頬が緩んだ。
それは紛れもなく、ミュージカル・フィディリティーのデビュー作品“純A級プリメインアンプA1”の音そのものだったからだ。
中音は暖かく厚みがある。高音は柔らかく滑らか。低音はやや膨らむが、その微妙な"遅れ"が"タメ"になって、音楽により強い抑揚を与えている。一言で言うなら「音楽的」。クラリネット奏者であるMusical
Fidelity
代表 アントニー・マイケルソンの好みなのだろう。「母音にウェイトを置いたような柔らかい音」は、母親が歌う子守歌のように心を暖かく和ませる。
こんな「高度に調律されたサウンド」が、こんな低価格のヘッドホンアンプで聞けるなんて!オーディオは高くなるだけじゃなく、安くても進歩している!!結局、音作りは価格でなく「志」の問題なのだ!!!
i-Pod mini+V-CAN
私は基本的に仕事以外でほとんどオーディオを聞かない。たまにカーステレオで聞く程度で、シリコンオーディオはまったく聞かない。そのために持っているi-Podはかなり以前に"テスト用"に購入したまま買い換えていない。
ちょっとテストには場違いかも知れないが、とりあえず“ありもの”の"i-Pod
mini"のヘッドホン出力にV-CANを繋いでその“ある、なし”を聞き比べてみた。
はっきり言って、聞き比べるまでもない。i-Podの出力に繋いだヘッドホンから出てくる音は、固く平面的で「聞くに堪えない」。表情が平坦で、ただキンキンした金属的な音。街でよく見かける、ヘッドホンで音楽を聞いている人達は、こんなにも酷い音で音楽を聞いているのだろうか?
今度は、相当期待しながらV-CANを繋ぐ。
出てくる音はどうだろう?もちろん、先ほどのCD5003/LC3やそれに繋いだV-CANから出る音よりも、音質は劣るが、ヘッドホンアンプだけで「こんなに音が良くなるの?」と俄には信じられないほど音が良くなった。
仮にその差を映像に例えるなら、V-CANの“ある、なし”はアナログ地上波とハイビジョン映像くらい違っている。
音の細やかさは一気に向上し、広がりや厚み、柔らかさが加わって「聞くに堪えない音」が「このまま聞いていたい音」に変化する。
すべてのi-Podをテストしていないので断言は出来ないが、i-Podをすこしでも良い音で聞こうとするなら「ヘッドホンアンプ」は、絶対に必要だ。ヘッドホンにお金をかける前に、ヘッドホンアンプを買うべきだと薦めたい。
『総合評価』
多くのポータブルヘッドホンプレーヤーには、プアなアンプしか搭載されていない。それがどれくらいお粗末か?V-CANを使うと実感できる。いくら高価なヘッドホンを購入しても、ポータブル機器との組合せでは「ヘッドホンは鳴らない」だろう。
しかし、V-CANを繋ぐと世界は激変する。それは、V-CANの出力インピーダンスが5オームと充分に低いことと関係がある。電気的には、ヘッドホンの入力インピーダンスよりもヘッドホンアンプの出力インピーダンスが低いことが望ましい。ヘッドホンアンプの出力インピーダンスが低いとヘッドホンをドライブする力が強くなり、入力インピーダンスの低い高音質ヘッドホンでもきちんとした低音が出せるようになるからだ。市販されている高音質ヘッドホンでインピーダンスが最も低いモデルでも10オーム程度だから、V-CANでドライブできないヘッドホンはない。
ご自宅でi-Podを聞かれるなら高価なヘッドホンを購入する前にV-CANを試して欲しい。同じヘッドホン、同じi-Podで聞いているとは信じられないほどの素晴らしい音で、音楽が聴けるはずだ。
V-CANで「いつも聞いている音楽に惚れ直す」、そんな経験を味わって欲しいと思う。なぜなら、その「感動」がオーディオへの入り口だからだ。この価格でしっかりと「高級オーディオのなんたるか?」を感じさせてくれる音質を実現した、V-CANは想像以上の凄い実力を持っていた。