ミュージカル フィディリティー m6cd m6i m3cd m3i Bladelius SYN TYR MUSICAL FIDELITY 評価 比較 音質テスト

ミュージカル フィディリティー MUSICAL FIDELITY
M6i / M6CD 音質テスト

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A3.2CD  、A3.2プリメイン  ・ A5 Series ・ A5.5プリメイン ・ A1 Pro ・ V-CAN Series

M6 CD M6 AMP / M3 CD M3 AMP  ・  M1 DAC

今なお「名器」と呼ばれる純A級20Wの薄型プリメインアンプ、“A1”の小型で飾りのないボディーからは考えられないほど豊かな音楽性を持つ音質は、日本に多くのMFファンを生み出しました。逸品館もA1の時代からその音質に惚れ込んで拡販を続けています。

 

そのMFから発売された最新モデル、プリメインアンプの「Mi6」とCDプレーヤーの「M6CD」は、これまでのツートン・カラーの外観を脱ぎ捨てて、ブラック一色の精悍なデザインに一新されました。回路も新世代に進化しています。新しい「M6」は、一体どんな音色で音楽を聴かせてくれるのでしょうか?期待されるその音質を探るため、最近のMF製品で私が最も気に入った前作プリメインアンプ「A5.5」との簡単な比較を皮切りに、MFに勝とも劣らない色っぽい音を私も大変気に入っている「BLADELIUS SYN/TYR」、私自身が音を決めた「AIRBOW S2/Master」を一堂に集め3種類のスピーカーと3種類のソフトを使って徹底的に聞き比べてみました。さらにM6の兄弟分として発売が予定されているM3も聴くことができましたので、私が感じたそれぞれの特徴を順にリポートして行きたいと思います。

M6i (プリメインアンプ) ¥458,000(税別)

M6CD (CDプレーヤー) ¥485,000(税別)

USB入力

1系統

RCAライン入力

4系統(CD,SACD,TUNER,TAPE)

XLRライン入力

1系統

プリアウト

1系統

テープ出力

1系統

最大出力

200W

寸法(mm)

440×125×400(W,H,D)

質量

16.6Kg

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方式

24Bit Δ-Σ方式 デュアルディファレンシャル

アップサンプリング

192KHz/24bit

アナログ出力

2系統 (RCA/XLR 各1系統)

デジタル出力

2系統(TOS光/RCA同軸 各1系統)

デジタル入力

2系統(TOS光/RCA同軸 各1系統)

USB入力

1系統

寸法(mm)

440×125×385(W,H,D)

質量

11.2Kg

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M3i (プリメインアンプ) ¥188,000(税別)
生産完了

M3CD (CDプレーヤー) ¥188,000(税別)

生産完了

RCAライン入力

6系統

プリアウト

1系統

テープ出力

1系統

最大出力

76W

寸法(mm)

440×100×400(W,H,D)

質量

9.2Kg

方式

24Bit Δ-Σ方式 デュアルディファレンシャル

アップサンプリング

192KHz/24bit

アナログ出力

1系統 (RCA)

デジタル出力

2系統(TOS光/RCA同軸 各1系統)

寸法(mm)

440×100×375(W,H,D)

質量

9.2Kg

Tyr (プリメインアンプ) ¥420,000(税別)

生産完了

Syn (CD/SACDプレーヤー) ¥420,000(税別)

生産完了



RCAライン入力

3系統(CD,TUNER,TAPE)

XLRライン入力

1系統

プリアウト

1系統

テープ出力

1系統

最大出力

100W(4オーム)

寸法(mm)

430×107×435(W,H,D)

質量

17.5Kg

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XLRアナログ出力

1系統

RCAアナログ出力

2系統 (レベルHi/Lo 各1系統)

デジタル出力

2系統(TOS光/RCA同軸 各1系統)

チャンネルセパレーション

110dB

S/N比

112dB

寸法(mm)

430×107×435(W,H,D)

質量

7Kg

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PM15S2/Master (プリメインアンプ)
¥250,000(税込)

SA15S2/Master (CD/SACDプレーヤー)
¥250,000(税込)

RCAライン入力

5系統(CD、LINEx2,RECORDERx2)

ダイレクト入力

1系統(RCA)

プリアウト

1系統

テープ出力

2系統

最大出力

90W(8Ω) ・ 140W(4オーム)

寸法(mm)

440×123×444(W,H,D)

質量

18.0Kg

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方式

1Bit DSD / 16bit リニアPCM

アナログ出力

1系統 (RCA)

デジタル出力

2系統(TOS光/RCA同軸 各1系統)

サンプリング周波数

CD/44.1kHz 、 SACD/2.8244MHz

再生ディスク

CD/SACD(Stereo)

寸法(mm)

440×123×419(W,H,D)

質量

13.5Kg

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A5.5 Mi6 比較試聴テスト

試聴の始めに前モデルA5.5プリメインと新型のMi6プリメインの音質を比較しました。

CDプレーヤー
AIRBOWマルチプレーヤーUX-1 Supreme emotion AIRBOW UX1SE/LTD

スピーカー
 Vienna Acoustics Beethoven Concert Grand (T3G)

Dj kaori's J-MIX 3

UMCK-1329

Holly Cole Trio

Don't Smoke in Bed

CDP 0777070811980201

Pepe Romero

Concierto De Aranjues

PHILIPS 438 016-2

 

Musical Fidelity A5.5

低音が太く力強い。中域は厚みがあり、ボーカルは肉厚で魅力的な音で鳴る。高音は鋭すぎず、かといって詰まっているわけでもない。透明な空間に倍音が吸い込まれて消えて行くような心地よい高音が鳴る。明るく元気なA5.5で音楽を聴いていると自然に体が動き出す。楽しく元気だけれど柔らかく厚みのある音。一般的に純A級の音と評される暖かく厚みがあって滑らかな「A級らしい音」がA5.5からは出る。

音の細やかさ空気感の豊富さは、このクラスのアンプの水準を遥かに超える。有機的に広がる澄みきった音場空間に立体的にステージが展開する。ピアノの音にはグランドピアノらしい重量感と厚みが感じられ、ボーカルは肉声以上に表情が豊かに感じられる。ベースは木質的に美しく響き、シンバルは適度な鋭さで見事なアクセントを演じてくれる。楽器の音量の変化と空間のスケールの変化が時間軸上で見事にマッチし刻々と姿を変える。まるで美しいモニュメントのように演奏が繰り広げられる様は、唯一無二と言い切って良いほどの素晴らしさだ。
T3GとA5.5のマッチングは、想像を絶するほど素晴らしい!

弦の柔らかさと鮮やかさが見事に両立する。ベースラインの音の厚みや圧力感、中域の表情の豊かさ、高域の透明な広がり・・・、最高のポジションで生演奏を聴いているように自然な音で交響曲が鳴った。

 Musical Fidelity Mi6

低音の押し出し(駆動力)は、セパレートアンプ並みの低音が出るA5.5に負けていない。ウーファーユニットの制動能力はMi6がA5.5を凌ぎ、ユニットがすぐに止まるり無駄な響きが少ない。ユーファーユニットの反応は明らかに早く感じるのだが、響きが少ない分低音がややさっぱりとする。中音は少し硬めだ。
高音は鋭く、切れ味が良いがやはり少し硬めで、表情もA5.5より少し単調に感じられる。明るさや元気さは相変わらずでリズミカルに楽しく音楽が鳴るのはMFの一番の美点だが、Mi6はA5.5のような純A級を感じさせる音ではない。A5.5よりも輪郭がクッキリして響きのさっぱりした、一般的に想像されるAB級の音が出る。

Mi6は、膨らみやすいT3Gの低音を見事に引き締める。ただ量感は十分なのだが、A5.5よりも響きの余韻が少ない分厚みがやや少なく感じる。ボーカルもA5.5よりは少し単調に感じられるのだが、少し客観的でオフ・フォーカス的に感じるMi6のボーカルの表現も決して悪くない。ピアノは厚みがやや薄く感じられるが、音色の変化や細やかな表情はきちんと出る。高域は、A5.5に比べると少し薄いベールがかてクリーミーに感じられた。

ギターの音色が鮮やかで美しい。主旋律と伴奏部のパートが空間で綺麗に分離し、前後に広く展開する。ピアニシモからフォルテシモへの音量と空間サイズの変化がリニアで心地よい。良い意味で抑えめで癖のない音調ですべての楽音が鳴る。
純A級らしい独特の世界観でソフトをグイグイ鳴らすA5.5に比べ、Mi6は癖がない。それでややさっぱりした感じを受けたのだが、このソフトではその無個性さがとても良い方向に出る。流麗で透明、自然なサウンドでアランフェスファンタジーが鳴った。

M6 Series、Syn+Tyl、S2/Master
×
Vienna Acoustics T3G、Focal 1028BE、Sonus Faber Minima Vintage

スクランブル 比較試聴テスト

 + 

CDプレーヤーをAIRBOW UX1SE/LTDからM6CDへとグレードを大きく落としたにもかかわらず、出音に劇的な変化が感じられない。それどころか高音の切れ味、楽器の音色は一層鮮やかに感じられる。ボーカルにも説得力が出て来た。リズムも良く弾むようになり、CDプレーヤーとの相性は明らかにM6CDがUX1SE/LTDよりも良い。純正のセットの良さが十二分にく発揮された楽しい音でJ-POPが聴けた。


低音の量感はM6/SETよりもやや少なく感じるが、前に聴いたA5.5のように響きがリッチなので低音感としてはほとんど差が感じられない。伴奏楽器の音色はM6/SETよりも鮮やかで、その点でもA5.5に近い。ただしドラムの明瞭度、反応の早さはM6/SETがSyn/Tyrを上回る。低音のパワー感や速度感でもM6/SETがSYN/TRLを上回る。だがボーカルの柔らかさと表情の豊かさでは、Syn/TyrがM6/SETを超える。
全体的な印象は?好みの範疇ではないかと思う。J-POPを聴く限り個人的にも剛のM6/SET、柔のSyn/Tyrのどちらも魅力的で甲乙付けがたく感じた。


低音の量感はM6/SETよりも少し少なく、Syn/Tyrよりは少し多い。ウファーユニットの反応速度もちょうど中間に位置する。それらと比べS2/Masterが優れているのは、高域の切れ味や鮮やかさだ。そのためシンセサイザー・ピアノの音は最も鮮やかだ。輪郭もしっかりと聞こえ、それぞれの音の分離感も最も優れているが、音のエッジにほんの少し硬さを感じる。
低音や中高音、あるいは特定の楽器にスポットを当ててどこかをクローズアップさせるような鳴り方をせず、すべての音を平等に鳴らす。AIRBOWで聴くと伴奏聴くのが楽しくなったと言われることが良くあるが、正にそんなイメージの音だ。
楽器は鮮やかに力強く、ボーカルは豊かな表情で再現される。温度感は、高すぎず低すぎない。どこにも破綻が感じられず、一切の癖無く仕上がった音。だから、気分によってベースを聴いていたり、ボーカルを聴いていたり、コーラスラインを聴いていたり、自然に聞く音をくるくると変えて、複数のメロディーラインを循環しながら音楽を楽しめた。こういう音なら、同じソフトを何度聞いても違う楽しみが見いだせるだろう。

まとめ

T3G+J-POPの組合せで3種のセットを聴いてみた。それぞれの音質傾向の違いはハッキリと感じられたが、絶対的なクオリティーの差は聴き取れなかったし、いずれの製品も上手くまとまっておりどれを選ぶか?の材料となる決定的なポイントは見つけなれなかった。強いて言うならAIRBOWがやや安いことかもしれないが、それにしても目が飛び出るほどの差ではない。T3GでJ-POPを中心に楽しみたいとお考えなら、デザインを含め直感的に好きなセットを選ばれて間違いない。

 + 

M6/SETで鳴らす楽曲はJ-POP、組み合わせるスピーカーは1028BEが正解。

ベリリウム・ツィーターで懸念される高域の硬さはほとんど感じられない。シンバルなどの金属系の音にほんの少し「ヒゲ」がつくのはご愛敬。

低音の量感はT3Gと大きく変わらないが、重量感が増し重たいものから低音が出ているという感じに変化する。ドラムは太くずしんと腹に響く。ギターはベリリウム・ツィーターの良さで芯がシッカリして、スコーカーとウーファーの良さで音が太くなる。音が全体に太く濃密になって気持ちが良い!

ボーカルも肉厚になるが無理に肉を付けたような感じではなく、より肉声に近い肉厚感が出た。解像度だけではなく質感も向上し、音楽のグレードが一段と上がって音楽を聴いているのが楽しくなる。

バランスが素晴らしく、明るく楽しい音。次のスピーカーを聴くために音を消すのを躊躇うほど、う〜ん、これはなかなか良い音だ!


M6/SETと比較すると全体的に音質が弱々しい。アンプがスピーカーに負けてユニットをしっかりと駆動し切れていない感じの音だ。

低音は量感が少し少なく、タイミングも少し遅い。高音は芯が弱く音色がくすんでいる。ボーカルも力が足りない。J-POPらしい弾むような感じが弱く、チャラチャラした音楽に聞こえてしまう。Syn/Tyrと1028BEでJ-POPを聴くと相性が悪い。


低音の力感、駆動制動力はM6/SETに遜色ない。高音の切れ味も素晴らしいが、M6/SETと比べるとやや金属的な感じ(高音が少し硬い感じ)が強くなる。

ボーカルの透明感、分離感はM6/SETを上回り「歌詞の聴き取り」は3セットの中で最も容易で、ボーカリストが何を行っているのかハッキリ聞こえる。

ボーカル以外の楽音の分離感も見事だ。これであと少し中低域に厚みがあればM6/SETの音を超えられる。M6/SETとの価格差を考えれば電源ケーブルをおごれるからそれで解決しそうだ。とにかく1028BEをきちんと鳴らしていると言い切れるくらいの十分なサウンドが1028BEから出た。

まとめ

重量級のコーン紙を使っているウーファーとスコーカー、精度の高い音を出すベリリウム合金振動板採用のツィーターを搭載した、1028BEはアンプの素性を隠さず音に出すとの組合せでは、最も電源がしっかりしているM6/SETとの相性が抜群でSA15S2がそれに続く。この2機種の差はさほど大きくはなかったが、Syn/Tyrの組合せは明らかに力不足を感じ、ユニットが空振りしているような印象を受けた。

 + 

1028BEですら軽々と駆動するM6/SETにとって、このサイズのスピーカーのウーファーを動かし止めるのは簡単な仕事のようだ。大型スピーカーから比べると量感は少ないが、遥かに軽やかな低音が出る。こういう軽やかな音を聴いていると気持ちがすっとする。

高域はテキスタイルツィーターの特徴でやや線が細く芯が弱いが、抜群に滑らかだ。

ボーカルには不要な付帯音がまったく付かない。Minima Vintageの音が最も肉声に近く感じられる。

表現は大きく、かつ繊細で歌を聴いているのがとても楽しい。M6/SETがMinima Vintageの持ち味を最大に引き出しているか?と問われるとやや硬さや平坦さを感じる部分がマイナスとなって個人的には諸手を挙げて賛成はできかねる。しかし、M6/SETのパワー感で鳴りきるMinima Vintageも魅力的に感じられたことは間違いない。


Minima Vintageで聴いてもSyn/Tyrの低音の量感はやはりM6/SETよりもやや少なめだ。しかし。1028BEで感じたような力不足は感じられない。

Syn/Tyrが優れているのは高域のシルキーさと鮮やかさで、この点では明らかにM6/SETを凌ぐ聴いていて楽しい音に仕上がっている。

スピーカーを無理やり駆動してその能力を超える音を出させたように感じたM6/SETに比べ、Syn/Tyrはあたかもスピーカーが自然に呼吸しているようなジャストのタイミングでユニットを動かしてくれる。

ボーカルは少し引っ込んだ感じだが細やかな表情で艶もありチャーミングで魅力的。伴奏とボーカルの分離は完全ではないが、それぞれが上手く適度に混じり合ったこういう音は大好きだ。Minima Vintageとのマッチングでは、Syn/TyrはM6/SETよりも優れている。


T3Gや1028BEとの組合せ同様、もっとも癖のない音でMinima Vintageが鳴る。

また、スピーカーを変えてもS2/Masterの出音の印象はほとんど変わることがない。言い換えるならスピーカーの影響をほとんど受けていないかのような同じ音で、スピーカーを鳴らす。

やはりそれぞれの音は綺麗に分離しているが、無理やり分離したような感じではなくそれぞれの音の特徴が見事に再現された結果、音が分離して(混ざった感じにならずに)聞こえる印象だ。

S2/Master自体は味のないミネラルウォーターのような音だが、脇役に徹する控えめな主張でS2/Masterは組み合わせるスピーカーを選ばず、常に望む以上の音質で鳴らしてくれる。

まとめ

打ち込みが多用されるJ-POPは、Minima Vintageが最も苦手とするジャンルのソフトだ。

M6/SETはその苦手感を強引に消し、Minima VintageでJ-POPを見事に鳴らした。すべての音がクッキリ、ハッキリと聞こえた。

Syn/TyrはMinima Vintageの特徴を強く引き出し、Minima Vintage的な解釈でJ-POPを鳴らした。つまりボーカルが主役で電子音は脇役になる。

S2/MasterはMinima Vintageを等身大で鳴らしてくれる。何も足さず、何も引かない。そういうイメージだがそれは「つまらない」のではなく、薄味故に「様々な味が感じとれる和食」のように高い完成度が感じられる。好き嫌いを別にするなら、毎日聴いていて「絶対に聞き飽きることのない音」と言えるかも知れない。バランスに優れ、すべての音がフラット(公平)に再現された。

 + 

ホリーコールのソフト自体がもともとすごくクリアーな録音ではないせいかもしれないが、M6/SET+T3Gとの相性はとても良い。

ボーカルは甘く、ジャケットの写真を彷彿とさせる色っぽい音でホリーコールを歌わせる。ピアノの音色は高級楽器ならではの鮮やかさだ。ベースの重量感も十分で腹に響く低音が出る。

スピーカーを結ぶ線上よりも少し前に音像が定位し、ステージを取り巻く空気感も非常に濃い。ものすごく有機的な音でT3Gが完全に鳴り切って目の前にステージが出現した。文句なし!ほぼ満点のサウンドだ。


JAZZを鳴らすとSyn/TyrはM6/SETに一歩も引けを取らない。

ベースの量感はほんの少しだけ少なくなるが、ボーカルとベースの分離はM6/SETよりもSyn/Tyrが優れている。ピアノの重量感も少し減少するかわりに音色の煌びやかさが向上し、ピアニストのタッチが一層鮮やかに感じられる。ボーカルはややスリムになるが、ほんのりとした色気の出方が心地よい。

M6/SETで聴くリッチなホリーコールも良かったが、Syn/Tyrで聴くややライトなホリーコールも魅力的だ。トータルの印象では甲乙付けがたく、アルコールの友にはM6/SET、コーヒーの友にはSyn/Tyrでと、そういう鳴らし分けらがしたくなる。


楽器のコントロール、ボーカルの表情はとても自然で、音や雰囲気に違和感がまったく感じられない自然でリニアなサウンドでホリーコールが鳴る。

M6/SETは大人の女性の色気たっぷりにホリーコールを鳴らし、Syn/Tyrでは若々しい女性のフレッシュさでホリーコールを表現した。S2/Masterはホリーコールからプロボーカリストとしての実力の高さを引き出す。

その音は「個性がない」という意味ではモニター的だが、虚飾を廃することで音色の美しさや鮮やかさ、変化の多彩さが溢れてくる。その音は、つまらないと紙一重の一般的モニターサウンドではなく、「美しい」という印象にまで昇華される。それは、色即是空、空即是色、そいいう日本的な美を極めた音質に仕上がっている。佇まいが良く、折り目正しく、虚飾がない。それがS2/Masterだ。

まとめ

T3でJAZZを聴くのにどれか一台を選べと言われて、最も悩まずに選べるのがS2/Masterだ。S2/Masterはソフトの音をそのまま出してくれるので、あれこれと悩む必要が感じられないからだ。残る2台は、このソフトはこっちで、あのソフトはあっちでと言う、贅沢な悩みが湧き上がるかもしれない。オーディオに“安心”を求めるか?“変化”を求めるか?その選択がすなわち機器の選択に直結することになるだろう。

 + 

T3Gと比較して明らかにクオリティーが向上することが聞き取れる。スピーカーの価格が2倍だから当然と言えば当然だが、価格を大きく越える性能を持っているT3Gを明らかにそれを上回ってみせる1028BEの実力も相当高い。

音調はT3Gで感じた「過剰なまでの色っぽさ」がすこし抑えられるが、依然として充分な大人の色気を感じさせる音でホリーコールが歌う。高域の切れ込みの鋭さ、空気感の繊細さがぐんと増す。中域の厚みも増して、音質・表現力共に一段と向上した良い音でホリーコールを聴けた。


J-POPではM6/SETに比べ全体的にエネルギー感が小さくなり、ややしょぼくれた音になってしまったSyn/Tyrだが、ホリーコールではそういう印象がまったく感じられない。

ピアノの左手の厚みやベースの押し出しなどにM6/SETよりも若干の弱さを感じるが、それはSyn/Tyrが弱いのではなくM6/SETが高級セパレートアンプ並に強いからだ。高域は伸びやかだがスムースで柔らかく、ピアノの音色のプレゼンス、ボーカルの透明感と伸びやかさ、そういった部分にSyn/Tyrの良さが遺憾なく発揮される。特に中域の表現力は非常に多彩で、ホリーコールが情熱を込めて一曲を歌い上げている様子がしっかりと伝わってくる。Syn/Tyr+1028BEで聴くホリーコールは、思わず惚れ込んでしまいそうになるほどの良い音だ!


イントロ部分のベースはM6/SETの方がやや押し出しが強く、音が前に出た。Syn/Tyrで聴くとベースは少し控えめに感じられた。S2/Masterのベースは、スムースで無理がない。ピアノのプレゼンスはSyn/Tyrが最も色っぽい響きで、S2/Masterがそれに続く。それら2機種に比べるとM6/SETほんの少しだけ音が硬く感じられることがある。

ピアノの低音はM6/SETが最も分厚くやや過剰に響く。S2/masterはちょうど良い。Syn/Tyrではほんの少し軽い。しかしそれらの差は非常に小さく、「それ」と指摘されて聞き比べてやっと分かるくらいでしかない。

ホリーコールのボーカルはSyn/Tyrよりもやや細く、高音部がピーキーに感じられることがある。しかし、やはりS2/Masterは最も癖が少なく、あらゆる音がフラットで、あらゆる表現もフラットに再現される。

M6/SETやSyn/Tyrのように主役と脇役のコントラストを明確に描くのではなく、それぞれを公平に再現する。音色は鮮やかで音の躍動感も大き再現され、デリケートな表現もきちんと出てくるから、聴きたい音を聴きたい音で聞くことができて楽しい。S2/Masterは音楽の聴き方の判断を固定せず、聞き手に委ねてくれた。

 + 

Minima Vintageはサイズよりもずっと豊富な低音が出るスピーカーだが、さすがに1028BEの直後に聴くと低音が不足して感じられる。しかし、Minima Vintageの低音の「消し方の処理」はとても良くできていて、しばらく聴いているとその“不足感”は不思議とあまり気にならなくなってくる。

1028BEに比較すると高音と低音の圧倒的な伸びやかさや、解像度感はやはり少し落ちてしまうが、ピアノの中高音、ボーカルのソノリティーの表現力が逆にグンと高くなる。ピアノの響き、ホリーコールの声はMinima Vintageが1028BEを明らかに上回る。空間の濁りが減少し、1028BEよりも立体感が鮮やかになり、音がストレスなく広がる。

M6/SETとMinima Vintageの組合せは、イタリア的に明るく、イタリア的に情熱的で、イタリア的に楽観的なストレスを感じない心地よい音でホリーコールを鳴らした。


M6/SETはMinima Vintageの限界まで低音を引き出した。Syn/TyrはMinima Vintageに無理をさせず、程よいバランスの低音を鳴らす。M6/SETの方が物理的な低音は出ているのだが、Syn/Tyrの方が低音の出方が自然なので人間の耳にはSyn/Tyrの低音がより豊かに聞こえるようだ。

Minima Vintageとの組合せで物理的に優れた低音を出すM6/SETよりもSyn/Tyrが優れて聞こえるのは明らかな錯聴だ。人間は「脳で音を聴く」から錯覚を起こす。しかし、オーディオの音作りにはそれを利用した方がいいに決まっている。いくら測定データーが優れていても音が心(脳)に響かなければ、音楽を聴いても感動できない。時々、測定データーを盾に「人間のいい加減さ」を指摘し「機械が正しい」と言い張る音響学者がいるが、それは本末転倒で「音を聴くこと」、「人間に音を聴かせること」の何たるかをまったく理解していない。音楽にかかわらず芸術には「絶対的な指標」など存在しない。しかし、「統計的」に良い悪いを決めることができる。言い換えればオーディオの評価は「統計的」なものであって良い。数値で計ったり、絶対的な指標に置き換えられないから面白い。

Syn/TyrでMinima Vintageを鳴らすと音の広がりが自然で、部屋中がリッチな響きで満たされる。ボーカルには艶と説得力があり、楽器の響きも生演奏のようにリッチで美しい。聴いていると時間を忘れるような、オーディオから音楽が流れているのを忘れるような、自然だけれどとてもリッチな雰囲気でホリーコールが鳴る。Minima VintageとSyn/Tyrの組合せは「バラード系のボーカルを聴くために生み出された」かのような、希にしか見られないゴールデン・コンビネーションの組合せだ。


イントロ部のベースは3台中最も控えめに感じられる。分析するならば、M6/SETが最も確実にウファーを駆動すし、Syn/Tyrは制動が弱いために音が止まらず響きが残る。結果としてSyn/TyrとMinima Vintageを組み合わせて鳴る低音がこの音楽に最もマッチした。

S2/Masterも正確にウーファーを動かすが、M6/SETに比べると若干力が弱く感じられる。誤解を招かないために付け加えるが、S2/Masterはこのクラスの製品としては「非常に低音が豊かなアンプ」に仕上がっているから、それが少ないではなくM6/SETの低音が大型セパレートアンプ並みと言うべきだ。

S2/Masterの音質は、1028BEでの試聴と同じで癖が無くフラット。Syn/Tyrとつなぎ替えた瞬間は少しあっさりして感じられるが、しばらく聴いているとS2/Master独特の深いく静かな表現で自然に音楽に引き込まれている。控えめでありながらも強い求心力を感じさせる音でホリーコールが静かに鳴った。

 + 

ホリーコールのJAZZボーカルも良かったが、今回テストした中でこのソフトがM6/SET+T3Gに最もマッチする。ぺぺ・ロメロが奏でるギターはしっかりと前に出る。オーケストラは、その背後に大きく展開するが全体的に音は前に出る傾向が強く、奥行き方向への広がりがやや小さいため舞台袖でコンサートを聴いているようなイメージでアランフェスファンタジーが鳴る。

音質は明るく力強く、中域は滑らかで厚みも充分だ。楽音の分離も自然だ。M6/SETの低音が生きて音場が大きく広がり、アランフェスファンタジーが豊かなスケールで展開する。あまりにも誉めなければいけない部分が多すぎて書ききれないほどの良い音で、アランフェスファンタジーが見事に鳴った。

ギターの音が軽い!ギターの種類とか弦の種類は定かでないが、聞き覚えのあるポピュラーな弦に例えるならば、オーガスチンの(青)のような張りのある甘い響きの音でギターが鳴る。香り立つような倍音の響きの良さ、伸びやかさはSyn/TyrがM6/SETを大きく上回り、音場の前後方向への広がりも大きい。弦楽器のレガートの表現も滑らかだ。

M6/SETよりもホールの響きが良くなり、空気が一段と澄み切ったように感じられる。あえて表現するならM6/SETはオーディオ的(物質的)な、Syn/Tyrは生演奏のように自然な(感覚的な)音でアランフェスファンタジーを鳴らした。重厚にアランフェスファンタジーを鳴らしたM6/SETも良かったが、軽快で軽やかなSyn/Tyrも負けず劣らず素晴らしい!


ギターの音が美しい!Syn/Tyrよりも弦の直接音がより強く胴鳴りが少なく感じられるが、透明感のとても高い澄みきったサウンドはS2/Masterならではだ。

弦楽部のユニゾンの分離とまとまりの表現、各パートの分離と融合の表現、音符と休符の再現、楽譜に書かれた音符や音楽記号が見えるような「折り目正しい音」でアランフェスファンタジーが朗々と鳴る。J-POPやJAZZでは、それが時に「ムードを殺ぐ」ように感じられる(私は決してそのようには感じないが)ことがあるかも知れないが、クラシック、特に編成の大きな音楽では「癖のなさ=公平さ」が素晴らしい美点となる。

一糸乱れずスペクタクルに演奏が展開する様は、見事を通り越して美しいとすら感じる。S2/Masterの真骨頂はスケールの大きなクラシックで最大に発揮された。

 + 

T3Gのシルクドーム型ツィーターの滑らかな音がギターには合うが、1028BEのベリリウム型ツィーターの持つ切れ込みの鮮やかさはバイオリンのスリリングな音をグンと引き立てる。

低音、特にウッドベースの低音の量感と押し出しは1028BEがT3Gを大きく上回り、M6/SET+1028BEはホールに響き渡る重低音を余すことなく再現する。体に伝わるこの重低音は1028BEの最大の美点かも知れない。

中音はFocalらしい厚みのある甘い音で、母音にウェイトを置くフランス語(日本語も同じ)圏で作られたスピーカー特有の音が出る。Musical Fidelityはイギリス製なのだが、Focalのように母音重視の柔らかな鳴り方をする(MF代表のマイケルがクラリネット奏者だからかも知れない)から、Focalの中音の魅力を一層引き立ててくれる。

確かに「間近で聴く生楽器」と比較するなら、中低音がやや過剰気味なのだが、ホールに観客が入ると高音はミュートされ高域がやや落ちて中音が残る。M6/SET+1028BEは、「完全なピラミッドバランスの音」=「ホールに人が入っているときの生演奏の音」に近い、まったりとしたバランスでアランフェスファンタジーを鳴らした。


M6/SETよりもギターのアタックがやや弱い。音の広がりは十分だが、低音が少なくなる分厚みや量感が失われる。1028BEは中音の豊かさが魅力だと感じるスピーカーだがSyn/Tyrはその部分がやや薄く、組合せると中域の厚みがすこし物足りない。そしてSyn/Tyrの美しい高域を1028BEのベリリウムツィーターは上手くいかせないから、組合せとしてはM6/SETに敵わない。しかし、一般的には文句が出るはずのない素晴らしい音でアランフェスファンタジーが鳴るから、それを物足りなく感じるのは、M6/SET+1028BEのマッチングを素晴らしすぎるからだろう。


他のソフトでも感じた印象とほとんど変わらない安定した、安心できる音が出る。あるべき場所にあるべき楽器が位置し、あるべき音符の位置にきちんとあるべき音が出る。実際の演奏を聴いていないので定かではないが、直感的に「元の演奏」にはS2/Masterが最も近いように感じられる。

低音と高音のエネルギーバランスが適正で、弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器などの各楽器のエネルギーバランスが見事に描き分けられ、楽音の音色の違いも精密に再現される。

S2/MasterのマッチングはSyn/Tyrよりも明らかに優れている。M6/SETよりも高域の伸びやかさと透明感、明瞭度感に優れている。そのためホールの響きがより透明で美しく感じられる。その音は観客の入っていない「空のホール=リハーサル」の演奏を聴いているように、どこまでもクリアで美しい。

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ギターの響きは、3つのスピーカーの中でMinima Vintageが最も美しい。弦の繊細なタッチの違いもMinima Vintageが最も克明に描き分ける。さすがに低音は少ないので全体のスケールはやや小さくなってしまうが、小編成の演奏らしい「チャーミングな感じ」が出て、これはこれで魅力的だと思う。チェロの音もすごく魅力的に鳴る。

しかし、しばらく聞き続けているとフォルテの部分でやはり大編成の曲にとって「低音」は無視できないことが分かる。低音が少なくなったことがすべての音に影響を与え、高音の明瞭度感、中音の厚み、低音の広がりが不足して感じられるからだ。良いサブウーファーが高音の明瞭度、中音の厚み、低音の広がりを改善するのとまったく逆の理屈だ。やはり大編成の音楽は、低音の出るスピーカーや良質なサブウウーファーを使った場合に敵わない。


ギターの響きは、3つのコンポの中でSyn/Tyrが最も美しく、弦の伸びやかさスリリングな切れ味も鮮やかだ。

M6/SET同様低音は少ないのだが、Syn/TyrとMinima Vintageの組合せはやはり不思議と「低音不足」を感じさせない。楽団のスケールは小さくなるのだが、音楽表現のスケールは小さくならず、ず、暖かい空気の中に美しく楽器が響き、Minima Vintageが朗々と鳴る。

楽器同士の「会話」が聞こえてくるほどの見事なコンビネーションで楽音が鳴り分けられる。ギターや弦の切れ込み、管楽器のタギングなど「音の出始め=アタック」が鮮明なので、音楽の流れに明快なメリハリが生まれ躍動感のコントラストが強くなる。演奏にドラマ性が生まれ、自然と音楽のストーリーに引き込まれて行く。良い音楽を聴いている気分にさせてくれる、味わい深い音質でアランフェスファンタジーが鳴った。


ギターの響きはすべての組合せの中で最も正確だ。弦を切る爪の角度や強さ、アタックからサスティンに移行する一連の楽音の変化が素晴らしくリニアに再現される。もちろんそれは、ギターに限らずすべての楽器に共通することだ。S2/Masterで演奏を聴いていると、まず楽器から発せられる澄み切った美しい響きに耳を奪われ、続いて楽音が重なった分での濁りのなさに驚かされる。そうしている間に、それぞれの楽器が奏でる見事なコンビネーションに舌を巻かされ、今聴いているのがプロフェッショナルによる高度に完成された芸術だと感じるようになる。

演奏の造形美、倍音構造の美しさに耳を奪われつつ、次第に演奏に深く深く引き込まれて、気がつくとどっぷりと音楽に浸っている自分に気付く。S2/Masterで音楽を聴いていると心はそういう動きをする。純粋に演奏に引き込まれた結果として、オーディオ製品で音楽を聴いているという違和感やサイズの小さいスピーカーで音楽を聴いているというストレスが完全に消えてしまう。生演奏を聴いているようなリアルな音が鳴り、静かにそして深く音楽の世界に引き込まれて行く。

試聴後感想

3つのスピーカー、3つのコンポで3種類の音楽を聴くという合計27回にわたる試聴を行った。最も大変だったのは、27もの寸評を“書き分ける”ことだった。本来言葉に置き換えられない「音を言葉に翻訳する」ことのしんどさと「読み手を飽きさせない」ために可能であれば、毎回違う表現を選ばなければならなかったからだ。結局、試聴テストは1日で終わらず、2日にまたがってしまった。

テストが2日に及び気づいたのは、空気の湿度で音が明らかに違ったことだ。初日の天候はこの時期の典型的な梅雨空で、雨が降り湿度も高かった。二日目は晴れこそしなかったが、雨は止みエアコンで室内は初日よりも乾いた状態に保たれた。空気中の湿度が高いと空気の粘性やバネ定数が高くなり、高音がより大きく減衰して音が「曇る(高音が籠もる)」。それは理解していたが、初日に聴いたJ-POPで「ベールがかかったような」という表現が多くなったは、湿度が高かったせいだろう。空気が乾いた2日目に試聴した1028BEはT3Gに比べ高音がしっかりと伸び、明瞭度も高く聞こえたが、湿度の違いも多分に影響したに違いない。こういうことがあるので普段レポートは短時間で一気に書き上げ環境の影響は受けにくいのだが、今回に限り「環境(天候)」の変化も加味してレポートに目を通して頂ければと思う。

試聴の始めに「音の違い」は、スピーカーとコンポの「それぞれの相関関係によって生じる」と感じられたが、聞き続けると、それぞれのスピーカーの個性と、コンポの個性が完全に独立したものと判断できるようになった。つまり、スピーカーはコンポを変えても、コンポはスピーカーを換えても「基本的な音調が変わらない」と感じられたのだ。

一般的に考えられている「コンポとスピーカーの相性」は、確かに存在する。しかし、それは「組合せが悪いと上手く鳴らない」と言うのとは違う。しっかりとした「ある一定以上の水準」でコンポとスピーカーを選べば、どのように組み合わせても良い音が鳴る。私が感じる「相性」とは、スピーカーとコンポ、それに楽曲の組合せが「特別にマッチしたとき想像できないほど良い音が出る」ことを言う。今回の試聴では、1028BEとM6/SETで交響曲を聴いたとき、Minima VinatgeとSYN/TRLでJAZZを聴いたときがそれに該当する。しかし、驚いたことにS2/Masterはすべてのスピーカー、すべての楽曲をほとんど公平なイメージで鳴らしてしまった。だからS2/Masterはある意味で「相性」が存在せず、弱点のないコンポだと言える。

S2/Masterは自分自身が音を決めたせいもあるのか、最も癖のない音に感じられた。逆に言うなら、組み合わせるスピーカーや楽曲によってその個性が左右されない(すべてにおいてフラット/公平な表現をする)部分こそがS2/Masterの個性だと言える。M6/SETやSyn/Tyrで楽曲を聴くときは、何となくワクワクしたり時にはちょっと落ち着かない気分になったが、同じ曲をS2/Masterで聴くとは自然と背筋がしゃんと伸びる気分になった。それは決して緊張するという意味ではなく、あえて例えるなら禅における「無心の境地」で音楽に触れるという意味合いが近いのかも知れない。

それぞれに個性的なM6/SETとSyn/Tyrを比べると、私はSyn/Tyrの明るく優しい音が好きだ。M6/SETは太くパワフルだが、楽器間近で聞く機会の多い私にとっては高音の伸びやかさがもの足りなく感じられる。音楽表現にしても観客席寄りの音が出るM6/SETよりも、中高音が美しく奏者寄りの音が出せるSyn/Tyrが好みに合うようだ。ただ、Syn/Tyrは組み合わせるスピーカーと組み合わせる楽曲によっては「上手く鳴らない」と感じることもあった、つまり「相性が悪い」と感じられたことを付け加えておきたい。

料理の盛りつけに例えるなら、M6/SETやSyn/Tyrは洋食のように「自由奔放」なイメージ。定まった形を持たず、組み合わせるスピーカーや楽曲を変えると持っているイメージがある程度自由自在に変化する。S2/Masterは割烹の「正確で精緻」なイメージ。判で押したような正確な音は、組み合わせるスピーカーや楽曲を変えても、イメージを一定の枠から逸脱させない。

徹底的な聞き比べを行った結果、どのスピーカーもコンポも間違いのない製品だと確認できた。どれが一番優れていると結論づけられず、それぞれの「表現の流儀が違う」と言うのが正しい「まとめ」だと思う。

M6CD/M6iには、流行のUSB入力が装備されている。PCと繋いでその音質をテストした。CDと比べると音質は確かに劣るものの、十分音楽を楽しめる音質に仕上がっていた。また、M6CDのUSBにPCを繋いでM6iで聞いた場合と、M6iに直接PCを繋いで聞いた場合では、前者の音が明らかに良かった。最後に近日発売されるM3シリーズを聞くことができたので、簡単なインプレッションを追加してレポートを終える。

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まず始めに1028Beで試聴を開始した。一般的なこのクラスの水準品と比べると音質の透明感が高く、低域も少し力強く感じられる。しかし、M6に比べると全体的に音楽が単調に聞こえ躍動感が小さい。A5.5やM6で私が感銘を受けた、「ワクワク感」が少ないのだ。エージングが足りないように感じたので、とりあえず36時間ぶっ通しで鳴らしてから、もう一度聞くことにした。

少しは改善したが、それでもM6に比べると音が固く、音楽にボリューム感やエネルギー感が少ない。音は細かく綺麗だが力がないイメージの鳴り方に聞こえる。

スピーカーをBEETHOVEN-CONCERT-GRAND(T3G)に換えてさらに12時間鳴らし込んで再試聴を行った。1028Beとの組合せから比べるとかなりエネルギー不足の傾向は改善されたが、仮にM6で鳴らすBEETHOVEN-CONCERT-GRAND(T3G)を100とするなら、せいぜい60-70程度の音でしかない。音楽を聞く面白さ、ワクワク感という意味では、私なら価格差を考えても迷わずM6を選ぶ。

Musical Fidelityは、低価格でM6と同等の音質をM3で実現したと主張するが、私はそれは言いすぎだと思う。M6とM3の間には、価格差なりの音質差は確かにある。M3が良くできているとしても、Musical Fidelityをお考えなら上位機種のM6をお薦めするという結論は覆らない。

2010年 6月 清原 裕介

 

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